2009年6月6日土曜日

6月6日(土)橋下知事久々の登場

・ 又「橋下知事の咆哮」だしばらく東京に出張したり、全国知事会に出たりでお忙しかったのだろうが本当に「久しぶりに私立学校についてご発言」である。しかし「段々と過激」になってきているのが気に掛かる。
・ 今朝の大阪日日は「希望者は全部受け入れ」「公立高定員増に意欲」との見出しである。産経は「助成金削減 授業料値上げは便乗」「橋下知事、一部私立学校を批判」とある。しかし段々と知事の発言は「本丸に迫ってきている」感じだ。
・ 知事は昨日の定例記者会見で「検討が進まないなら公立希望者は全部受け入れるようにしたい」と新たな「枠組み作り」に強い意欲を示したと言う。1998年から始まっている「公立7:私立3」の枠組みを「撤廃」しようと言い出していることの「再発言」だ。思い込んでおられる。もう「信念に近い」のかも知れない。「困ったこと」だ。
・ 2008年度「公立定時制の2次募集で志願者が急増」して急遽「異例の補欠募集」をしたことは当時大きく報道され、本ブログでも何回も言及してきたが知事は「全日制と定時制ですべて受け入れる」と発言したものだ。これには「前哨戦」がある。
・ 今年、橋下改革で私学への府の助成金カットが高校で10%、中学で25%と大きかったことが、「私学の授業料値上げを呼び」、結果として公立の志願者が溢れた原因と認識した上での発言である。知事は「相当気にしている」ことは間違いない。知事は「それでも全国平均レベル」と言い、今までは「府の財政事情を考えずに私学にお金を注ぎ込み過ぎていた」と「助成削減を正当化」する発言を繰り返したという。
・ 確かに「府内私立中高156校で84校が09年度に値上げ」した。値上げ幅は私立高校94校のうち3万円から4万円が19校で最も多く、次いで1万から3万円が9校、一方10万円以上のアップが数校あったという。
・ 産経の記事は授業料を値上げした私立学校に矛先を向けて「とんでもないない額を上乗せした学校もある。助成削減に乗っかかったのではないか」と言われたという。「学校名は出さないが一部の高校はおかしいんじゃないのと思うくらい上乗せしている」とまで言ったらしい。
・ 本校も上げさせて頂いたがこれは何回も何回もブログに書いてきたが橋下知事が就任する「前から決めていた値上げ」で「府内私学平均から大きく下回っていた」のを平均まで上げさせて頂いたものである。便乗でもなければ「おかしい学校でもない」。
・ とにかく2008年度に大阪の私学で起きたことは全国に例のない又大阪でも例のない未曾有の大事件であったが、この「余波は今後とも続いて行く」だろう。「むしろ始ったばかり」と考えた方が良い。
・ まず公私比率の問題は行政当局である府民文化部私学大学課によれば、「部局を横断して検討を進めて」おり、「この夏までには検討の結果を知事に報告する」ことになるのであろう。これが「大きな節目」となる。
・ 作業から言って来年度の入試には間に合わないだろうが私は「公私比率という概念」は「知事の強い意向」で結局無くなるのではないかと思っている。「公私比率は経営者のカルテル」と言い放つ知事だから、この流れは止められないのではないか。
・ 知事が昨日言われたように「希望者は全部公立で受け入れ」などはにわかに信じがたい発言だ。もし本気でこれをやられるなら私学の中には「廃業」をせざるを得ない学校が出てくる。知事も私学との調整があるとは付け足しておられる。
・ 30名や40名の入学者ではもう高等学校とは言えないからだ。即ち「専願者で充足できる学校」以外は私立高校は生きてはいけないだろう。即ち「併願戻り」などという概念は無くなる。だって「併願者はすべて府が面倒を見る」ということだとしたらそうなるではないか。
・ しかし実際問題そのようなことになるであろうか。「学校の手配、教室の手配、教職員の手配、光熱費や諸経費の増加コスト」などそれこそ「とんでもない巨額の数値」となってくる。大阪は教育日本一ではなくて「大阪は教育費でつぶれる」と言うことになるだろう。
・ ただ今年の公立高校の入試分析は完全に「公立回帰」「安全志向」が明確になった。6月2日の読売新聞は1面に詳細の分析結果を記事にしている。「倍率は偏差値上位校がダウンし、偏差値下位校がアップ」している。
・ これは大変大きな注目すべき視点で深刻な経済不況で「知事の進めた私学助成削減がもたらした結果がこのような現象をもたらした」のだ。家庭の「低所得者世帯で私立を選択できない成績が中位、低位」であれば進学希望者が「公立偏差値低位校」に行かざるを得なくそこの定員が一杯で、定時制は定時制でパンパンだったら「行き場がない」という現象だと言うのである。現実に今年はそういう傾向であった。これは「高校進学率のダウンを意味する」。高校に行けないものが街にあふれることになる。
・ 本格的に「私立高校のあり方論議」が始るだろう。私学サイドは考えなければならない。「かけ離れた教職員処遇をしている学校」は確かにある。「年収水準が異常に高い」ところがある。そういうところは補助金もダウンさせられるであろうし、嫌なら最初から「助成は不要」「公私比率も関係ない」「本校は専願者で充足しています」と言えば良い。
・ そのような学校なら「何が起ころうと平気」だろうが、そのような学校はほんの一部だけである。本校の教職員はこのブログを頭に徹底的に入れて「甘い考え」など有してはいけない。「一寸先は闇」の時代になってきたという認識が重要である。「あたふた」とする必要はない。無いが「緊張感」を持って「現状と流れをしっかりと認識」しなければならない。
・ 今この来たる雨嵐を乗り切るために私は先頭で頑張るが乗組員が「ちゃらんぽらん」で「サボリ」であったら「本当に船は沈没するぞ」と言いたい。この学校を守るにはOBでもなければ誰でもない。理事会と教職員だけだ。「根性」を入れてここ数年は「死に物狂い」で仕事をしないといけない。そうすれば「活路は開けて」くる。
・ 江戸時代の学者、佐藤一斎先生ではないが、「我が一燈を提げて暗夜を行く、暗夜を憂うるなかれ、只一燈を頼め」という気持ちだ。たった一人の学内理事として気の休まる暇はないが理事会と教職員の期待に応えて頑張る積りだ。浪速丸を沈没させるわけにはいかない。