2010年2月3日水曜日

2月3日(水)橋下知事 私学保護者大会その1







・ 一昨日の1日、「大阪私学保護者の集い」が始まった定刻の13時30分頃は冷たい雨が「しとしと」と降っていたが、橋下知事が出席されたプログラム第一部の終わった15時頃にはもう傘は不用の状態になり、「大阪市中央公会堂」から足早に帰宅を急ぐ私学保護者の姿で周辺は混雑した。
・ 私は本校のPTA役員の皆様を「コーヒーでもご馳走」しようと思ったが27名にもなると、周辺には広い喫茶店は無くて結局解散せざるを得なかったのであるが、知事のお話を聞いてどの保護者も「語らない、言葉が出ない」雰囲気であった。
・ 実際に他校のPTA役員の方は同僚とお帰りになる道すがら「あれでは知事に負けてしまうわ」などと、どちらかと言えば「有名スターに会った」ような感情に陥ってしまった、言い換えれば「橋下マジック」にかかってしまったのだと言えなくもないような「放心したような」感じもしたのである。

・ 私は久しぶりに知事のお姿と肉声をマジかに拝見しお聞きする機会を得たが、この人の「声が素晴らしい」のに気づいた。甲高くも無く、低くも無くとにかく「」があってよく「透る」お声なのである。
・ もう一つは弁護士出身らしく「ディベート」の訓練が出来ており、「議論したい、議論したい」と口では言われていても「自分のペース」に意識されているのか、されていないのか分からないが「橋下ワールド」に聴衆を引き込んでいく様は「天才的」である。
・ 私は幕が開いてから降りるまで「知事の姿」を凝視し話の内容を記録に取った。知事の本心を垣間見たかったからである。そしてその目的は達したと思う。知事は「バーン」と打ち上げるが、その後が「柔軟」である。
・ 「変幻自在」である。ご自分では「軸はぶれてはいない」と言われるが微妙に変化しているのに私は気づく。元々「北野高校」卒だから「地頭力」は高い。どこの大学を卒業しているかということよりも「どの高校を卒業しているか」は大きな判断要素になると私は思っている。
・ 「偏差値輪切り」の強い中学の進路指導で「北野」を受験するのは公立中学で言えば学年で3番以内くらいに位置しておかないと中学の進路指導は内申書を容易には作ってくれないのではないか。とにかく「頭は切れる」。
・ その頭の良い知事が「議論をリードする形」になるのは考えてみれば「当然の成り行き」であったとも言える。この人には「司会者など要らない」のである。橋下知事は当初この私学大会には行かないと言いようやく3年目に実現した。
・ 従来の「私学振興大会」を「大阪私学保護者の集い」と和らげ、副題に「橋下知事と大阪私学を語る会」と変えてこの企画は成立した。中高連ら府議会議員の先生方の相当な働きかけがあったことは想像に難くない。
・ 幕が開いた瞬間、知事は「ワーッ」というようなお顔をされ、左隣の朝倉議長と顔を見合わせあったのを私は見逃していない。立見席が出るまで満杯になった大きな会場の私学保護者連の皆様、それも「ほとんどがお母様方」の熱気を伴う雰囲気を見て「勘の良い」知事は選挙の洗礼を受ける「行政官に戻った」のである。
・ 「橋下は私学嫌いとか何とか言われてますけど違うんですよ・・・」が知事の最初の言葉であった。間違いなく知事はこの瞬間「有権者としての私学保護者」を意識したのだと思う。
・ どちらかと言うとご発言の中身は「私学への温かいお言葉」がこの後続くことになるのだが、注意深く聞いておれば、「一部誤解」があったり、「本音の部分」は言葉を選択されて発言されており、そこは注意深く受け止めなければならない。
・ 「今日は良かった、良かった」「これで私学も大丈夫」とはならない。「橋下知事に分かって頂いた」と思うわけには行かない。皆さん、熱気に包まれて「最後は選挙の出陣式」みたいな拍手と歓声に包まれて終わったが・・・。
・ 確かに知事はご自身の勉強もあるのだろうが、着任当初からの私学への観方がこの2年で徐々に変化してきていることは間違いないと思う。しかしこれは大阪府私学・大学課長の「ご進講」が相当効いていると私は考えている。
・ とにかく知事の着任以来、大阪の私学は一言で言えば「大変だった」のである。振り回されたといっても良い。「私学助成が一挙に10%から25%と削減」され私学は「授業料の値上げ」に走らざるを得なかった。
・ 次は公私間比率の7対3を「あれは私学のカルテルだ」と言われ崩壊させられた。そして今度は「私立高校就学支援推進校制度」で「加給型奨学金制度」を作ることとなった。金を吐き出さるのである。まあ「すさまじいばかりの制度のいじり」であった。
・ そして公立高校に「超エリート校10校」を作って経営資源を投入するという。この辺までは「私学はお金持ちが行く学校」との錯覚があったのではないか。「私学と公立の対峙論」がベースにあることは間違いない。「私学への間違った思い」があったことは間違いないと思う。
・ しかしようやく知事の頭の中には「到達点」が見えて来たに違いない。「具体的な絵の輪郭」がはっきりして来たのである。それは新自由主義者たる橋下知事の「面目躍如」たるものがあるが一言で言えば「学校を競争状態に置こう」というものである。
・ そのためには「公平な土俵整備」が重要で今回の「私立高校就学支援推進制度」が皮切りと言われたのである。所得制限はあるが一応350万円以下では「私立も公立も授業料が無償」としたと胸を張られるのである。「好きなほうを選べ」と。
・ ところが来年以降はこの所得制限を例えば500万円に拡大することに関しては、一時期と違って途端に「財源問題」を持ち出されたのである。「公立高校にかかっている資源の組み替え議論」までは今日のお話にはなかったのである。ここが実はポイントなのに残念である。
                                 (その2に続く)