2010年4月25日日曜日

4月25日(日)人材育成・評価システム


・ 評価の基本原則とは「評価者が守るべき基本ルール」を徹底的に守ることである。その基本ルールとは「評価期間の遵守」「公私混同の排除」「事実に基づく評価」である。これが崩れれば「評価システム」は成り立たない。
・ 得てして評価者が「陥り易い傾向」というのがあって7つあるとされている。以下のようなものである。詳細な説明は省く。
       *ハロー効果         色白は7難隠す
       *寛大化傾向         親の欲目
       *中心化傾向         十杷ひとからげ
       *論理的誤差         理屈張るほど理に合わぬ
       *対比誤差          己を知って他を知らぬ
       *逆算            つじつま合わせ
・ 平成19年度着任して直ぐに私はこの「人材育成・評価システム」の構築に入った。ほぼ1年かけて検討を進めたのである。外部の公正な研究機関である「日本総研」のコンサルタントに入って貰って「システムを構築」したのである。
・ 目的は大きな意味で言えば一つ。要は教職員一人ひとりが持てる能力を磨き、発揮し、自分たちの職場の維持発展と働き易い職場つくりを理念としているのであるが、その「総合力をマキシマム」にするために是非必要と考えたのである。社会一般の組織では当たり前のことである。
・ 細かく言えば ①教職員の資質の向上と自らの能力開発の一助とする。
②教職員の自己啓発及び職務改善、意識変革に結びつけていく。
③適材適所の人材配置及び学校組織の活性化を図る。
④評価結果を昇給や賞与などの処遇へ反映し、適切な経営資源を配分。
・ 導入経過を振り返れば以下のようなプロセスを踏んできた。すなわち「焦って導入せずにじっくりと時間をかけた」のである。
平成19年度:人材育成・評価システムをマニュアル化。
平成20年度:試行期間としてスタート。ただし、評価はするものの昇給や賞与などの処遇には反映せず。
平成21年度:本格導入初年度。ただし、処遇は50%の反映として実施。
平成22年度:処遇を100%反映。
・ 特に「平成21年度は準本番」というべきものでマニュアル通りに進めていった。筆頭副校長のS先生の「特命事項」として軸がぶれないように進めて頂いたのである。「先生は見事にやりきって頂いた」と思う。
・ 実施手順を振り返ってみると下記のような展開である。
平成21年3月  専任教職員(被評価者)は、平成21年度の各自の目標を設定し、業績評価シートに記入。それを副校長または事務長(一次評価者)に提出。
4月  副校長および事務長は、提出された業績評価シートに基づいて、専任教職員と目標設定面談を実施して指導。
8月  一部の専任教職員は、目標の修正や変更を申し出たので、副校長および事務長は中間フォロー面談を実施。
平成22年3月  専任教職員は1年間の目標達成状況を自己評価することで業績評価シートを完成させ、活動状況報告書とともに副校長または事務長に提出。
4月  副校長および事務長は提出された業績評価シートと活動状況報告書の内容について評価を行い、専任教職員との面談で評価結果を説明し、指導育成を実施。さらに能力評価シートの評価を合わせて一次評価とし、理事長・校長(二次評価者)にその集計結果を提出し説明。
同月  理事長・校長は集計結果をもとに二次評価を行い、査定を全管理職で確認・調整した後、最終査定を専任教職員各々に通知並びに説明。
・ そして過日「私は二次評価者として評価し、査定原案を作成」した。それを元に管理職会議で「議論を行い」最終案を決定したのである。私は中々良い議論だったと評価している。「部下を持ち上げる、中々人間的な管理職」であることを確認し、私はとても嬉しかったのである。
・ 「評価・査定」の方法で本校の形はまず「一次評価は5段階(S・AA・A・B・C)の絶対評価」である。ここでAは「職務を滞りなく遂行し、概ね目標に達し、具体的成果が現れている」という評価で、SやAAはさらに高い評価となる。
・ 「二次評価および最終査定は年代別(20代・30代・40代・50代等)に区切った評価グループ内での5段階(S・AA・A・B・C)の相対評価」である。ただし20台の教諭については任用後3年間は処遇差をつけないと私は決めており全員原則としてA評価を内規としている。経験期間が短くまだ評価もないだろうとしたのである。
・ 私は4月21日に専任教職員に下記のようなメッセージを発信するよう責任者の筆頭副校長にお願いしたのである。その骨子は“平成21年度人材育成・評価システムの理事長による最終査定が確定した。早速、本日理事長から理事長室でAA評価およびB評価に査定された方ひとり一人に通知と説明があった。現時点で理事長から通知がない場合はA評価となる。AA評価というのは、非常な功績と能力を発揮した場合の評価であり、該当者は多くなく、なお、今回は初年度ということもあり、また、管理職全員からも専任教職員の頑張りを評価する意見が出て、結果的にA評価がかなり多いという最終査定になった。云々。(以下略)”
・ 平成22年度は人材評価育成システム制度の二年目に入り、今年の査定は処遇反映が100%となることはすでに教職員には分かっていることである。頑張って欲しいものである。「評価することが目的ではない」。あくまでツールである。
・ 教職員が本校で「自己実現」して貰うための「メリハリ」であり、頑張って成果の見える教職員へは更に頑張って欲しいとの「エール」である。努力の必要性、課題を抱えている人へは「叱咤激励」でもある。又「リカバリーショット」は十分打てるのである。
・ 「自分は頑張っている」と言い張っても「同じように他の人も頑張っている」のである。絶対評価と相対評価の意味と違いを考えねばならない。ただ「他人のことを気にする必要はない。」そうかと言って「自分を孤高の位置におく必要はない」。
・ 「良いお手本」があれば素直に参考にすればよいのである。はっきり言って「自分のことは自分が一番分かっているのではないか」。「誰もが認める素晴しい人材はいる」のではないか。「彼だけには負けるというような人物」は他に多くいるのではないか。結局「意識改革と謙虚な努力」ということなのだろうと私は思う。「総合的人間性と人間力」なんだろうと思う。