2009年2月17日火曜日

2月17日(火)借家手当という理解し難いもの

・ 「橋下改革」の効果で09年度黒字予算が組めるように劇的に財政状態は好転したと言う。しかし私は思うのだ。大阪府はその組織体が大きいから「少し削っても効果は大きく出てくるのだなー。」と驚く。浪速など「ちりも積もッても」でしかない。
・ 例えば昨年大阪府は職員の「住居手当を削減」した。大体公務員の諸手当は数が多くて、期末手当関連と退職手当を除いても「19種類」もあるそうな。分かりにくい。分かりにくくしているのが「公務員の給料」とも言える。
・ 大阪府の場合、住居手当は「自宅を購入した」職員に毎月支払っており、その額は「毎月4600円を定年まで」支払っていたが、橋下チームで昨年これが大きな問題となった。完全な「お手盛り」である。どこに4600円を毎月定年まで支給する根拠があるのか。「コストは58億円」もかかっていたという。58億円だよ。
・ 厳しい府の財政状態の中で府の公務員が「税金を使って」定年まで4600円頂くと言うのは「おかしい」と知事は早速判断し、即刻「国家公務員準拠で一律2500円を5年間に渡って支給する」と言う風に改めたのである。公立の教員も同じである。
・ 大体「住居手当」なるものの「今日的意義」をもう一度考えてみなければならない。今民間では「住居手当や扶養手当の廃止」が決定され続けているという。確かに統計によれば全国的に廃止する企業が増えており労働組合も大きな争点にしてはいない。
・ 日本の企業の賃金体系を歴史的に見ればすぐ判る。「過去の徒弟制度的、終身雇用で低賃金の時代」は給与が少なく、住宅手当、通勤手当、子どもの養育手当、盆や正月用の餅代としての賞与など「労働賃金は低く抑えて福利厚生的な手当で従業員を囲う」経営手法が日本的経営とされてきた。
・ しかし近代経営は極力「手当ての考えは薄くして本給計算に組み入れた平等化の賃金」に充当する考えが今や主流と成ってきている。手当て制度がすべて悪いと言うことではないが近代的な「職務に応じて給与が決まる」と言う考え方と「不公平の是正」がより強く出て来たということだろう。
・ 確かに結婚していようが独身であろうが、子どもがいようがいまいが、給与には関係ないというのである。あくまでその企業体に勤めている本人の「職務職能で労働対価が支払われるべき」という考え方は極めて分かり易いしその限りにおいては「不公平感」はない。
・ 特に「住宅手当」と「扶養手当の問題」は複雑で前述したように大阪府でも昨年一定の筋を通した改革を行っている。本校では私の頭に問題としてはあったのだが、「先に片付けることが多く」て、今日まで先延ばししてきたが今ようやく結論を出そうとしている。まず住居手当について考えてみよう。
・ 本校は現在「住宅手当」と言うものを他の私学にならって支払っている。これは公立学校の教員にはない「私学独特のもの」であるが、本校だけ「廃止」と言うわけには行かないとは思っている。20年度で言えば本校は私学平均に対して約1000円高く専任教職員にのみ支給している。
・ 常勤講師には「常勤手当て」の中に入れているという考え方である。昨年常勤講師処遇を重点的に検討した時に確かに入れてあるから安心して欲しい。1年契約の常勤講師に住居手当というのはどうもなじめないのだ。
・ この住居手当は何処に住もうがローンがあろうがお構いなしに「全員一律に支給」しているものである。専任教職員60名について言えば現在「持ち家」の人は43人、貸し家の人は17人となっている。
・ 持ち家43人の人でもすでに「ローンを支払い終わっている人」は19人居るがそれでも住居手当は支払っている。ローンは終わっているのに「住居手当」とは一体どういう意味なのかという疑問もあろう。家のメンテナンス代まで学校が払う気はない。
・ また「現在一生懸命ローンを支払っている人」は19名おり、例外はあるが当然若い世代ということになる。例外とは2回目のローンと言うことで家は2軒目ということである。2軒目にも住居手当は支払わねばならないのかという疑問も出てこよう。
・ 加えて本校で「ややこしい問題」は上記の「住宅手当」と別個には「借家手当」と言うものがあることである。「借家手当」というのは「住居手当」に加えて「賃貸し住宅(即ち持ち家以外の全てのマンション、アパート、公団などの住宅)」に住んでいる人を対象にして支給しているもので「府下私学では実施例は殆どない」のである。
・ 私学の3/4にはそういう制度はないが調査して見ると現在支給している本校以外の10校では厳然とした条件があり「基本的に扶養家族が居る」と言う条件が付与されている。その金額も扶養家族数で異なる。即ち「住宅手当か借家手当のどちらか」なのであるがそういうことに関係なく本校では専任、常勤でとにかく借家住まいであれば例外なく支給されている。
・ どういう現象が起きるかと言うとそれが面白いのである。最近「珍現象」が発生した。若い先生が結婚して1年間は賃貸しマンションで生活したが一念発起でマンションを購入した。給料はまだ安いのに「持ち家にした瞬間、借家手当はカットされ住居手当」だけになったという。
・ ところが専任教諭50歳代で相当給与が高くとも「家を持つ気などなくて」、独身で借家住まいであれば一律の「住居手当」の上にこの「借家手当」が「ズーッと定年まで加算」して支払われていくことになる。一方、努力してローンを組み「持ち家」を手にした人には「住居手当」しか支払われていない。この差異をどう考えるのかということである。
・ 一方常勤講師の先生の中には本校には借家手当があるから独身生活をエンジョイし「マンション一人住まい」しているが、「親の家に同居」していると借家手当は支給されていない。「親の家に借家している」という考えはないのである。
・ 又重要な視点として「住居」と言うのは「通勤手当」に直接影響してくるもので「遠隔地の借家」に済み、長い距離を通勤してくる為に相当な実費である「交通費」は事業者負担となっているものもある。
・ 同じ借家住まいでも「自転車で学校に通えるマンション」と月額何万円もかかる通勤費負担の先生の借家手当ては全く同じで、それならば事業者としては交通費の差額分くらい借家手当を見るべきという考えもあろう。
・ 長い間住み慣れた場所を動くのは「おっくう」だから北摂の遠いところから高い通勤費で通っているのだが、本校に勤めた瞬間から借家手当をいただけるようになり、ますます「居心地が良くなる」という寸法である。
・ とにかく私は今「浪速旧弊の総決算」をしている。分かり易く、見え易く、均等部分と公平部分とに分けて「手当処遇を見直している」のだ。公平とは「働きに応じた分配」ということである。この借家手当などは「どう説明しても橋下知事には分かってもらえそうもない」。
・ 助成を受けている身として、説明できないものは見直すしかない。4月から「見直しを図る」方向で最後の検討をしている。恐らく該当者には個別対応してお話をきくことになろう。教職員にはすでに詳細説明しているが・・・。