1.「入試広報室」の設置
・着任して驚いたことであるが20世紀型の古い呼称「入試事務室」なるものを未だに守り、その事務たるや場所も人も中学と高校が完全に分かれ、それぞれの教頭が担当するという今日あり得ないようなフォーメーション「戦力分散型」の全くもって理解出来がたい組織であった。これでは「私学間の激しい生徒獲得広報競争」には勝てない。もちろん生徒を惹き付ける学校の中身が最も重要なことであるのは間違いないが、それにしても今日の広報宣伝、IRの重要性は言を待たない。応募者が溢れ返っている学校ならいざ知らず、一人でも「入学して頂く」必要性のある本校の入試広報戦略は可及的速やかに構築する必要があった。入試広報部という考えもあったがとりあえず「入試広報室」と名を改めた。名は体を表す、木村流の常套手段である。
2.入試広報担当教頭の配置
・まず中学と高校の組織を一体化させ部屋も2階の角にある小さい部屋から1階理事長室に最も近い比較的大きな部屋を与える。同窓会の部屋であったが同窓会長に直接私が話をして決定した。極めて便利になった筈である。
・そこに理事長直轄の「入試広報担当教頭」を配置した。即ちこの教頭が入試広報室長を兼務する新たな管理職を1名つくったのである。経費的には余分なコストがかかるが致し方なし。投資である。
・更にベテラン教員を専従で入試広報副室長とした。この二人が司令塔である。ところがここに来ても副室長を2名創り、中学と高校で分けたいと言ってくる。断固押し返した。「何を考えているの?」 と。
3.メンバー入れ替え
・総勢XX名の内、3名の人間を入れ替えた。内1名は塾関係者や他のメンバーから高く評価されていた者であるが、私は入試広報だけを見ているわけではない。この人物は他部門での活用を最初の面談時の印象から決めていた。どのポジションでも評価の良い者はどこでも欲しがる。使えない人間はどこでも使えない。出来る人間は何をやらせても出来る。人材とはそういうものだ。
・新たに投入する3名は思い切った人選とした。まず女性教員を1名入れる。共学を進めて行く中で「当然考えて当たり前」でしょう。人選には一悶着あったが良い雰囲気の先生が据わってくれた。更に若手の誠実そうな雰囲気を持つ男性教員を抜擢、後一人も女性とし、これは外部から求めることとし、パソコンの使い手を条件にハローワークに依頼した。その結果は極めて満足している。 全体の総数は同じでも大幅に専従を増やし、戦力的には大きな増強である。
4.「広報情報委員会」の設置
・重要なことはITとリンクさせることである。校内には「情報機器係」的なもの(いわゆるパソコン係)はあったが情報戦略を構築し、広報宣伝とリンクさせる考えなどまったくなく、これまた旧世代の体制に近いかび臭いものであった。今頃パソコン係などと言っている組織はあるまい。21世紀の学校で信じられないことが浪速にはまだあったのである。
・広報情報委員長はこれ以上ないくらいの最適の人材がおり、人選に問題はなかったがメンバーには苦心した。センスの良い比較的若い感覚を有した者、それに入試広報室が発する日本語文章の国語をチェックさせる必要もあった。こちらは国語科の専任の教員が入試広報室におり、その人物を兼務させ、中核の二人は思いきって常勤講師から当て嵌めた。学校の中枢に関する取り扱いであり、元来は専任教員が対応すべきものであるが致し方が無かった。それまでのホームページ担当にはITに強い非常勤講師の先生に依頼していたが、契約内容のこともあり、お引き取り頂いた。余人を持って代え難いと小さなブーイングもあったが、今誰も一連の人事で文句を言う者はいない。人材なんていくらでも世の中にはいるということを教員は大体知らないし、考えようとしない面がある。世の中に人材は山ほどいるのである。
・結果的にこの二人の常勤講師の人事が大当たり。情報通信誌「浪速通信」と「ホームページ」の充実は彼らの手になる。特に浪速通信は創刊号が4月7日入学式当日の発行、校長になって1週間目である。もう一人の常勤講師は名うてのパソコンの使い手、ホームページの更新で校長は追い回されている。若い力は素晴らしい。広報情報委員会は新しい価値ある仕事をした。仕事をするとはこういうことです。何かのテレビではないですが「彼らは良い仕事をしている。」
5.経営資源の投入
・19年度は対前年度 広報予算として40%増やし、デジカメ、印刷機、パソコン、プリンター機器や事務用品、交際費なども大幅に増やした。大きな投資であったが、やらねばならない。最初の大きなイベントは6月26日堺ロイヤルホテル、10:30分から「浪速が変わる!浪速で変える!」と題して学校説明会、塾関係者を350名近くご招待申し上げている。
・更に新車「ホンダオデッセイ」がそのうち彼らに届くだろう。リアの窓に「大阪国学院浪速中学校・高等学校入試広報室」と金色の字で書かれた車が・・。 これで大阪中を走り廻って欲しい。車が走っているのではない。「浪高が走っている」のだと。
6.ポスター、学校案内冊子
・作成中、果たして耳目をひくものが出来るのか?時間をかければかけるほど、考えれば考えるほど陳腐なものになるのが人の常、全国ポスター賞に入賞できるようなものが果たして出来るのか?これはどうもあまり期待出来そうもない・・。これくらい思っておいた方が後で腹は立たないか?ポスター一つ変えることが出来ないようでは学校は変わらない。さほど人間の意識改革は難しい。今まで通りだと安心だし心配はないし、第一やっている人間には楽なんです。「去年と一緒です。」とか何とか言って。
経営側としては「やるべきことはやった。」「経営資源も体力以上の投資をした。」後は入試広報室、広報情報委員会のメンバーに頑張って貰うしかない。
彼らも頑張ってくれている。成果を大いに期待致したい。