1.校長として責任感を感じる時
・ なんと言っても生徒がお昼に「お弁当を開いているとき」に、「この子達を預かっている責任感」を感じる。「母親(それ以外にもあろうが)の愛情」が一杯詰まっている、可愛くて美しくて、栄養のバランスを考え、色にも気を使い、造形を施し、とにかく旨そうな弁当なのだ。「作った人の愛情が溢れかえっている。つい手が伸びそうになる」のだ。これを感じないような、感受性と言うかフィーリングを持たないような教員は願い下げとまで思っている。
・ 私の時代などは弁当を包んでいる新聞紙などでおかずを隠しながら食べた記憶があるが、昨今の生徒はあっぴろげである。この場面も好きだ。
・ ただ、様々な事情で弁当を持参できない生徒もいるのも事実である。「お母さんに作って貰え」などという積もりはまったくない。朝、我孫子駅前のコンビニでおにぎりやパンとペットボトルを買いに立ち寄る生徒も少なくはない。「立ち寄るな」とは言えない。
2.食堂問題
・ 食堂についての「生徒アンケート結果」についてはすでにブログでも明らかにしている。要は利用者は少なく、果たしてもう一段の改良は出来ないのかという問題提起である。大学の「学食」と高校の食堂とは違う。はっきり言えば、「廃れつつある」のが実態ではなかろうか。業者もコスト、人手等、難しい時代になっているのは間違いない。戦後の食糧難時代の流れの中に食堂はあると私は見ている。
・ 一方築40年の「食堂は老朽化」も激しく調理業者からも一部の設備の更新も要望されている。そうかと言って、将来を考えれば今食堂に大きな投資をするのは「良く考えねばならない」という事情もある。
3.ケイタリング方式(仕出し弁当)
・ あれやこれやで着任してまもなく事務長には「ケイタリング方式」を検討するよう指示を出していたが、遂に実施する学校が出てきた。中学校であるが「中学校スクールランチ」を標榜しているのだ。北部と南部の公立中学校である。先にやられた。義務教育部門でもやろうというのだ。高校で出来ないはずが無い。
・ 3名の教職員代表に岸和田市の実際を見に出張してもらった。大変興味あるレポートであり、「我が意を得たり」である。早速「試行」することを決め、まず岸和田と同じ予算でどのような弁当が出来るのか5名の教員モニターに試食してもらうことを決めた。16日と17日に二つの業者から試作品を作って貰い、比較検討した。今日、味、量、雰囲気、見た目等々総合的に考え、B社に仮決定した。
4.「浪速スクールランチボックス」に向かって
・次にやることは生徒のモニターを決め、生徒の要望や意見など取り入れ、一度試験することだ。それで良ければ本格的に検討に入れば良い。PTAのご意見も聞かねばなるまい。11月に生徒による試験を受けるという運びを決めた。費用は理事長が負担する。
・栄養価を考え、彩り豊かなランチボックス、温かいぬくもりのあるおかずとご飯、「何と言っても教室で皆と一緒に食べることのできる弁当」、それに今の食堂の定食代が400円だからそれよりも安ければ文句はない。これは絶対条件だ。
・ 高校の例はまだない筈だ。「浪速スクールランチボックス」を急げと指示している。それにしても楽しみは大きい。「是非ともやり遂げたい」と思う。
5.給食業界の摩訶不思議
・検討の過程で給食業者は経験のある岸和田の業者にしたら、いかがかというも「丁重にお断りがあった」そうだ。5個くらいの試供品だけでもとお願いしたがこれも駄目という。要は大和川を越えて商売はできないというのだ。法律があるわけでもあるまいし、言ってみれば談合の一種ではないか。結局市内の業者に初めて頼むことになる。このように学校の商売は「最後に残っている大きな閉鎖市場」ということである。修学旅行業者、アルバム業者、制服業者、教科書業者、運動着業者、とにかく最後には市場の透明性が問われることになろう。