2009年6月22日月曜日

6月22日(月)30代の校長先生


・ 府教委は教頭を務めたことがない「30代の教員も府内の公立小学校中学校や府立高等学校長の校長選考試験」を受けられるように「人事制度」を改めた。「橋下知事の強い意向」を受けてである。府教委からはこういう発想は出てこない。
・ 今年の夏から募集を始めるという。団塊世代の大量退職が本格化する中、「校長の若返り」を進める狙いと言うが、それは表向きで橋下知事の狙う学校改革を促進する「テポドン発射による衝撃効果」を狙ったものだろう。要は「ショック療法」で、「知事の常套的なやり方」である。
・ 学校現場からは「応募する若手教員がいないのではないか」との声も洩れてきているみたいだが、個人的には大変結構なことだと思う。応募者が殺到することを期待したい。大体今学校が置かれている実態は「管理職のなり手がいない」と言うことである。本校でも私は苦労した。
・ 給料は変わらない、権限はない、遅くまで仕事をしなければならない、教職員の突き上げが怖い、保護者からの文句を聞かねばならない、など「割りに合わない仕事」と完全に思われており、確かに今の処遇では割りの合う仕事ではない。
・ 府立のある校長(56才)は「校長の責任は重いが人事権もないし予算も無い。その両方を持つ知事とは違う」と言い、「若手だとつぶれてしまう」と記事にはある。まあ一面は当たっている。
・ しかし知事の求めていることは「そういうことにつぶれない人材を求めている」のであって少しこの校長はピントが外れている。38歳の知事はひょっと府庁に現れて「バリバリ」好きなようにやっている。その「校長版」を狙っているのだ。しかし「柳の下に2匹目のどじょう」がいるかどうか。
・ もし教頭経験もない30代の校長が「見事にやりきったら」今居る校長の顔色は「青ざめる」だろう。それを知事は狙っているのだ。別に190名近く居る高校の校長をすべて30代にしようとは言ってはいない。
・ 文部科学省によれば今全国の公立小中高の最年少校長は42歳。大阪府は高校の場合57歳以下で教頭経験ある者が条件である。私は55歳で校長になった。57歳と言うのは「3年はやって欲しい、やらせたい」が背景にある。たった1年と言うわけにはいかないからだ。
・ ちなみに学校と言うところは大体「3年が基準」となる。その理由は良くは知らないが私の想像では高校生活3年間というのが関係していると思っている。1年生から3年までで一回りと言うわけだ。
・ 小中では40歳以上57歳未満で教頭か教育委員会の指導主事以上の職位にある者が条件である。今大阪府の校長の平均年齢は57歳と言う。今度の改正は10年以上の教職経験があれば校長や市教委の推薦を得た上で選考試験がうけられるようになった。
・ しかし新聞記事にあったが30代の男性教員は「だれも手を上げる人はいないんとちゃいますか」と言ったというが、果たしてどうだろうか。校長推薦か市教委の推薦が必要とあるがまずここが問題だ。
・ 実はこの「フィルター」が結構厳しくて勿論校長の職位だからだれかれOKと言うわけには行かない。又手を上げたが「貴方は残念ですが駄目です」となったら、もうその学校にも他校にも勤務するのがしんどいかもしれない。「あの先生、前の学校で管理職選考に手を上げて駄目だったらしいよ」などの噂話は翌日には分かってしまう話だ。

・ 今「若い世代が全面」に躍り出つつある。そもそも橋下知事も38歳と30代だ。ついこの前には千葉市長に31歳ですぞ、31歳の市長の誕生だ。1月には三重県松阪市に33歳市長、3月には佐賀県上峰町で29歳の町長、それぞれ当時の最年少首長の誕生だった。倍倍ゲームで増えているのだ。
・ 明らかに「既存の古臭い体臭と体質に嫌気」がさしてきて、自分たちの常識で測れないような価値観を有する若い世代に任してみたいという感覚ではないか。「これ以上悪くはならない」という「開き直った面」もあるだろう。分かるような気がする。本校でも正直ベテランという世代の中に問題と感じる教員が居る。若い世代は頑張ってくれているのだ。
・ しかし考えても見れば直ぐ分かる話で「日本の老人の跋扈」はつい戦後の話だ。「昔から日本は若い世代が世の中を動かしてきた」のである。伊藤博文27歳、山形有朋30才、板垣退助31歳、吉田松陰29歳、とこの前の日経が報じていた。信長の戦国時代も40代が仕切っていた。
・ 「若いから駄目」と言うことではなくて「駄目なものは駄目」で「若かろうと年寄りだろうと良いものは良い」のだが、打つ手がなくなったので「若さに希望を託した」ということかもしれないし、そういうことも考えていないのかもしれない。私は甘くは無い。
・ ベテランに仕事を与えてやってもらう。出来ない、しない、サボるなら「後進に道」を譲って欲しい。 多くの若い常勤講師が「専任の椅子」を待ち望んでいるのだ。改善が認められない場合は辞職強要は出来ないが「退職勧奨」は可能だ。秋口には個別に折衝する。
・ 本校には今「17名の30代の専任教諭」がいる。彼らが今すぐに本校で校長が務まるかどうかである。務まらないなどと言う積りはない。良い人材が揃っている。すべて「候補者」であることは間違いない。「全ての人が可能性」を有している。可能性はあるが確率は分からない。
・ 本校は条例などないから校長になるための年齢制限もないし教頭経験なども条件にはない。理事会の決定があれば誰だって今でも校長に成れる。「校長ポストは二つ」しかない。中学校と高等学校だ。
・ 「先頭に立って生徒募集を図り、財布の中を見ながら生徒の為に教育環境を整備し、校務の円滑な運営と教職員の指導監督」が校長の法的な責務だ。今の本校の30代の先生方にこういう校長の責務が務まるかどうかだ。
・ 大阪府のように「面白うそうだからやってみるか」とは行かない。「全軍を壊滅」せしめるようなことになってはいけない。「命をかけてやる」ことが浪速の校長の責務である。「無責任」「人のせいにする」「文句をたらたら言う」ことに楽しみがあるような人では務まらないだろう。誰も付いてはいかない。
・ しかしそういうでたらめな教員に一度校長をさせてみたい気もする。今度は私が徹底的に「突っ込んでやる」。そうすれば「校長や副校長や教頭の気持ちも少しは分かる」だろう。大きな責任ある仕事をするということはそういうことだ。出来ないというなら「教員の仕事に全責任を持って一隅を照らせよ」と言いたい。
・ 今の「本校の管理職は60代が3名で55歳が1名」だ。私も60代だ。確かに幾分年は食い、お互い「髪も白く」はなったが精神的には若い先生方に負けてはいない。ひょっとしたら勝っているかもしれない。体力の衰えは感じるが「頭と心は負けてはいない」と思っている。「気力が勝負」だ。その4人の管理職に対しても私は負けては居ない積りだ。この負けないという気力が私を支えている。