2008年9月5日金曜日

9月5日(金)その1:教員の平均年令

・ 小・中・高の教員の平均年齢が過去最高の44歳~45歳となっている。「学校教員統計調査」の中間結果を文部科学省が4日発表した。大量採用した時代の影響で45歳から50歳までの層が多く平均値を押し上げているとある。
・ しかし先生方も「お年をとられた」ものだ。1977年頃には学校の先生の平均年齢は30歳台後半であったものが、徐々に伸びていき、1992年頃から急激にカーブが立ち上がっていっている。新規採用していないのだから当然だ。
・ 特に小学校と中学校はその傾向が顕著である。平成18年頃から又「大量採用の時代」が始まり、大都市圏では定年退職者の退職金と新規の採用が増えて行政は大変なことになりながらも、世代交代が今後加速されるだろうが、地方では少し様相が異なると見ている。
・ だから大分県みたいな地方の少ない募集に希望者が群がっていくので「腐敗の構図」が生まれてくる。そのうち地方は今の「医者の少なさ」と同じように「地方には教員がいない」というような事態が現れるかもしれない。
・ こういう調査は面白い。3年ピッチで行われ臨時の教員は含まれていない。「小学校で44.4歳、中学校で43.8歳、高校は45.1歳」である。小学校では50歳から54歳の比率が21%、ついで45歳から49歳の比率が18%という。
・ 中学と高校では45歳から49歳がそれぞれ21%と19%で最高だった。教員の数は小学校が前回の調査から1155人増えて38万9819人、中学校が2489人減って234287人、高校は8680人の減で234287人だったとある。「総勢858393人」となる。私学を入れると教員100万人が日本の形である。
・ 少子化の中で小学校の教員数が増えているのは「少人数学級の取り組みや特別支援学級が増えている事情がある」からだろうと記事にはあるが、間違いはない。今後「小学校の問題が教育財政の大きな問題となって浮上」するのではないか。私はそのように推察する。
・ 大体少子化の中で一クラスの生徒数はぎりぎりに減少し、大体「一中二小」とか「一中一小」とかの言葉があるのをご存知か。一つの中学にぶら下がっている小学校が2校とか1校のことをいうのであり、今都市の小学校や中学校では大きな異変が起きつつある。
・ 即ち市内中心部の小学校は「教室が足りず」、周辺や衛星都市の小学校は「がらがら」となってきているのだ。持ち家を校外に持つのを諦め、「市内中心部のマンションに居住するというのが主流のスタイル」になってきている。
・ 「教育には最低限の生徒数が必要」だ。様々なタイプの子どもたちの中で集団生活をし、揉まれていく中で子どもは育つ。私は極端な「少人数学級」には反対である。地域のエゴで学校をつぶさず、従って教職員数も減らさず、これらが「教育コストの負担」となっている。
・ 「学校の統廃合」は避けては通れない命題でその中から集中的に教育予算を配分すべきである。今団塊世代の教員が大量に退職していく今こそそのチャンスである。「新しい学校を作る」という気概で「学校の統廃合と教員の若返り」をしないと教育の思い切った転換は望めそうにない。今後数年間更に高年齢化するがそれがあるとき「パタッ」と逆転するときまでに「準備を進める」必要がある。
・ さて、くどくど言わずに「浪速の教員の平均年齢は?」にお答えしよう。驚くなかれ「37.7歳」である。全国の公立の平均より7歳も若いのである。更に区分してみていこう。専任教諭の平均が45歳で実はこれは全国平均と同じだ。やはり世の中は同じなのである。
・ しかし本校には30名近い「常勤講師の先生がおりそれらの平均年齢は26.5歳」である。この若い集団が全体を大きく押し下げているのである。専任はベテラン働き盛りの45歳平均で常勤講師ははつらつとした若い教師で26.5歳、総平均は37.7歳である。「スゴーイ!」「嬉しい!」と言ったところだ。ベテランと若者のコンビネーションが良い。
・ しかしこれも「浪速改革」で苦労して成し遂げた結果であり、自然とそうなったわけではない。昨年「新人事制度」をスタートさせ「選択定年制」を採用した。最終定年は65才であり、これは変えないことにした。高齢化社会を迎え「高齢者雇用促進法」の趣旨を生かして定年年齢は65才をキープした。
・ しかし「年金受給」とのからみと社会における60才超えの勤労者給与と比較し60才までは給与は上がり続けるが、61歳からは一定の比率で給与ダウンとすることにした。勿論「誇りを持って働ける額」にしているのは当然である。
・ 年率給与ダウンを好まず、60才で退職し、「セカンドキャリアを選択」したいという先生に対しては「思い切った早期退職割増金」を61才から64歳まで1年ピッチで用意した。更に希望者には「嘱託教諭」「嘱託職員」「非常勤講師」の職位を用意して基本的には「働きたい者には働く場所を」と私は考えたのである。
・ その結果本年3月末には「選択定年制」で退職された60才超えの先生が10名を超えた。その結果専任教諭の平均年齢は大幅に若返ったのである。言い換えれば「億円という割増金を用意して強制的な若返り策をとった」と言うことかもしれないが、そうではなくて60才を超えたベテラン教諭が「自ら身を退き、若者のために職場を用意してくれた」と考えてくれる方が有り難い。
・ 現在本校で頑張ってくれている常勤講師の先生方はそういう背景を理解しながら「今、自分には働く場所があるという嬉しさ」と「21世紀の学校つくりに邁進している学校で勤務できる幸せ」をかみ締めて欲しいと思う。
・ 学校の公式サイト、「木村智彦の言葉にある学校改革の軌跡と論考」にすべて記載されている。「温故知新」、昔を知りながら、積極果敢に新しいことを目指して頑張って欲しいと思う。教員の平均年齢が37.7歳の学校などそうは多くはあるまい。
・ しかし私はあえてベテランの先生方に言いたい。「若者に負けるな!」「まだまだ若い。修行が足りない!」と言ってやれ。「若造、勉強しろ!」「人生はこれからだ。伊達に年は取っていない。10年早い!」と一発かましてやれ。
・ だからここで私は本校のベテラン専任の先生方にご存知の「サムエル・ウルマンの青春の詩」を贈りたいのだ。この詩の通りだ。「精神的にふけるな。若者に負けるな」。