2008年10月1日水曜日

10月1日(水)その1:授業料値上げ

・ 今朝の各紙は大方3段記事で載せているのだが、遂に「授業料値上げ」の記事が出始めた。9月から本格化している私立中学校や高等学校の学校説明会は10月11月12月と本番を迎える。注意してみないと気付かないが新聞にも「私立学校の学校説明会の日程記事」が今後頻度を上げて出てくるだろう。
・ 駅のプラットホームや電車内の「つり広告」もこの頃から目立ち始める。しかし我々は余りこの種の広告には力を入れてない。まず塾関係者と現役の保護者、それにホームページからの宣伝広告(?)を主体としている。それが最も効果があるとデータが出ているからだ。
・ しかし私としては「遠慮せず、やるべきものはやって良い」と水を向けるのだが入試広報室は「彼らの経験則」があり、私の意見は時に無視される。まあプロとしてしっかりとやってくれており、「何より結果を出しているからこれは強い」。何事も結果がものをいう。「一生懸命やりました」いうようなことは聞きたくもない。一生懸命やるのは当たり前でしょう。
・ この前にも以下のようなことがあった。新聞広告には「単独」と「連合」と言うのがあり、どちらかと言えば本校は「単独派」と言え、約4週間前に大きな記事が連合であった。ここに記載されている学校は言ってみれば「名門私学」のようにも感じられるくらい有名な私立高校の名前が出ているのだ。
・ そこに「本校の名前がない」のは辛いものがあり、入試広報を呼んで「なんでこの中に本校は入っていないんだ?」と詰問するも「・・・・」で終わりだ。私の感じは「灘、東大寺、清風、桐蔭、四天王寺、大谷・・・」などの中に入っておきたいという願望だ。
・ これはたまたまで何時も良い学校ばかりが入っているわけではない。名前は上げられないが不祥事続きのH高校とか生徒が本当に居なくなって危機が噂されているH高校とかも入っているのだが、そういう学校は良いとして一流私学の「ブランド力」のある学校の横にも本校の名前があればなーという、ただそれだけの話だが。
・ 「橋下改革、私学を直撃」「私学50%超え、授業料値上げ」「府内私立校8割超 財政再建策のしわよせ」とかの見出しが躍る。要はアンケート結果に応えた高校83校のうち、「授業料値上げを検討」「値上げを慎重に検討」をあわせた学校の割合は小学校87%、中学校91%、高校84%に上ったという。
・ 一方6割以上の学校が経費削減策として「給与カットなど人件費の抑制に取り組む予定」と回答している。苦しい経営事情が垣間見えるではないか。大阪府は8月から私立小中の補助金を25%、高校を10%削減したが21年度は100%通年の適用となるから影響は大きい。
・ 本校も9月に1回目の補助金を頂いたが「空けてびっくり玉手箱ではない」というところで、予想を超えた削減額である。今後残った2回の助成金を私は注目して見守っている。単純な計算では出て来ないし、府も1年単位の予算だから景気状況では更に厳しいものになろうと私は身構えているのだ。
・ 各学校が取り組む対策は「人件費」が主体となるが給与のカット、手当の廃止、早期退職制度の導入、賞与の支給を行わないという学校もどんどん出ている。幼稚園は55.4%が「値上げしない」ということらしいが府の私学課のコメントは「小中高に比べて保護者年令が若いため負担増は難しく止むを得ず、「コスト削減」でしのいでいるのではないか」としているが私はそれだけではなくて幼稚園は500園近くもあり「競争が激しい」から「上げたいのは山々だが他園の様子見」と見ている。
・ 私立高校も同じような傾向である。会合などで「情報交換」しようにも「上げたい」とは言われても「上げる」とは言われないし、「肝心の上げ幅」については口をつぐんで何も言われない。
・ 正直なところ本校は「困っている」。困っているのは元々「橋下改革が始まる前から決めていたことで、何か一緒にされるのが釈然としない」のだが、上げることには間違いない。今まさしく慎重に「上げ幅」を検討しているし、在校生の保護者にも来年度からお願いせざるを得ないと考えている。
・ しかし私は今回のことで「私学の付加価値」がよりチェックされ見方が厳しくなってくるから「生徒の為には良いこと」だと考えている。「いい加減な授業」「いい加減な指導」「いい加減な校務分掌」等は厳しく指弾され「授業料を返せ」となるだろう。
・ そういうわけで今日の一斉参拝の校長の話は「授業第一」「授業妨害者の排除」「授業中身のレベルアップ」と矢継ぎ早に対応策を決めたことを校内放送で一斉に全校生徒に伝えた。教職員には昨日のうちに「校内メールで配信」し全教員に指示をしたのである。
・ その文面は:
 “前略 本件重要に付き、徹底して進めて頂きたい。「元来静粛であるべき授業中に私語をしたりざわついたりする生徒への対応について、10月以降少し厳しく対応していくように生徒指導のレベルを上げるよう」にお願いします。「授業を大切にする」ことを具体的に展開する為です。11月には「臨時保護者集会」を開催し、在校生の保護者に「授業料の値上げ」をお願いする予定でいます。「授業料はその授業の中身に対しての対価であり、」これが正当に評価されないようでは理解を得るのは難しいと考えています。一時期に比べれば相当改善されていると思っていますが、それでもまだ問題ある教室や担当教師の授業があると思っています。本件は「学年主任と生指とのタイアップで進めるように」お願いします。指導してもダメなら別室学習も視野に入れて厳しい対応を取って欲しい。・まず業間遅刻は制限をつけ、25分とか欠課となる場合は教室に入れないこと。・午前午後でざわめきが違ってくると思うが、特定の生徒に限られている筈で個別指導を徹底のこと。・その他 新しい視点で「授業の中身を濃くするよう」お願い致したい。”    (学)大阪国学院 理事長    浪速中学校・高等学校長         木村 智彦