・ 理数科長が「11月度、高校1年生の進研模試記述の度数分布」を持って報告に来てくれた。それによると本校の理数科が国数英3科目の平均点偏差値で府立「岸和田高校を抜き、高津高校に肉薄」していると些か興奮気味だ。
・ 確かに数学では高津を抜いている。今回は国語は頑張っているがどうも「英語が弱い」。これは大変気にしている。最も勝った、勝ったといっても「母集団の数は全然違う」が「まあ伸びていることは事実」だから「良くやってくれた」と私は褒める。
・ 1類やⅡ類も頑張っているのだが課題はやはり「英語」である。受験に「英語」はキー科目だから「何とかするように」副校長に指示を出した。特にT1,T2クラスなどはもっともっと伸ばさなければならない。「何をしているのか」と言いたい。
・ しかし偏差値と言うのは「厄介な代物」である。昔は「偏差値の高い学校に勤務」していたから偏差値のことを言われても平気で、むしろ誇り高い感じがしたものだが今の学校に来て「ビミョー」となる。
・ この偏差値、「偏差値教育」とか「偏差値偏重」とかという言葉でまったく「悪者扱い」されてきた感がするが「標準偏差値」や「平均点偏差値」は極めてというか唯一の生徒にとっても学校にとっても「重要な判断数値」である。
・ 私は「偏差値嫌いの人」は学校と言うものが分かっていない人だと思う。この「概念」がなかったら受験生にとっては「不安な日々」を過ごすことになり、「目標設定」も出来ない「暗闇の牛」になってしまうであろう。
・ 即ち目標とする中学校や高等学校の公立私立を問わず、その学校の「合格難易度」と「自己の学力レベル」を客観的にかつ的確に掴んでおかないと「行く学校がなくなる」というような事態も発生しかねないのである。
・ 勿論偏差値は揺れ動くもので、高い生徒が不合格になり、ずっと偏差値の低い生徒が難関校に合格することはしばしば起こるし、絶対的なものではないが偏差値が無ければ「進路指導」は現実の問題として不可能ではないか。
・ 私立難関中学、私立難関高校とは偏差値の高い学校のことである。学力のある生徒は保護者や塾関係者などがまず「偏差値を見て学校選択」することになる。「ここを受けてみたらどうか」と。「この辺が良いところ」とか、「可能性は五分五分」とか。
・ 逆に生徒保護者からは「先生、ここを受けたいのですが大丈夫でしょうか」となるのだ。特に子どもの偏差値がある程度高い場合には「これ以下の学校は選べない」「そこまで落とすことは無い」とか「生々しい会話」が交わされることになる。
・ 実際は「意地」とか「見得」とかが左右する場合もあり、必ずしも「偏差値の高い学校が良い学校」とはなっていないのだが、未だに「偏差値オリエンティッド」になっている。仕方がないのかとも思っている。良い学校と言うイメージが具体的でないからである。
・ 昔は偏差値などを気にせず、今はビミョーと前述したが、見ない訳には行かず、特に中学校の偏差値が「焦眉の急」の気になるアイテムである。とにかく今後中学校に経営資源を投入して「偏差値を上げる」覚悟をして、努力中だ。
・ 高校はどうも「ベネッセ即ち進研模試」と言われるのが「主流」の感じであるが関西の中学校は圧倒的に「五ツ木書房の駸々堂テスト」と言われるものが「権威」である。五ツ木書房の清田社長は良く存じ上げており私が浪速に着任した後に鶴見区の本社にまで出向いてご挨拶した人だ。高津高校のご卒業である。
・ 「先生、今後とも私学側から情報発信しないといけませんよ。」と言われたのが記憶に新しい。この五ツ木の模擬試験は本番同様に行われ、継続してやるから「データの信頼性」は抜群で何しろ関西で57000人規模の母集団であるから「駸々堂テスト結果」で学校のレベル、生徒の実力が一発で分かる「恐ろしいもの」だ。
・ 中学校の副校長が11月の進学希望先受験の結果を持参してきた。確かに浪速人気は上昇気流にあるが「偏差値レベル」は上向きと言えどもまだ満足はしない。3,5.7.9月と受験し11月受験は「志望校受験」で最終局面となる。
・ 一方入試広報室のメンバーは先の本校のプレテストを受けてくれた受験生の塾などを回って「感触」を探るのだが、小学校6年生の私立中学校受験は複雑で今後様々な局面が流動的に出てくる。これらの背景にあるのはすべて「偏差値」である。それくらい偏差値と言うのは「大変な数値」なのである。
・ しかしだ。私は言いたいのである。「偏差値が学校の価値ではない」ということだ。単に偏差値だけで学校選択すると「大きな間違い」を起こす。無理して偏差値の高い学校に行き、そこで「挫折しメロメロ」になるよりは「余裕の有る学校」を選び、そこで成績がトップレベルであれば自信をもって毎日が過ごせ難関大学に入れる可能性が高いということだ。
・ 「親の見栄で学校を選択」してはならない。決して良い結果は生まない。まず「自分の子どもはどのようなタイプか」見極める必要がある。確かに中学受験は親が進路選択に大きな影響を与えるだけに余程慎重でなければならない。
・ 子どもが毎日イキイキと過ごせ「朝、学校に早く行きたい」と思えるような学校が良い学校である。浪速中学校は保護者から次のようなクレーム(?)が来る。「とにかく朝早く家を出ようとします。危ないですから何とか成りませんか」。そういうお母さんの声は喜んで弾んでいるのだ。
・ だから「浪速中学校の保護者会」は極めて仲が良く「ネットワーク」が強い。時にこれは学校にとって「プレッシャー」になったりするが私はそれで良いと思っている。浪速中学校は「極めて良い中学校」である。単なる偏差値だけでは分からない。
・ 「私学のススメ」「浪速中学校へのススメ」を主張したい。良い点は何か。まず「面倒見の良い学校」と言う点に関しては府内一番と自信を持っている。又学習についていけない生徒への完全なるバックアップ体制を更に充実していく。
・ 公立を蹴って浪速に進学してくれた生徒は「徹底的に鍛え」、「社会で生き抜いていく力」を有する生徒を作る。そのために「強い関西大学」との連携を強化していく。「バリュー感の」ある中学校、将来に株価が上がる中学校、それは「浪速中学校」である。偏差値は間違いなく後から付いてくる。