2008年12月23日火曜日

12月23日(日)二つの衝撃レポート

・ 今私の手元に「二つの衝撃的なレポート」がある。本校の教員がまとめてくれたものだ。一つは11月に採用した38才の男性教諭、「直近まで公立中学校に勤務」していたバリバリの働き盛りの社会科の教諭である。
・ この教諭に対して一ヵ月後に「正直な感想」を纏め直接私に報告せよ、それまでは部屋に来なくて良いとまで言い、12月になったからその報告を副校長と2人で受けたのである。そこに書かれている内容に衝撃を受けたということだ。
・ 詳細は書くまい。ただ私は「看過できない内容」だと考え、「職員会議で発表」するように指示した。本人は「エーッ」と言う感じであったが有無を言わさず厳命とした。こういう場合は書いている内容を一部修正したり「トーン」を落としたりするものだが決して変えては成らないとも言ったのである。
・ この教師は「キャリア」は素晴らしいものがある。又年齢も本校に比較的少ない層であり、最後は私が決断して公立教員を辞めて貰って呼んだ形だけに「それなりの意味」はある。本校の水になれるまでに「新鮮な思い」を聴きたいと考えるのは当たり前だ。
・ この先生のレポートで数点私は刺激を受けた点がある。まず公立と違って「手当て」が充実しているのに驚いたという。「こんなに貰って良いのか」とも感じていると言う。公立にはこのようなものはなかった。「教師の仕事はボランティアが精神」だけに貰うのは嬉しいが「複雑」だという。正直な男だ。
・ 勤務時間は「明らかに短くなりました」という。「土曜日が勤務になったにも関わらず、公立時代に比べて1週間の勤務時間が短くなった」と書く。又「勤務が終わったら直ぐ帰る先生の多いのにも驚きました」とある。「年休や時休を取っている先生が多いのでこの職場が恵まれていることを知ってほしいです」と書いてある。
・ 特に私が気にしているのは「生徒生活指導の徹底さ」が「この学校はおかしい」と先生は言う。この項目は字数も多くつかっているのだ。問題行動が目についても「注意しない先生が多い」、また職員室で生徒を指導している側で別の教員が談笑しているのは「考えられない光景」と述べている。
・ この先生の次の言葉が印象に残っている。「生徒生活指導は全員がやるもので個別の教員だけの仕事ではない。」「又ベテランの教師は仕事以外の勤務時間や残業手当の話などを大きな声でしている」とか私が恥ずかしくなるような状況を報告している。
・ 「 若い先生は言葉使いも良く将来が楽しみ」であると評価するが、ベテラン教諭の悪い影響を心配しているという。もっと若い先生に責任を持った仕事をしてもらうべきだと強調する。「ウーン」とうなずける。
・ この先生が良いのは「前向き」な点が伺えるということである。教務が「しっかりとしたシステムを有している」と言い、素晴らしい「イントラネットシステム」が出来ている学校だからもっとレベルアップ可能だと言い、是非教務部で分掌仕事をやりたいと申し出ていることだ。
・ この教師は正職員のそれも公立教員の職を捨て年収規模が780万円の身分を捨てて約半減で講師の身分に甘んじても「本校で働く覚悟を決めた男」だ。私は言ったのである。「遠慮することは何もない。思いっきり力を発揮し、学校を高めて欲しい」と。この男は必ずやってくれるだろう。
・ もう一つのレポートは「某教員の出張レポート」である。これには「参った」という感じである。私がかねてから「不安に感じていた答え」がその中にあったのである。「教員採用システム」が本校とは全然異なる。「極めて厳しい」ものだ。私は少なからず衝撃を受けた。忙しさにまぎれて確かに他の私学の教員採用システムを学ぶ機会がなかったことも事実である。
・ 又逆に言えば「そのような高等なことを言っても誰が来てくれるの?」ということもあったろう。「教員採用に苦労した学校」だったのである。理事長職務代理が常々言われるのであるが、理事長が変わって初めて「他もお探しください、公立試験はどんどん受けてください」となったがそれまでは「とにかく居てください」とお願いする学校だったらしい。
・ その証明はある。昨年の採用では内定を出しても「辞退」が多く採用が大変だった。ところが今年は未だに辞退は2名程度で「定着率」が群を抜いて良いという。それは本校の相対的地位が上がったと言う事かも知れない。
・ このレポートには多くの示唆が富んでいる。まず採用は「オリジナル問題での筆記試験」が課せられている。本校は面接だけで「はい、合格」としてきた。レベルは関関同立、国公立2次試験レベルで合格点は60点以上としているらしい。
・ 私が「低いではないか」というと、その先生は80%や90%で設定すると生徒指導やコミニュケーション能力に問題がある「頭でっかちの者ばかりが残るからだ」と答えたと私に説明する。K大やH大に較べて神戸大卒が極めて良いと言っていましたと。
・ 次に筆記試験合格者を面接し「人間性とコミニュケーション能力」を見る。次に面接合格者に「模擬授業」を行わせる。このやり方が又工夫されているのだ。圧巻は採用者は1年契約の常勤講師から初めどんなに優秀でもまず常勤講師からとし「担任を持たせて」2年目の契約を考えるとのこと。
・ その次が「衝撃」である。次のステップは「1年専任」、その次が「有期専任」というのがあって期間は3年から5年らしい。その後残ったものが「永久専任」となるとのことである。4段階で初めて永久専任だ。従って若い常勤講師を採用したいから常勤講師の給料はかなり安いとのことである。
・ しかし「凄いシステム」である。本校のやり方について「そのようなシステムで専任採用を決めるとは勇気がありますね」と言われたそうだ。「勇気がありますね」とは「皮肉」と受け取ったら良い。確かにそういう面はある。本校はいとも簡単に専任にするところがある。今までは「3年常勤講師をしたらハイ、専任」としてきた。
・ 生徒数の増大と専任教員の早期退職があり、専任数が極端に減少したので一昨年、昨年と期中も入れて合計9名の常勤を専任に採用した。これらの人々の常勤期間は平均2年もいかない。「大盤振る舞い」と言われかねない。
・ しかし私が見込んだこれらの先生が「やはり良かった。私の目は間違っていなかった」となっていれば全く問題はない。そうあって欲しいものだ。理事長校長の期待を裏切らないで欲しいと思う。私は自分の目に自信がある。私が良いと評価する先生は今後とも本校に来て貰う。ただ少し「システム化」しなければならない。問題は今後どうするかである。副校長が早速検討に入った。