2009年5月5日火曜日

5月5日(火)子どもの日に、ちなんで

・ 今日は「端午の節句」最近では「子どもの日」という。学校に勤務する者にとっても特別な日となる。男子生徒も女子生徒も元気で伸び伸びと体も精神も成長して欲しいと私はつくづくと思う。厳しい世の中になったが、子どもたちに「学ぶ意義」を再確認して貰い、「目標に向かって努力」する「気概」を持って欲しいのだ。
・ 必ず「頑張れば報われる」ということだけは伝えていきたい。今の世の中の流れや様々な現象が「生徒たちに悪い影響」を与えないように、そのためにもしっかりと「基礎基本の学力」をつけることだ。大学に行こうが行くまいが「知識と考える力」が何よりも「生き抜いていく力」になることは間違いない。
・ 「勉強してどうなる」などと迷う生徒に正しく教えていかねばならない。「人生は長く厳しい」。今はその意味が分からなくとも何時か将来「あの時もっと努力して勉強しておけば良かった」と思う時が必ず来る。学校は卒業後での「後悔の数を減らしてやる」ところではないのか。
・ 今私が最も心配しているのは「子どもの喫煙」だ。連休はじめにNHKは「タスポを導入」してからの分析を報道していたが、自動販売機の売り上げは激減したが面対販売の数は大幅に増えて元々の狙いであった「子どもの喫煙防止に効果がなかった」ことを伝えていた。要は子どもだろうが誰だろうが金を持って来た者にはタバコを売っているのだ。
・ 日本の成人人口の喫煙人口は先進国の中で群を抜いて高い。連休中に飛行機の乗る機会があったが「緊急放送」があり、手洗い室でタバコを吸った者がいたらしくて機内放送はあるわ、乗務員は顔色を変えて走り回るわで大変だった。先の子どもにタバコを売る大人や狭い空間の飛行機の中でタバコを吸うなど日本は本当にひどい国になった。
・ ところで1月1日から「校内敷地内全面禁煙」に移行して4ヶ月が過ぎた。「ソフトランディング」出来たと喜んでいる。校内の空気が澄んで綺麗になった感じがする。喫煙者には申し訳なかったが「世の流れ」であったし、「ここは学校だ。生徒の目もある」。
・ 「健康増進法」が制定されてから6年が経った。第25条、多数の者が利用する施設を管理する者(私)は、これらを利用する者(生徒と教職員の非喫煙者)について「受動喫煙を防止するため」に必要な措置を講ずるように決められ、私は法にのっとり実施しただけのことだ。
・ 準備期間を1年間取り、喫煙者には誠意を示した積りである。しかし世の中はますます「喫煙者への風当たり」はきつくなってきている。「気の毒なこと」だがそれが世界の潮流だ。私だったらボツボツ「年貢の納め時」と禁煙宣言するのだが、頑として止めない先生もいる。
・ もう定年までいくらもない先生に言っても仕方がないと内心では思っているが、気になるのは若い先生である。「浪速の将来」を背負って欲しいような優秀な30台の教員の中にはそれとなく言うのだが・・・。
・ 私は喫煙者が憎くて無理を通そうとしているのではない。あくまで「生徒の為」だ。過去2年の間に中学と高校で「喫煙理由で生徒指導」がなかったわけではない。それも相当厳しい処分があった。近寄ればタバコの臭いがする教員が生徒に「タバコはあかんぞ」と言って「筋は通るか」と言っているだけだ。
・ 心肺機能が重要な運動クラブの顧問や保健体育の授業で「健康第一」といいながら自分はタバコを吸うという行為に違和感を覚えないのかといっているのだ。教員を辞めたり、定年になれば好きなだけ吸えば良い。しかしここは学校だ。自宅の居間ではないと言っている。
・ それにこれは私の「独断と偏見」だが喫煙教員はどこか違う。何処がどのように違うかここには書かないが、私の観察によれば「生き方、私生活、ビヘイビア、心情、仕事っぷり」など違うのだ。意志薄弱、頑迷固陋とは言わないが何か「わが道を行く」というような臭いを撒き散らせている感じだ。
・ 校内では吸えないから通勤途中の駅で「溜め込んでおこうとするのか、思い切って煙草を吸い込んで」から校内に入るものだから、朝一番に私の部屋に報告に入ってくるヘビースモーカーなどは逆に「吐く息」が煙草臭くて閉口し、注意したら、最近では大分臭わなくなった。
・ ところで「喫煙者の就職差別」は法的にどうなのであろうか。些か興味があるので調べてみた。「あるのである。」採用時に喫煙者と非喫煙者に差をつけるところが現実に出てきている。最初から「入社はさせない」ではなくて「入社までに禁煙すること」が採用の条件というのだ。
・ しかし新入社員が禁煙を失敗したり、会社では吸わずに外部で吸うなど喫煙習慣を隠蔽することも考えられ、これが発覚した場合には「解雇」されても文句は言えないのであろうか。
・ 「それはやりすぎだよ」。」煙草を吸うか吸わないかは個人の趣味嗜好の問題であり、それを採用の条件にすえるのは「行き過ぎ」というのが一般的な「否定派の言い分」であろう。
・ しかし企業には「採用の自由権」が認められており、これは民法の大原則であり、「誰をどのような条件で雇用するかは雇用主の自由」とするものである。ただ自由と言っても当然制約がないわけではない。「業務内容と直接関係のない理由で不採用とすることは許されない」とするのが主流の考え方である。
・ 過去に重要な判例がある。60年安保闘争の学生運動を主導していたことを理由に採用を拒否された「三菱樹脂事件」というのがあった。この時に最高裁は「企業の不採用を当然に違法とすることは出来ない」とう判決があったのである。
・ 勿論憲法の思想信条の自由と労働基準法第三条の定める「信条による差別待遇の禁止」はあるがある法律家は「現に喫煙習慣がある者を不採用と決定しても違法とまではいかない」とする意見があるほか、「喫煙習慣は業務に支障を来たす恐れがあるため、純然たる嗜好の問題とはいえない」との意見もある。
・ 本校でも最近まで私が仕事のことで電話したときには何時も席に不在で「喫煙ルームにて一服」しているヘビースモーカーがいて、その度に取次ぎの女性が連絡に走り、これなど完全に業務に支障を来たしていた。
・ 採用条件をごまかしたり、就職後、喫煙習慣を持ち始めた人に対する「解雇は可能か」と言うテーマであるがどうも以下のようになるのが今の法曹界の一般的回答らしい。「懲戒問題にはなりうる。ただ喫煙行動に規制が自ら働いている従業員であれば解雇まで踏み込むのは行き過ぎ」と言うものらしい。
・ つまり解雇されても訴訟すればその従業員の行動パターンなどが徹底的に明らかにはなるが「社員としての「地位を回復できる可能性」は十分にある」らしい。しかしそこまでして地位の回復を得てもその後がしんどいだろう。
・ テレビに煙草のコマーシャルが映らなくなって久しい。全面禁煙とする公共交通機関や飲食店も増えてきた。他方でこれに対する「反動」も出てきている。しかし私は今後とも「校内禁煙を徹底」していく。それが学校長の責務だ。「生徒の喫煙も厳しく指導」していく。
・ 来年度以降の「教師の採用基準に非喫煙者に限る」との条件を付与する気は今のところはない。喫煙者と非喫煙者の差異がどのように校務運営に差異があるのかまだ定量的なデータがないからだ。
・ 私の意見は学校という職場に勤めるものは「非喫煙者であって欲しいとの願望」だけである。単なる希望だ。校内では吸わないのだから「ガタガタ言うな」と思われるだろうが、それなら生徒指導や部活動指導、保健体育の授業はどうなる。喫煙の健康被害を教えることが出来るのか。このように明確にものをいう校長は他にはいないだろうが、臆せず私は言うし、書くのだ。