2008年9月17日水曜日

9月17日(水)教師の給料

・ 毎年この時期に楽しみにしている雑誌がある。「週間ダイヤモンド」である。ダイヤモンド社発行の些か硬派の「ビジネス週刊誌」である。本は好きでよく読むほうであるが、加齢と共に分厚い本は段々と億劫になってくる。週刊誌程度の厚さが「丁度良い感じ」となってきている。
・ この週刊誌の良いのは旬でタイムリーなニュースや話題を集中的にまとめて情報発信してくれているところである。又表やグラフがふんだんに使われておりとても読みやすいのが気に入っている。
・ ただし年間定期購読するほどではない。新聞を読みながら「気になる特集」が出たときには書店にて求めることで良い。最近では8月9日号の「老後地獄」や8月30日号の「格差世襲・・・下流の子は下流?」が良かった。
・ さて9月13日号は「給料全比較・・年齢別賃金、社内格差、残業時間」特大号だ。実は昨年の10月6日号も今手元にあるのだが、このようなものは例年同じように発行するのだろう。昨年は職業別、会社別、官民別、規模別と整理されていた。
・ 校長の責務の一つに「教職員の意識に迫り、時に意識や知識を変えてもらう」という業務と言うか責務がある。これをやっている校長は立派であるが、言うほど簡単な話ではない。特に公立の校長など、見ているとどうも限界があるように感じてならない。
・ その理由は「やりにくい、言い出しにくい気分」があるのだと私は想像している。同じ学校と言う狭い閉じられた社会でキャリアパスしてきた校長や教頭は「ついこの間まで平の教員」であった。それがある日、「突然に管理職」になる。管理職としての訓練は何も受けていない。
・ 中には管理職になる前に、組合活動を精力的にやって、職員会議などで「校長を追い詰める、糾弾する、イデオロギー的なことを叫ぶ、卒業式の国旗掲揚に反対する、国歌は歌わせない」と言ったことをしてきた教員が校長になることは公立では普通のことなのである。
・ 特に大阪府にはその手の校長が多いと見ている。前の学校でも教員から良く聞いた話があるが、それは「あの校長、よく言うよ!教員の時には今と180度違うことを言っていたくせに」というものだ。そういう校長は必然,教員に対しては「引け目」もあろうし「まだ心底では管理職になり切っていない」面もあろう。
・ 話が脱線した。言いたいことは私は落下傘で降りてきた異星人、エイリアンであり、「しがらみ」も全く無い。従って上記のような遠慮みたいなものは全く保持していないし、根っからの「プロの仕事師を自負」しているから何でも遠慮なしにやれる。遠慮と言うのではなくて「前向きに親切に教員に情報が発信できる」と言いたいのだ。
・ さて今回の特集「給料全比較」は又又大変興味深い。まずパート1では「多様な仕事の待遇」としてプロ野球選手から農家林業までの100職種の「推定年収をランキング」して出している。毎年の定番メニューだ。
・ トッププロ野球選手3553万円、2位Jリーガー2667万円、3位国会議員2193万円、4位競艇選手1827万円となる。ボトムからいけば農家123万円、ミシン縫製工192万円、ビル清掃員222万円、給仕従事者266万円というところだ。
・ さて「公立学校の高校教員はトップ17位で44.4歳768万円、私立の高校教員はトップ20位で43.9歳736万円とある」。100番中20位だから低くは無いぞ。上の下か中の上だろう。
・ データの元となっているのは厚生労働省「賃金構造基本統計調査」などを使っているから信頼性はある。又私なりに「検証して」、これらの数値が大きくはずれていないことを確認している。
・ 今回35ページに「教師の欄」がわざわざ設けられており、あの『大分県の事件』との関連だろうが「大分の汚職事件に潜む地方の官民格差の厳しい現実」として「大分の教師の給料は民間の1.4」と調査している。
・ それによれば大分県の民間企業の年収は478万円、これに対し大分県教育委員会の教師の給料は673万(推定平均年齢40歳未満)として、大分県では教師と言えば「誰もがうらやむ高給取り」なのである。だから腐食の温床となりやすいと記事にはある。
・ 更に興味あるのは燃料高と低賃金にあえぐ運転手の給料のレベルだ。タクシー運転手55.9歳で342万円、バス運転手46.5歳で420万円、大型トラック運転手44.9歳で444万円だと言う。
・ ところが西日本高速道路公団の従業員は41歳で809万円というから官の給料は跳ね上がるのだ。眠たい思いをして車を走らせてる運転手よりも高速道路でチケットをチェックしている職員の方が2倍近く高いのだ。府の施設に派遣されている職員とプロパーの職員との給料が4倍も違うと言って橋下知事は怒ったが、これは間違いない「官民格差」である。
・ ところがどっこい教師の世界では「官民格差」はない。これは積年の先輩の努力の成果と日本の政治の産物であろうか。大阪府の公立私立教員の給料比較を現在徹底的に行っている。完成したら職員会議で「皆に開示」してやりたいと思う。
・ 決して教職員にデータを隠す必要はない。隠すものさえないのが「私立学校 学校会計基準」の精神である。私は時々、預貯金はこれだけ、借金はこれだけと「開示」している。このことが重要だと思っている。
・ 教職員の給料が「低いレベル」であってはならない。「当たり前だ」。生活を安定して貰って「教育と言う営為」に全精力を注いで欲しいからだ。教師は「一般労働者ではない」。だからと言って「聖職者」だとも言う気もない。 私は個人的には「労働者と聖職者の中間の職位」と考えている。
・ 「国家百年の体系」をこつこつと刻んでいく職業は「教職」であることに間違いは無い。「責任感」と「あくなき研究心」「生徒への愛情」、なにより「教員と言う職業に誇りと矜持」を持つことが大切だ。
・ 昨日3名の常勤講師を本校の正職員に採用内定した。「初心忘れるべからず」である。給料は後から付いてくる。社会から尊敬され学校管理者から「評価が上がれば給料は上がっていく」。ダメなら駄目な分だけ給料は上がらない。そういう時代になったのだ。教師であるからと言って誰もが同じ給料の時代はとうに過ぎ去った。「教育界が外からこじ開けられるよう」にされてきているのである。橋下知事などはハンマーで壊そうと思えるまで激しくやっている。私はもう少しスマートにやってきた。