2009年3月16日月曜日

3月16日(月)風の吹くまで昼寝かな

・ 昨夜久々にテレビドラマをじっくり見た。「落日燃ゆ」という城山三郎氏の有名な小説のドラマ化である。小説は随分前に読んで記憶にあるのだが、テレビの方は今ひとつ奥行きのなさは感じるも、主演の熱演もあり、まあ見ごたえはあった。
・ 広田弘毅元A級戦犯の家族愛を主体に描いたものだが特にこの小説で有名な言葉が「風車 風の吹くまで、昼寝かな」だ。これだけは小説でしっかりと覚えており、時々私は引用したりする。大体私は昼寝して待てるような性格の男ではないから、余計に「この言葉が心に届く」のだろう。
・ 本来の意味は「隠忍自重して計らず機会時節の到来」を待つというものだが、学校に置き換えて考えてみる。学校長が「教職員の意識改革が進むの「昼寝して待っていたら」、何時かは意識改革がなされるかといえば私の答えは極めて「悲観的」である。学校と言うのはそんなに甘いものではない。
・ 「先生、何時頃からですか?お昼に外へ出て食事をとられるようになったのは?」「去年の秋頃でした。」「本校の美徳は教師は何時も校内にいる。それは何が生徒に起きるかわからないからと聞いています。そのことはご存知でしたか」「知っていました」。「ウーン、それは不味いですよね。どうしてこうなったのですか?」「・・・・」あるベテラン教師との最近の会話である。

校長メッセージ                      平成21年3月11日
           「一部服務規律遵守の件
                               理事長・校長
 生徒からも直接耳にしたり周辺住民から声が出たりしているので下記の案件について今後徹底するように本通知文をもって全教職員に依頼します。

1.正門前道路横断について
 ・これは私も反省することであるが、時々正門前の自動車道路を横切って正門に入ったりする教職員を見かける。これは明確に道交法違反です。
 ・確かに遠回りして横断歩道のあるところまで行くのは面倒くさいがこれは仕方のないことです。特に中学生などには指導しているところでもあり、教職員が自動車道路を横切って校門に入ると言うのは学校というところに勤務する人間としては良くないことです。
・まず不測の事態を避けるためにも、交通事故を回避するためにも、してはならないことはしないと徹底することしました。コンプライアンスの精神です。地元住民や生徒の目もあります。特に自動車通勤の教職員に多いと見ています。
 ・今後正門前の自動車道路横断はしてはならないと思います。これは私が命令を下すことではなくて日本の法律です。
2.昼食時の外出について
 ・ 本校の慣例は教職員は常に校内にいるということで今日まで来ており、一つの浪速の文化でありました。その理由は教職員は「生徒の側にいる」という鉄則を守ってきたからでだと聞いています。新人ならいざ知らずベテラン教諭はこの事を良く知っていると思います。
 ・ 学校では何時、何が生徒に起きるか分からず、又昼休みに生徒指導をしたり、生徒から質問を受けたりすることなどもあったからだと思います。然るに最近、昼食を外に出てとることが当たり前のような行動をする教職員が散見されています。
・ 私のほうに「このような例外行動に対するクレーム」が来ています。確かに「職場離脱」と言われても仕方がない面があります。休憩時間だから職務専念義務違反ではありませんが、出来れば校内で居場所のはっきりしたところに教職員はいると言うのが中学高校の学校勤務者の常識であるとこ言えます。
・ ここは学校であり、市内中心部の企業ではなく、サラーリーマンが今日は昼飯は何を食べようと喜び勇んで街に出かけるというスタイルが似合う場所ではありません。
・ 個人が何を食べるか自由ですが学校の外に出て、時間一杯校外で時を過ごし食事をし、喫煙をして帰るというのは理解しがたいと考えています。他の私学を調査しましたが校内食堂がないところなどは慣例として認めているところもあるが余り好ましいことではないと話していました。
・ 本校にはメニューは少ないが食堂もあり、そこを利用するか弁当持参か出前を取るというスタイルに改めて頂きたいと思います。たまには外部に出るということは構いませんが、「一時的職場離脱」ということで管理職の了解事項としてください。行方を把握しておかねばなりません。ただし土曜日は外部の食事は今まで通り許可されています。 以上即日実施とします。

・ 3月7日の読売新聞の囲み記事で「勤労者のストレスの原因」について最新仕事事情として面白い記事があった。それによれば「上司との関係」が首位と言う。転職情報サイトを運営するエン・ジャパンが会員2307人を対象にいて調査したデータであるとのこと。
・ ストレスを感じる原因のトップは「上司との人間関係」で20歳代から50歳代までの全世代でトップと言う。特に「40歳代と50歳代は半数以上が上司との人間関係でストレスを感じている」という。
・ ちなみに2位は会社の業績将来性への不安、3位は成果に対して給料が少ない、4位は目標ミッションを達成できない、5位は労働時間が長い、6位は仕事内容が合わない、7位は同僚との人間関係、8位は異動昇進、9位は部下との人間関係、10位はM&Aなどの組織の変化とある。
・ 以上は会社のサラリーマンのデータであるが学校社会でも同じようなものだろう。逆に言えばこれが実態であり、上司との人間関係がストレスの原因でないと言ったらその組織は「上司も部下も好き勝手なことをして仕事をしていない」のではないかとも考えることが出来る。
・ 大体ストレスのないような仕事が世の中にあるか。あったら教えて欲しい。それにこういうアンケートは何時も部下ばかりだが一度「上司のストレス原因のアンケートを取れ」って言いたい。恐らく「サボる部下、無能な部下、ハチャメチャな部下との人間関係でストレスがたまる」が首位に出るのではないか。
・ 現代社会でストレスのない空間はないのではないかと思う。ストレスが嫌なら毎日金剛山の頂上で「ボーッ」としていたらストレスはたまらない。冒頭の会話を交わした教員にはストレスが溜まったと思うが「ちょっと待ってよ」と言いたい気分だ。
・ 勝手気ままに好きなようにして、注意されたら「ストレスが溜まる」ではこちらも辛い。わざわざ前述のようなメッセージを校長に発信させるような教職員に意識を「風の吹くまで昼寝して」待つわけには行かないのである。メッセージを書くほうもストレスが溜まるのである。
・ 大体自動車通勤は「例外措置」である。公立教員は禁止されている。それが正門の真ん前で生徒や近隣の人の目がある前で自動車道路を横切って堂々と正門に入ってくるか。「こういう教職員の意識など、何年昼寝して待っていても変わるなど考えられない」。
・誰かが撥ねられて大怪我をするか死ぬまで変わらないだろう。教員が自発的に止めるなど有り得ない。同僚が注意するなど学校では有り得ない。「結局上司の仕事」になるのである。そして校長メッセージで遠回りを余儀なくされた教職員がストレスが溜まるといわれてもこちらも困るのである。