2009年5月21日木曜日

5月21日(木)修学旅行のキャンセル料

・ 休校期間中に特に高校生が「あちこちに出没」していると新聞記事に出ていた。橋下知事も「困ったものだ」という様相で「しっかりと家で勉強して欲しい」などのコメントを出している。教育長も「対応策を強化する」と述べている。
・ 府教委への「クレーム」が凄いのだろう。勝手に学校を休みにするだけで、生徒の面倒を見ていないから朝から外に出歩いて子どもは遊びまくっている。「何とかしろー!」というようなものではないか。想像できる。
・ 確かにカラオケ店や駅前のショッピングセンター、ゲームセンター、アメリカ村などでに出没している生徒もいるらしい。私自身も心斎橋を歩いていたら、これはひょっとしたら「高校生?」などと感じる若者を見かける。
・ 休みだから制服など着てはいないが商売柄一目で「高校生かどうか最近では分かるようになってきた」。しかしこれは基本的に「不味い」わけでちゃんと指導しなければならない。大阪府の私学課からも指導強化の要請が来ていた。
・ 本校は生徒生活指導の教員がグループを組んで堺駅、岸和田駅など生徒がうろつきそうな場所を巡回しているし、いままでお店の方から通報などはない。しかし徹底のため学校ホームページの「緊急連絡」欄に「指導事項をアップ」するなどして注意を喚起している。
・ 本校の場合、運よく25日から「中間試験」になっており、これは大きな「規制力抑止力」になっているはずだ。特に1年生や2年生の中間試験成績はその後の「転科転コースや進路に影響」あるので生徒は「気になっている筈」だから、勝手気ままには出来ないと私は踏んでいる。
・ しかし「生徒の気持ち」も分からないではない。家には誰も居なくて兄弟姉妹が居るところはまだしも、たった一人で、お母さんは外に働きに出て留守の状況の中で、朝から晩まで「勉強、勉強」と言うわけには行くまい。「ストレス最高潮」と言ったところだろう。
・ 特に修学旅行が直前で中止になった学校などの生徒は「脱力感」なども加わって大変なことは想像できる。今朝の記事に「樟蔭高校」の例が出ていた。18日伊丹空港で北海度行きの飛行機に乗り込む「寸前で中止」の連絡があり生徒は「有り得なーい!」と言って泣き出す者も居たという。分かる。

・ ところで「修学旅行のキャンセル問題」がにわかに「クローズアップ」されてきた。私はこのことを想像していた。橋下知事なら絶対にその内に「言及するのではないか」と想像していたが「的中」した。
・ 我々は5月12日に「修学旅行中止」の「臨時保護者集会」を持って一連の経緯をご説明した。その時の様子は12日のブログに詳細に記載しているが想定どおり「キャンセル料」問題が保護者の最大関心事の一つであった。そのブログの一部を再掲しよう。
 “保護者の関心は色々あったが、「中止はやむなし」、しかし代替として何処に連れて行くのか」という質問が多かった。しかし延長論やオーストラリア以外の国など様々なご意見が出てきた。
やはり「キャンセル料」の問題が関心の主体であり、ご理解は頂いたが今後とも削減の努力と新しい国内修学旅行の企画でトータルとしては「損金」の少なくなるように努力すると私は申し上げた。
7時きっかりに始まり体育館での説明会が終わったのは8時45分、その後遅れて参加された一人の保護者と校長室で「キャンセル料問題の延長戦」となった。これが終わったのが10時過ぎで「完全にご理解」頂き、最後は握手、握手で「すべて校長に任す」と言って頂いたのである。
その後別室に待機していた旅行会社3社の担当者総勢6名にニュアンスをお伝えし、中止の正式決定と今後の段取りについて最終確認をしたのである。“

・ 昨日の夕刊から今朝の朝刊が記事にしている橋下知事の発言は「修学旅行は最大のイベント、悲しんでいる子どもたちのためにもどうにか財政的な支援をしたい」というもので「府教委に対してキャンセル料の発生状況を調査」するように指示したとある。
・ 知事は「良い勘」をされておられる。前にも書いたが「15兆円もの補正予算」がある。自治体には一般財源として大層大きな金額が期待できる筈で、それを期待されているのかどうか分からないが、「支援」して頂ければ有難い。
・ 「唯一の不安と言うか不満」はここでも「私学の私の字もない」ことだ。このキャンセル料は授業などと違って私学も公立もあるまい。支援なら「公立私立平等であるべき」だ。私学の保護者は善良な納税者である。
・ 無いと思うが若し公立学校のキャンセル料は公費から補填して私学は保護者負担と言うことにでもなればこれは「許してはおけない」と言うことになるだろう。私自身も立ち上がなければなるまい。
・ 今回の知事の府下全校の休校措置は「英断」であったと私は評価している。ただ私学樟蔭高校のように伊丹空港で直前に中止になった学校とか本校のように本当であれば「本日21日の夕方、関西空港から順次オーストラリアや北海道に出発の日」であったのである。
・ 今朝の日経新聞の記事はJTB西日本や近畿日本ツーリストが「修学旅行キャンセル料無料」と出ていたがこれは「誤解を招く」記事だ。「延期なら無料で中止の場合は対象外」とあるが真偽を確かめるように担当に指示するとともに、午後旅行会社3社に私から直接電話して「正当な扱い」「常識的な扱い」「温情ある扱い」をお願いした。
・ 延期と言っても本校のように600名を超える部隊で海外旅行において飛行機、ホテル、訪問地が全くこの5月と「同じようにスケージュールが組めない」と想定し、又「学校行事」がすべて「がちがち」に決まっており、やむなく中止としたのであって好んで決定したわけではない。
・ 本校は進学校だから高校3年生にもなって修学旅行に行かせるわけには行かない。だからギリギリ「来年の3月トップに国内旅行」で「新たな企画」を組みなおすことにしたのだ。これは「中止だから駄目」と言うのは解せない。それなら延期に変えるだけだ。
・ いずれにしても大阪府、旅行会社、事態はまだ「流動的」であり、「今後の展開」を見極めたいと考えている。しかし「旅行会社も大きな被害者」であることは間違いないが、「休校は致し方ないとしても、修学旅行中止のキャンセル料を保護者負担にすることは出来ない」 と考えなければならない情勢になってきた。
・ まして公立は公費で弁償し、もし「私立は知らない」ということでは私学の関係者は納得できないだろう。私は今後どうなろうとも「本校の2年生の保護者へキャンセル料で負担を求めることは出来ない」と昨日から本日にかけて意識が変わりつつある。「最悪のケースの覚悟を決めなければならない。」