昨日は故椋本彦之氏の葬儀告別式の日に当たり「喪に服し」、また職員会議後の職員集会で教職員に「重要な理解と協力」をお願いした事もあり、「校長日記」は休みとした。書きたい気がしなかったのである。さて一夜明けた。元気を出して書いて行こう。
・ この国は今壊れつつあるのか?暗澹たる気分になる。25日の読売など読むに耐えない。読売が悪いというのではない。書かれている内容が酷いと言っている。もっとも今日だけではなくて、何時もの事なのだが、私の感覚では「バブルを境に日本と日本人は大きく変わってきている」ということだ。
・ ざっと上げてみよう。「NOVA積立金猿橋忘年会にも流用、不透明な資金繰り“暴走”、「うなぎ偽装口止め料1000万円」「飛騨牛ごまかし」「シャブシャブ肉使いまわし」「硫化水素で元交際相手死亡、殺人容疑で女逮捕」とある。
・ 更に「霞ヶ関で悪しき慣習、居酒屋タクシー、現金商品券5年間で200万円」「出会い系サイト業者7000万円脱税」「大阪駅通り魔大山容疑者“いらいらして切った”「京都産大生、フィレンツエ世界遺産に落書き」、まだまだ続く。
・ 「父の遺体放置し年金90万円詐取神戸」「パロマ工業回収洩れ経産省再点検命令」「大阪府職員通勤費不正受給で58才技師を処分」「日雇い派遣大手グッドウイル廃業」へ、ともう書けないくらいだ。
・ そして経済面に目をやると物価の王様の「卵が値上り」とある。遂にあの卵が値上がりだ。日産のカルロスゴーン会長は「車の値上げが避けられない」と語り、小麦粉、ガソリンとにかく「物価の値上げオンパレード」となってきた。全国漁業組合連合会など日本の16の漁業団体は来月16日に「燃料急騰の窮状を訴えるために一斉休漁を発表」した。
・ 医療面でも「高齢者ストレスで胃腸機能が異常」とか「引きこもる大人たち・・・増える不況リストラ型」と暗くなる話しばかりである。唯一救われるのはスポーツ欄だけだ。しかしこれとて水泳競技で言えば日本の大手スポーツ用品メーカー3社の水着は今回のスピード社製の水着一枚に完膚なきまでに叩きのめされ、「技術の日本」という神話を崩壊させた。なんてことはなかったのである。日本総出でかかっても何ともならなかった。とにかく今元気なのは橋下知事と阪神タイガースだけだ。
・ 私が初めて使う言葉かもしれないが「腐敗と格差」が「同時進行」で進んでいっているように思う。「格差と貧困」はいまや社会語であるが「腐敗と格差」だ。国内政治はねじれて、もはや政治とは言えず、これも腐り始めて異臭がする。
・ 国内経済は完全に勝ち組と負け組に分けられ、勝っているところは膨大な儲けを記録し、負けているところは船場吉兆ではないが「無茶苦茶」をやり、「産地偽装」や「脱税」に走り、気に食わなければすぐ「人を殺す」と言う具合だ。何かが狂い始めているとしか考えられない。「恐怖と悪徳の時代」である。
・ 私など昭和44年に企業に入り、高度経済成長、2度のオイルショック、昭和元禄と謳われた時代を経験し、平成のバブルで「この世の天国」を味わい「バブル崩壊でこの世の地獄」を見て、長い、長い出口の見えない平成不況から、「リストラの時代」をすべて経験しこの目で見てきた。
・ 一時期は「一億総中流」を言っていたマスコミは今やこぞって「ワーキングプア」「ネットカフェ難民」なる言葉を作り煽る。社会保険庁のでたらめや実は中央省庁でも同じ居酒屋タクシー税金を使いまわし、後期高齢者医療制度とお互いが「負担の押し付け合い」と道路財源など「既得権益の固執」など見るに耐えない対立がこの腐敗と貧困をますます加速させる。「俺もやらなきゃ損だ」と。
・ 何かで読んだが、今「小林多喜二」が読まれているという。このプロレタリア作家の「蟹工船」が改めて注目されており、ロシア革命の指導者レーニンを評価するという声も出ていると学者は警告を鳴らす。
・ 歴史は繰り返すからまたぞろ大きな革命が起きないとは限らない。まず「世界は中国の崩壊から大混乱」になるのではないか。世界の工場と言われた「中国の沿海地域と内陸部の格差」は日本どころの比ではない。四川大地震でその実態が世界の目に触れた。
・ 北京オリンピックの後何が起きるか分からない。米国もサブプライムローン問題でかげり、ブッシュの8年で間違いなく世界は「テロとの戦い」にいやおうなく突入した。これは言い換えれば貧困層との戦いなのである。下手をすれば「体制がひっくり返らないとも限らない」と懸念もしたくなる。
・ そうこうしていれば今日の大阪日日は大阪府の橋下改革で「公立高校の非常勤事務職員が削減」されることに対して「府髙教」が白書を出して反対の姿勢を鮮明に出してきた。この非常勤職員は通常「教務補助、家庭科の実習補助」が主体で時に図書室のカウンター業務などもある。
・ 学校はとにかく印刷やコピー枚数は普通の人が想像できないくらい多くて何十万枚の数になるがそれらを主に対応していたりする。前の学校でもおられたが一生懸命に仕事をされる責任感の高い人であった。今その数は府立高校で350人と記事にはある。
・ 「年収規模は100万円から110万円」で大体他にも職を持っておられる人もいるみたいだ。そうしないと食っていけないからだ。これの廃止が正式に決まれば4億7000万円の合理化というがその分一般の教諭で分担してやることになるだろうからこれは大変である。これも格差の典型的な例で何時かのブログでも書いたが「官製ワーキングプア」の典型となる。大体大阪府内の自治体にはいまやこのような非常勤の職員がごまんといるのだ。
・ 又本日の読売には前段に記述した「蟹工船」が登場している。見出しは「格差社会の動かぬ証拠」「蟹工船、止まらぬブーム」とある。新潮文庫版の増刷部数は今年これまでに36万部に迫り例年の70倍という。やはり「今何故、蟹工船?」だ。
・ 過酷な労働を強いられた労働者が団結して立ち上がるまでを描いた1929年に発表された作品で現代と重ね合う部分が大きく読者を呼んでいるのではないかと記事にはある。「一億総中流」と言われた時代からすれば現在の社会状況は「隔世の感」がある。少なくとも本校の教職員には「貧困と格差」に陥らせるわけにはいかない。「学校と教職員の生活を守っていく」ことが今更ながら私の仕事と痛感した。