・ 厚生労働省が4日に発表した9月の「毎月勤労者統計調査」によると「今年夏の賞与は前年比0.4%減の406012円で2年連続で減少」したとある。同省は「景気の弱さが影響している」とコメントした。
・ 業種別では不動産不況で不動産が14.6%減と最も高く、次に金融保険業が8.4%減とある。続いて教育学習支援業が5.7%で「不況になるとやはり教育投資が減少」されることがここでも分かる。
・ 逆にサービス業は4.6%アップと言うが金額の絶対数値が小さいので何ともいえないが不況になっても「サービス業」は庶民のささやかな夢を売るだけに「底堅い」のかもしれない。
・ 同じ4日に野村證券金融経済研究所は「今年冬の民間企業ボーナス支給額が前年冬に比べ3.8%減る」と見通しを発表した。2年連続で前年水準を下回り情報技術(IT)バブルの崩壊で5.6%減った「2002年以来のマイナス幅」になると予想している。
・ 「企業業績や雇用環境の悪化」が原因で個人消費の落ち込みが懸念されており、とにかく中間決算で減益となる企業が相次いでいる。これは失業率の増加になり、結果として「人手不足感の解消」となり、マイナススパイラル減少で良いことは何も無い。
・ 10月度の「百貨店売り上げ」に「寒風」が吹き荒れており、高島屋、伊勢丹などは8%から13%も売り上げ減だから大変に厳しい。年末年始商戦にも「暗雲」と言うところだ。これを「逆資産効果」という。
・ 株や土地の値段が下がり個人の保有資産の価値が一夜にして30%、40%ダウンすれば人間誰しも「ちょっと手控えよう」となる。逆に株価が上がれば「お金持ちになったような気」がして財布の紐も緩むというものだ。これが行き過ぎるとバブルと言うことに成る。
・ 特に私が驚くのは「自動車販売の不振」だ。「鉄鋼業」に勤めていたから感覚的に分かるのだが、アメリカでも10月の新車販売が30%ダウンしているというが大変な数値だ。日本でも当然のことながら米国不振を受けて自動車5社は大幅な減益である。10月度「新車販売は40年ぶりの低水準」という。かろうじて軽自動車は前年同月比で6.2%伸びている。消費者は賢くなって燃料費の安い軽への加速が今後とも進むのではないか。
・ 本当に厳しい世の中になってきた。こういう情勢が「就職内定者への辞退勧告」につながっており、就活学生を直撃しており、大学や学生はパニックになっていると報じている。「内定取り消し」など昔はなかったが今や企業も平気でやるという。
・ 「このまま入って来てくれても希望の部署には就けないと思う。貴方のキャリアを傷つけることになるので就職活動を再開した方が良い」と突然に言われたらパニックにもなろう。酷い話だ。
・ 「売り手市場」と言われたが「雇用不安」の様相を示し始めて来た感じだ。企業社会は厳しい。ところが教員採用となると必ずしも「アゲインストの風」とは言えない。何処までも教員社会は恵まれている感じだ。保護者も不景気だから高校にはやらないとはならない。
・ 「団塊世代の教員が今後数年大量に退職」していくから「教員の補充は焦眉の急」だ。各都道府県教育委員会とも血眼になって「採用活動」をしているが大阪府でも今年は予定数は取れず、一つには「質の問題」があるとまことしやかに言われている。
・ 要は「優秀な希望の人材が確保」出来そうにないということだろう。好景気で民間の企業業績が良いと学生は民間企業への就職を望むが、少し景気が悪くなると安定した公務員を目指すと昔は言われたが最近の傾向はそうでもない。
・ 大阪府の公務員も希望者が少なくなって「橋下改革による処遇ダウンの影響」とかいうが、私は全体としての「質の低下」もあると思う。ゆとり教育と自由奔放な教育を受けてきた連中が丁度大学を卒業する時期になっているのである。「日本全体の若者の底力の低下」が背景にあるとしたらこれは由々しき事態である。
・ 端的な例は文部科学省が「大学生の学力支援に財政的支援」を来年度から行うと決めた。大学1年生に対する補習や教材開発に積極的に取り組む大学に補助金を出すと言うから「前代未聞の話」だが背に腹は変えられないというところだろう。
・ 「少子化で大学前入時代」となり、学力試験を課さずAO入試や指定校推薦などで学部教育の水準低下は遂にここまでの話となった。大学の1/3は新入生の補習授業をやっているというから驚きだ。
・ 若者に期待が持てなくなったとうわけではないが、教育委員会は「社会人先生」の採用に熱を入れている。一つには「年齢構成の問題」がある。本校でもそうだが教員の年令構成は30台後半から、40台にかけてが少ない「ワイングラス型」である。
・ こういう社会人は「教員に成りたい、教員に成りたい」と念願していた人が多く、熱意は最高、実際学校に勤務して「日々感激」の毎日らしい。今のところ、こういう先生は生徒保護者からも好感度100%で迎えられている。ひたむきに生徒に対応しているからだ。
・ 文科省によると08年度で社会人選考を実施したのは27県政令都市に及びここ数年で急増している。大阪は人気で志願者数が437人東京で1339人と言う。5年前にに比べ大阪は100人増えている。
・ 良い人材が新卒にいないからでもなかろうが大阪府は「年齢制限を35歳から45歳」に広げている。従って例えば昔ユニクロで働いていたが「教員に成ろう」として転進した「45歳の新米教員」が今後とも増えるかも知れない。
・ 昨日まで家庭で専業主婦をしていたお母さんが大学で教員の免許を取っていたから、子育てが卒業したので「ボツボツ学校の先生に」という話が冗談ではなくなってきた。新卒の先生も安閑とはしていられない。
・ しかし私はやはり社会人先生よりは「フレッシュな先生を歓迎」したい。大きな規模ならそのようなことも出来るが小さな所帯である。即戦力で学校を改革していくことの出来るマインドを有している先生に社会人先生はまだその「素人性」から期待できないと言う理由からと「若い方の就職機会」を奪ってはならないと思っているからだ。「教師は高度専門職」で簡単にアパレル業界から転進可能とは考えたくもないからだ。教師はそれほど甘い、楽な仕事ではない。