2008年6月11日水曜日

6月11日(水)出張

・ 今日は「出張」だ。北の方に出向く。朝10時のアポイントだから、直接家から出る。これを「宅発」という。公立高校勤務時代に学んだ言葉だ。逆に出張先からもう学校に戻っても夕方遅くなるから「許可」を得て直接家に帰るのを「宅着」という。それは「出張精算」に関わるからである。元来公的出張は勤務先からしか旅費や手当は支払えない。
・ このような言葉も本校にはなかった。「自由出退勤」であったから出張先からどこへいこうと勤務時間内であるにも関わらず私的に時間を使おうとも誰も何も言わなかったとのこと。すでに退職されて何年にもなる元本校の教員は出張先から勝手に「滞在日数を伸ばしても」、何も言われなかったと私にいう。驚いたものだ。
・ 元来は出張は学校から学校に戻るまでをいうのであるが管理職の許可で自宅からの出発、自宅への直接帰宅は許される。即ち「許認可事項」なのである。公立高校はこの点しっかりと管理されている。
・ 例えば教頭先生が人権研修会出席のために出張し、16時頃終わったとすれば必ず校長に電話して「今終わりました。宅着でよろしいでしょうか」と問い合わせがある。もしご指示があれば「今から学校へ帰りますが・・・。」ということが言外にあるのだ。勿論校長は当然許可する。これが筋だ。
・ 本校では副校長が出張されたら必ず私に許可を求めてくる。「大変立派である。」一般の教員は教頭、副校長に事前許可かもしくは当日許可を得なければならない。入試広報室の勤務員も出先から直接帰ることもあろうが事前に管理職に了解を求めておかねばならない。
・ 今日の出張は初めて「部下を帯同しての出張」で初めてであろう。3人も連れて行った。企業時代は場合によっては複数出張というのはあったが学校というのはそれほど多くはない。「一人で行って一人で済ましてくる」というのが普通であるが、「今日は特別」とした。
・ 話だけなら「私一人で十分間に合う」のである。大体テレビや映画にあるように部下を帯同して最初の挨拶だけ済まして後は資料説明など部下がやるというスタイルはもう古い。
・ トップがすべて細かいことも大きなことも話して進めなければならない。「細かいことは部下に・・・」というのは今日的ではない。国家同士でも首脳の直接会談で物事は決まっていくのである。
・ 今日の会談でも先方はトップが一人しゃべり、次席のものは何もしゃべらない。トップの指示で資料を取りに行ったりするのと、トップから振られたときに「お答えする」だけだ。
・ この辺の常識が分からなくて上司の許可を得ず話に入り込んだりするびっくり人間が時々いるが今日の本校の人間にはいなかった。一回だけ私が振ったが、その場合も簡潔に適切に返答しなければならない。今日は良かった。職場内、内輪の議論と会談を峻別しなければならないのだ。今日は「重要なトップ会談」なのである。
・ 民間出身である事務長もその辺は心得ている。同席を許しても私の許可がないと絶対しゃべらない。当たり前だ。学校でしか育ってきていない人間はその辺のことが当然分からない。それを教えていくのも私の仕事だ。
・ 本日の会談の為に学校で何回も何回も議論をして「理事長は考えを仕入れて」、それをまとめ、先方との会談に望んだ。この会談の経緯を後世語り継ぐというか、大げさであるが「歴史の証人」として立ち会わせたというのが本日の目的である。
・ 会談には資料は不要である。大切なことは「話の変化についていける柔軟さ」と「押し引きのバランス」である。先方も取り分があり当方も取り分がある。「5分と5分の関係」が重要である。決して規模の大きさなどでひるんではいけない。嘘は言ってはいけない。言い方は「考えに考えて言葉にしなければならない」。結構難しいのである。
・ 今日の会談には斯界で超有名なトップ中のトップが突然部屋に入って来られ、15分程お話に入って頂いた。あれは「先方の好意」であり、当方に対する「社交的儀礼の表れ」である。これも一つのスタイルである。途中で秘書が入ってきてメモを見せ、来客といって退室されていったがあれもスタイルである。私には良く分かる。木村が来ているから「お顔を出してくれた」ことに他ならない。
・ 「会話録」をまとめるように指示した。何の為に来ているかといえばこれをまとめるのが仕事だから。関係の理事などに今日の雰囲気を伝えねばならない。しっかりとまとめるように指示したが果たして。「ボーッ」と聞いているだけのために連れてきたわけではない。
・ しかし会議室には「灰皿」など全くなかった。大学内敷地内禁煙とは思えないが、タバコの匂いは全くなかった。今日連れて行った3人は3人とも「ヘビースモーカー」で、途中でタバコを取り出さないか(これは冗談だが)心配したがそれは杞憂に終わった。
・ 会談は10時始まりということで「コーヒー」が出された。終了後は「建物入り口まで見送って頂いた」。これも見習わなければならない。お昼の弁当を届けてくれる業者さんを見送る必要はないが、何事も何人にも外部の方には丁重に対応するのが「学校の品格」だ。教職員はこのことを忘れてはならない。「偉そうにするな」ということだ。