2009年3月8日日曜日

3月8日(日)鹿児島県阿久根市の市長さん

・ 今「鹿児島県阿久根市の市長さん」が面白い。お名前を竹原信一さんという。49歳だ。ウィキペデイアによれば鹿児島県立「出水高等学校から防衛大学」に進み、1988年に退官して帰郷。親の経営する建設会社に就職した。出水高校といえば鹿児島でも指よりの進学校でキャリアは申し分ない。「公人」だから経歴は公開されており直ぐ情報が入手できる。
・ このように「人の論評」をするときは出身県、学歴、職歴から「お人柄などを一人勝手に想像する楽しみ」がある。「大体当たるなー」と思う。私も良く始めてお会いした人から「想像していた通りのお人でした」などと言われることもある。
・ 2005年の阿久根市議会議員選挙に出馬し初当選、3年後恐らく思い余って「市長選」に2008年出馬し初当選した。この時は市議全員が推した前職市長と500票程度の僅差であったという。実はこの市長選挙が今阿久根市で騒動になっている原因だと私は踏んでいる。
・ 竹原市長は選挙期間中も「ブログの更新」をし、選挙管理委員会から注意を受けたらしいが、「総務省の解釈がおかしい」と反発した。どこか橋下知事に似ていません?ご本人はこの選挙期間中の「ブログの更新が当選に結びついた」とは思っているのかどうか分からないが、とにかく更新し続けたらしい。
・ しかしこの指摘はおかしいのであって自民党も民主党も選挙期間中にホームページを更新し、立候補者はブログなど更新しているからこのことを取り上げて批判するには「筋違い」である。要はITに弱い対抗勢力が「イチャモン」をつけたというところだろう。これが第一幕である。
・ 第二幕はブログで「市議の不人気投票」を行ったことだ。「おもろい。」「阿久根市議会で最も辞めて貰いたい議員は?」というテーマで市議会議員15名全員の名前を挙げて「ネット投票を募った」のである。今年の1月12日のことである。市長に言わせれば「私も投票を受けている」からと言っている。確かに市長への賛否をネットで問うている。公職にある身だから仕方がないという論理だ。
・ びっくり仰天し、頭に来た市議会議員は2月6日に臨時議会を開いて「市長不信任決議案」を全会一致で可決した。不信任決議を受けた竹原市長は4日後の2月10日に「議会解散」を告示し、「議員全員の首を跳ね飛ばした」のである。
・ 私はこの4日間に何を市長が考えたのか、思考の中身を知りたい。「出直し市議会議員選挙」は3月22日にあるからこれは「注目しなければならない」。若し前職が通れば改選後の議会でもう一回不信任が可決されるだろう。そうすれば今度は「市長の首が吹っ飛ぶ」ことになる。「失職」という。阿久根市の「民意」は果たしてどうかな?
・ しかしだ。「今辞めて貰いたい教員は誰か?」と言って「生徒と保護者にネット投票」をして貰って上から順番に「○○先生何票、□□先生何票、XX先生何票、・・・・」などとブログにお名前を書くのと一緒だから、果たしてこのようなことは私に出来るかという質問を受けそうだが、答えは「私はしない」だ。「さすがに私でも出来ない」と言った方が良いか。
・ 公職である市議会議員だから許されると考えるなら「私学教員にも公的資金が入っている」のだから半分は公人として許されると言う考え方もあるが、些か無理があるのではないか。我々は政治に直接タッチしていないあくまで教職にある身だ。元々市民や府民の「直接選挙で職にありつけたわけではない」からだ。
・ ところが阿久根市の市長はそれだけでは済まさなかったのである。第三幕が切って落とされたのである。「ブログ市長」は今度は市のウェブサイトに市の「職員268名の給与明細を公表」したのである。これをテレビや新聞がわいわい騒ぎ立てている。
・ 頭に来た市議会が「不信任決議」をしたから市長は二の矢として市のホームページに消防を除く全市職員268人の給与明細を1円単位まで公開したということではなさそうである。どうも「前からの確信犯」である。
・ 勿論個人名は書いていないのだが年令や家族手当などをよくよく見れば個人が特定できると市職員は困惑当惑していると言うし、事前に説明もなかったというが、「地方自治体が給与の号俸単位の額や扶養手当、住居手当などを公表」するのは当たり前で「条例」でそのように決められている。別におかしい話ではないと思う。
・ だから私は阿久根市長が一覧表で全員の分を出したということを問題にしているのか、何が問題なのかまだ良く分からない。市長はブログに「年収700万円以上の職員が54%もおり、市の将来は人件費を適正化できるかどうかにかかっている」と主張している。
・ 市のホームページの「市長の部屋」を読むと市長の公約は市政改革と市議会刷新を強調し「人件費の削減」を施政方針に掲げているのだ。「公約どおりに進めている」と思っているのだろう。
・ 確かに阿久根市の職員の給料は比較的高い水準にあり、「鹿児島県内の49の市町村のうち上から3番目」と言う。又市長は「悪いことさえしなければやる気がなくとも給料は青天井という給与体系をどうにかしなければ」と書いてある。
・ また「給料も今まで一応は公開されていましたが非常に分かりにくいので今回見やすい形にしただけのことです。これは市民サービスの一貫です」と「正当性」を述べている。まあまあシャーシャーとしているな。この辺はすごいところだ。
・ このあたり、「橋下知事に似ていないか?」大阪で知事が進めた全国学力調査結果の公表と似た感じがする。ネットの書き込みは「良くやった、偉いよ、竹原市長」とか「公僕の雇い主は市民です。雇い主が給料チェック、これ普通竹原市長は正しい」とか色々あるが市長に厳しい反応があることは市長も認めているみたいだ。
・ 予想通りだ。過日の新聞各紙に橋下知事は「阿久根市長に橋下知事賛同」「非常に納得」「オープンにするといろんなことが分かって良い」と大阪府も前向きに検討するそうだ。私の想像したとおりの発想を知事はする。
・ ただ橋下さんは府民の支持率が80%であり、市長さんは50%だからそう強気にも出られないのではないか。個人的には竹原市長に少し「何か変?」と言う気がしないでもないが、とにかく3月22日の選挙が楽しみだ。阿久根市民がどういう判断をされるのか。
・ ちなみに本校でも「教職員の給料一覧表などを1円単位で公表せよ?」って迫られても、お答えは「致しません」だ。その必然性がないからである。しかし世の中は面白くなってきた。特に「地方自治体の首長」に「面白い人材」が出て来た。「地方分権」はこのようにして既に始まっている感じがする。