前略 4月1日新たに着任された常勤講師の先生方へ> ご苦労様です。お疲れなど出ませぬように。ゆっくりとマイペースで進めてください。 大いに期待しています。> さて着任以来たった3日間ですが様々なことを見聞し経験したと思いますがその感想なり所感なり覚悟なりを「精選した言葉」で作成し理事長校長にメール返信してください。字数は500字以内でワード形式とします。期限は明日中とします。以上宜しくお願い致します。>
(学)大阪国学院 理事長> 浪速中学校・高等学校長 > 木村 智彦
・ 以上は1昨日3日に校内メールで新任の常勤講師に対して打った私のメール内容である。4月1日に着任して新任研修、最初の職員会議、分掌会議、学年会議、職員室に席の入れ替えと矢継ぎ早に様々なスケジュールが組まれており、丁度3日間というのが「最初の印象」を持つのに適当な期間と考え、お願いしたものである。
・ 新人の先生が上手く「着陸」してくれたかという心配と、例え500字と言えども「文は人なり」、「書いた人となりの個性」が出てくるものでそれを知りたかったということがある。加えてこれらの「新人を迎える職場」がどうであったかも確認したかったからである。
・ 結論から言えば総じて18名の新採用の先生方は「想定以上の上手い着陸」をしてくれていることと、受け入れ先の職場が「万全の体制」で「親切に優しく」迎え入れてくれていることが文章に直接表現されており大いに私は「気を良くした」のである。
・ 18名の先生方の500字の印象や覚悟の文は昨日自宅に持ち帰り、本日楽しみにして読んだ。大変面白いと言うか(インタレスティング)、興味を持って目を通したのである。私は人の書いた文章やレポートの類を読むのが「特別に好き」なようである。
・ まず全員が時間通りに「返信」してきた。ところが2名の先生はファイルをワードと指定しているにも関わらず他の拡張子が付いており、同封が開けなかったのともう一つは危険ファイルとして添付が削除されていた。先生方は「ちゃんと理事長に届いたか」送信を確認しなければならない。詰めが甘い人がいる。
・ 一人の先生は所定の書式に付け加えて別のファイルに紙3枚に及ぶ「企画書というか提案書」までつけてくれており、その内容も「中々のもの」で私は感心した。又別の3人の先生は同封の文章に名前もタイトルも付いておらず、これは「レポートの形が出来ておらず」、小論文を出す基礎訓練が出来ていない。 これでは先行き困る。
・ 概して18名のうち、大学卒業して直ぐ本校に着任した、まさに新人先生は「心の不安」が手に取るように分かったが、さすがにベテラン、とは言っても最大で4,5年以内のことだが、それでも「落ち着いて様子を見ている」のが良く分かる。
・ 私はメールで自分の「精選した言葉」で書いて寄こすよう依頼したのだが、全般に文章をまとめるときの「ボキャブラリーの豊かさ」と「表現方法」には個人差を感じた。これははっきり言って今日までの「読書量の差と思考力の差」が出るものだと言わざるを得ない。「蓄積の差」である。直ぐ判る。
・ ところが必ずしも「蓄積の差」が「教師力の差」とならないところが、教師という職業の面白いところで結局は「人間力の差」となってくるのだろう。勿論人間には「運」という「不可解」なものはあるから「棺おけ」に入った段階で人生の集大成となるのだが、今までの蓄積はやはり大きい。そうでなかったら誰も若いときに勉強はするまい。
・ 18名の先生と昨年本校に勤務し始めた30名近い先生とあわせて44名以上の常勤講師の先生の「教師生活が本校からスタート」したと思えば私も責任を感じる。浪速を基点に「素晴らしい教師生活」を送ってもらいたいと念願するばかりである。
・ そのためには「謙虚に努力」することに尽きる。今はこの500字の文章にそれぞれが思いを書いているように「初々しく」「はつらつ」としているが、悲しいことに今日の原点を忘れて「惰性に生きる教師」となってはならない。
・ 仕事の要領を覚えたら右から左に処理する腕にはたけてくるが「そこには教師の原点を忘れた見せ掛けだけの教師」みたいな「素焼き」の陶器そのままの人もいる。しっかりと「本焼き」した決めの細かい水の漏らない先生になって欲しいものだとつくづく思う。
・ 感想文はどれも素晴らしかったが代表として4人の先生が何を感じているかここに記載してみる。
A例 新卒 女性 「3日間の所感と決意表明」
木村校長よりお言葉を頂戴し、ほどよい緊張感と謙虚な余裕を持って新しい春を迎えてから早3日が経ちました。木村校長に関しましては以前より「校長ブログ」等を通して存じておりましたが、お会いして実際にお話を伺うことが出来たこと、またこれからもお話を伺うことが出来るということを大変有難く思っております。
さて、この3日という短い期間の中ではありますが、様々な所感を持ちました。
まず、「生活指導が大事である」という木村校長のお言葉の通り、生徒への指導が徹底されていることに驚き、これほどさわやかに振舞うことが出来る中高生がいるのだなと本当に感心致しました。これも木村校長の「面倒見の良い学校」というお言葉を受けて、先生方が生徒指導に尽力なさった賜物であると思います。
また、多聞尚学館の設立や学内イントラネットの整備等々、設備に関しましては生徒だけではなく教員も気持ち良く勤務することが出来る様に配慮していただき、有難い限りでございます。
新任1年目で右も左も分からない状態ですが、ご期待に沿うことが出来る様にひとつずつ積み重ねていきたいと思っておりますので、ご指導、ご鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
B例 新卒 女性 「3日間で感じたことについて」
研修や職員会議、校務分掌が発表され新学期を迎える準備が整い、緊張と不安を抱えながら各個人に配布していただいたパソコンを前に指定された机に座ると実感が湧いてきました。職員会議では理事長校長先生のお話を聞き、中学校での指導の重要性が分かりました。ご多忙のなか第3職員室まで来てくださり、ありがとうございました。先輩である諸先生方は親切に色々と教えてくださり、生徒たちと対面できる日が楽しみになりました。
教科指導ができることが前提で、そのうえで生徒指導ができると思います。できて当たり前のことを当たり前のようにできるように準備し、日々精進していきたいと思います。生徒たちが小テストや毎日の授業のなかで達成感を味わえることを積み重ね、自分たちの力に自信を持つことができるようにしたいです。できる喜びから勉強の面白さを感じてほしいです。教室の清潔感の維持や挨拶の徹底など学校内の雰囲気を気持ちよくすることも指導していきたいと思います。
C例 新卒 男性 「着任してこれまでに感じたこと」
着任したことを最初に実感したのは、4月1日新任研修での理事長挨拶でした。これまで、インターネットでは校長日記を拝見し、浪速に勤めることへの意気込みを自分なりに高めていました。しかし、理事長の声は想像よりはるかに重く私の心に響きました。そして、これから私は浪速のために力を尽くすのだと強く心の中で誓いました。新卒の私の力は今は小さなものですが、浪速を変えていくことへの気合いで満ちています。
また、先輩の先生方には教師ゆえの苦労と喜びを教えて頂きました。前向きに努力をし、失敗をしたら必ず次の機会には成功へと導く。常に前進する気持ちが大切だと学びました。そして様々な会議にも出席し、教職員全体で取り組む姿勢を目の当たりにしました。一日も早くその輪の中にしっかりと加わることができるよう努力致します。
まだ3日しか経っていませんが、私の感覚では一週間は過ぎたように感じています。そして、いよいよ生徒の前に立つ日が近づいています。教師としての誇りをしっかりと持ち、前向きに、謙虚に、力強く精進致します。
D例 非新卒 男性 他の私立高校での経験あり タイトルなし
4月1日職員会議13時20分開始予定。「何人の先生方が開始時刻を過ぎて入室して来るだろう」「何分遅れで職員会議は始まるだろう」と考えていました。しかし、誰一人として時間を過ぎてから入室されなかった。会議は時間通りに開始された。その光景を目にして「教師集団に緊張感がある」という印象を持ちました。恥ずかしながら、私はこの当たり前の光景を目にして深く感銘を受けてしまったのです。なぜなら、これまで、生徒のいない所での教師のルーズな面を多々目にしてきて、これで良いのかという葛藤を持っていたからです。
職員会議及び新任研修にて「生徒生活指導」に関するお話がありました。生徒生活指導徹底のためには、指導する側が何よりもまず自身を律しなければならないというのが持論です。そして、それは教師間の刺激となり、集団内により良い緊張感を生むと考えています。
この信念だけは、何があろうと曲げずに職務を遂行するつもりです。教科・部活動・学級指導は当然のこととして、私は「浪速=生徒生活指導」のために、貢献できればと強く考えております。
まだまだ未熟者ですが、どうぞ宜しくお願い申し上げます。