・ 順調に「浪速中学の入試」が始まった。「欠席者がゼロ」であった。これは有り得ないようなことで例年数名はいるものであるが今年はいない。これだけでも浪速志願者の心意気が感じられるのだ。
・ 私の部屋の左横に「学院神社」がご鎮座されているのだが次々と小学生とその保護者の2人ずれがお参りしている。見ていると小学校6年生でもちゃんと両手を合わせて頭を垂れている。「合格」を祈願しているのは間違いない。お賽銭の音が「チャリン」と鳴っている。
・ 昨日で高校3年生の授業が終了し彼らは「大学入試センター試験」だ。今年はちょっと変わっていて男子が「大阪市立大学」、女子は南港の「相愛大学」が会場である。付き添い教員もちゃんとつけている。トラブル無く生徒は会場に入ったと報告があった。
・ 高校1年生と2年生は普通どおりの授業であるが中学は「宅習」と言って自宅での学習となる。試験会場の都合と試験官が中学校の教員だから授業は不可能なのである。それほど寒くも無く風も無くまあ「良い試験日和」ではなかったか。
・ 中学校入試は予定通り8時45分から「国語」、その後10分の休憩を入れて「算数」が始まった。時間は同じ50分である。すべて本校の教員が作成し保管していたもので印刷も校内で行った。昔は印刷も外部に頼んでいたそうだ。
・ 教員配置は完璧に近い形を敷いており「総力」を挙げてとなっている。それぞれの科目の試験終了後10分から「採点・入力」が始まる。そして「得点入力・集計」となる。誰も受験番号しか分からず氏名は一切分からないシステムである。
・ 今日は大変緊張し時間を争うので学校から中学入試関係者には「お弁当」が配られる。。ちなみに私の最近の昼食は「お餅」である。お正月の残り物を海苔巻き、あべかわ、味噌汁入れの3パターンにして食しているのである。
・ 得点集計された集計表を元に4人の責任者が「判定原案」を作成する。そして14時頃から「管理職会議」となる。私が中身を知ることが出来るのはここからである。14時30分に「校務運営委員会と中学校務会との合同会議」が招集される。
・ ここで試験結果の形と結果について公式な審査というか判定のための会議が始まるのである。即ち問題のレベル,解答の状況、難易度など受験生の結果から様々に分析し、「実力の度合い」を推し量り、「合格の線引き」をする。
・ 「極めて緊張する時間」である。あどけない小学6年生の人生がこの一瞬にかかっているというのは些かオーバーだが、大切な作業なので「厳粛」に行っている。そして私が「最終判定」をすることになる。「判定結果」が出たら「合格通知書等の封入作業」が始まり明日18日の午前10時の「合格発表掲示の準備」となる。以上が今日の「時程」である。
・ 合格通知書等とは「合格通知書「納付書・領収書」「入学許可証明書」「合格者への連絡」「制服・制定品のご案内」「制服等販売価格一覧表」である。これらが封筒に入ったものが事務室の窓口で合格者に渡される仕組みと成っている。
・ 私は「本校の良い点をひとつ挙げろ」といえばこの「入試システムの完璧さ」を間違いなく挙げる。「見事」と言っても良い。全員が役割分担をしっかりと決め、「粛々」と進めていく様は「見ていて気持ちの良い」ものである。
・ どの学校にも確立したシステムがあるのだろうが私は「本校一押しの誇れる形」だと思っている。それは前にも書いたが本校には「ITの達人」が多いことにも関係していると考えている。これは本校の財産のひとつではないか。特に「教務部」にこの種の人材が多いのが嬉しい。
・ 判定原案を作成するメンバーは当然緊張の顔をしているが欠席者のいなかった総勢128名の受験者から「不合格になる生徒への思い」が心中にあるからであろう。
「全員を入れてやりたいが・・・」「親子で熱心に神社のお参りしている姿を見ていると・・・。」と言う。
・ 今日の試験は「一次A試験」であるから分かり易く言えば「専願」で「どうしても浪速に入学したい」と思い込んでいる生徒ばかりである。従って若し本校が不合格になればこの子たちは本校では明日、他校では明日以降の「一次B受験に走る」ことになる。
・ どうしても本校で勝負と思っている生徒は今日の試験を受け、更に明日も受けるという選択をする。実はその数が本当に多いのだ。又B試験の開始タイミングは一次Aの合格発表前であるから「二日続けて本校の試験を受ける子どもは多い」のである。その数は書けない。
・ 又今日も5人の保護者は試験が終わったばかりだと言うのに明日の「B受験申し込み」に事務室の方に走っていた。恐らく子どもに「どうだったの?」と聞いたところ「ウン、難しかった。」とでもわが子は答えたのでないか。「出来なかった」と答えたのかも知れない。 お母さんは顔色を変え、「アブナイ」と思い、急遽明日も受けさせることにしたのだろう。そこには、ただわが子可愛さ、大切さの母親の愛情があるのだ。
・ 一般的に一次B試験はA受験よりも比較的はいり易い学校とするから、言ってみれば「すべり止め」みたいなものである。B受験に来てもらえる学校からすれば昨日のブログに書いたように「レベルの高い生徒」が来るわけだから「嬉しい」ことになるがAもBもと言うのは「ウーン」と言う感じにもなるのである。
・ 調子が出なくて運悪く「一次Bにも失敗した」となると、言い方は学校によって様々であるが「2次試験」と言うのがあって受験生にはまだ機会がある。しかしこの辺になると生徒も親も「くたくた」になる。本校も2次の募集はしているが、当然数は少ない。それでも去年の例では8名と大体10名前後の志願者がいる。どこも行くところが無くなって来たというところである。2次が「あかん」となるともう「公立中学しかなくなる」のである。
・ 私立中学校を選択している生徒とその親は最初から「どうしても私立」と決めているから「公立に戻る」ケースは少ないと私は思っている。しかし「受験地獄」とは言わないが小学校6年生から「受験という競争の世界」に浸る子どもも親も大変だ。
・ そのようにして本校に来てくれる生徒だ。「大切にしなければならない」と改めて思うのである。私学は「私学らしい特徴」を「子どもの全身に浴びせ」かけなければならない。言い換えれば「面倒見の良さ」である。このようにしてくぐり抜けて来てくれる生徒だ。「大切に、大切に」は当たり前だろうが。私は常に教職員に言っているのだ。
・ 私学の教員の癖に公立の一部の金太郎飴のような教員の悪いところだけ見習って「サボる、動かない、面倒をみない」教員では私学の教員たる資格はない。「私学のブランド力はそこにいる教員のブランド力に相当」するというのが私の考えだ。
・ ところで昔は「受験に関わる不正」とまではいわないが「少しややこしい事態」などもあったみたいだ。即ち「校長が介入」したりするのだろう。しかし本校では全く無い。本校では校長が入試事務に携わることは一切無い。私は「入試本部にも顔を出さない」ようにしている。すべて「衆人の目の前で作業をする」ことに尽きる。
・ ただ静かに14時前後の管理職会議を待つだけである。教職員がここまで厳粛に作業している中に理事長の立場、校長の立場で介入しては良くないと考えているからである。勿論「入試事務の最終責任」は私にあり、一切の責任は負うがこの入試事務に関しては「教職員を信頼」して任している。本校の教職員は本当にこの点は「立派」である。