・ 第1班生徒数204名、付き添いの教員18名が学校正門前からバス5台に分乗して伊勢神宮に向かう。2泊3日の「伊勢修養学舎」だ。3日後には2班、25日には3班が始まる。生徒数が多いから3分割だ。「嬉しい悲鳴」である。
・ 今年から「大型バス」にした。昨年までは鶴橋から近鉄であったが、伊勢での動きを考えるとこの方が便利と初めて採用したものだ。確かに便利である。11時30分予定通り「神宮会館」に到着。
・ ここで持参の昼食を摂らせ、まずバスで「外宮」にお参りだ。私と生徒代表が御垣内に入れて代表参拝だ。全生徒との二拝二拍一拝が揃って境内にこだまする。良いものだ。その後「猿田彦神社」の参拝する。本殿の中で有り難い宮司のお話を頂く。
・ 15時神宮会館に戻って「開講式」となる。神宮司庁ご代表のご頂き、会館の館長さんから歓迎の祝辞を頂く。「55回目だから相当の歴史」で今や有名な行事になっているものだ。会館もこの1週間全館貸し切り満員で「笑いの止まらない有り難い」筈だ。館長さんとももう顔なじみになっている。
・ 女生徒も増えているため、「祭式指導や着物着付け」などの指導には府内の女性神職にお願いしているが今年は5名の数だ。わざわざ大阪から来て頂いた。有り難いことである。16時30分から自由時間とし入浴、そして夕食だ。
・ その後も男子は明日の「禊指導」、女子は「着付けと礼儀作法」の指導会となる。遠足や修学旅行ではない。夜10時まで寝かせない。生徒はなかなか良いが中には「子供っぽい」生徒がいるのも事実だ。「集中できない」にである。すぐおしゃべりする。黙っておれないのだ。付き添いの教員が根気良く指導している。
・ 私は「今、この時を大切にする」というテーマで50分一コマの「校長授業」だ。姿勢正しく一生懸命に聞いてくれていた。難しかったかも分からないが何か一つでも頭に残ってくれていたら本望である。「教育とは諦めずに粘り強く伝えること」だ。一回言って分かるようなら教師ほど楽な商売はあるまい。何回も何回も手を変え品を変えしゃべることだ。
・ ただ200人もいると生徒は様々で伝える方法、対象、内容については「難しい」。「教師の仕事の難しさ」は実はここだ。能力、生い立ち、現在の環境一人ひとりの生徒は違ったものを有しており、そこを把握しながらやることが重要だが、「言うは易く」だ。
・ 今日の私はレジュメとして以下のようなものを用意して一生懸命しゃべったが・・・。
平成20年度伊勢修養学舎 平成20年7月18日作成
1年生への校長講話要旨
「今、こ の 時 を 大 切 に す る」
浪速高等学校長
木村 智彦
1. 感激の入学式から3ヶ月強が経過して
・ 自分の想像していた高校生活と実際の生活との違いについて考える。「人間は自ら考えることの出来ること」が大きな特徴。正しく考える。
・ この「自分の頭で考える」ことから全ては始まる。「忙しい」「勉強する時間がない」「部活動で忙しい」「考える暇がない」等々は「起点の喪失で方向を見失う」。考えるための道具が「基礎基本の学力」「人から学ぶ」「書物から学ぶ」「他から学ぶ」
・ 考えることは一つの「訓練」、「考えた次に何をすべきか、すべきでないか」が「判断力」と言われるもの。社会の中で生き抜いていく為にはこの「判断力が重要」。努力と訓練で身に付くもの。「目ではなく、頭で学ぶ」「頭を使う」
・ 今後とも皆さんは高校生活の進行で自分の考えなども変化していくでしょう。「変化」を感じることは素晴らしいことです。それは自分自身が「成長」しているからです。即ち「現状を見る判断力が成長している」のです。1年生と3年生では大きな変化が見えます。
2. 「決意、心構え、覚悟」ということ
・ これからの3年間を「完走する」ことがまずもって重要、「卒業証書を手にするまでは!」という気持で頑張る「強い意思」が重要
・ 社会に出ても簡単に職を変えたりすることは常にリスクのあるもの、「初志貫徹」の「心構え」が必要です。これは「覚悟」です。「覚悟」は自分を強くします。
3. これからの高校3年間をどのように「時間管理」するか
(1) 1年生の時 基礎基本を徹底すること
(2) 2年生の時 基礎基本と応用に進む
(3) 3年生になって 「仕上げ」と「進路の決定」
要はこの高校3年間は終りの3年間ではなくて新たな「始まりの3年間」です。
この3年間は将来設計の為の極めて重要な期間ということ。勉強について言え
ば:
・ まず授業を大切に、予習復習がもっとも大切、加えて「特別講習」など
・ 元々は「自学自習」が本当に身につくやり方、もっともいけないのは「だらだら」と意味のない時間を使う、時間の浪費を避ける。「高校生だということを自覚する」
・ 大学進学も「学びの期間」、「大学を出て何をするか?そのために大学で何を学ぶか?」
3. 実は「時間の使い方は一生の課題」というか人生のテーマ、全世界の人類共通の
問題 時間管理のできる人間が強い!
人生はこれから先、色々なことがあるが、「かけた時間だけ返り」がある。
(1) 大学進学、そしてその後の社会進出 今から7年後あるいは9年後が勝負
(2) 就職、あるいは自立、いずれにしても時間との戦い
結局「時間はコスト」「自分の時間は限られている」「Time is Money」
・ ・・・・成功する人は時間の使い方の上手い人・・・・
(3)社会で最も問題視されること、「人の時間を無駄にする行為」「人に迷惑を欠ける行為」「無為な時間を過ごさない」人は誰も一日24時間、「優先順位を付ける」
5. 時間を上手く使うこつは?
(1)「志」を持つこと これが軸である。これさえあれば行動がぶれない。めげない。
(2) けじめをつける 遊んでも良い、遊んだ後は学習するというけじめ
言い換えれば自分なりの「生活習慣ライフサイクル」を持つということ
(3)「時間の積み重ね」という感覚を身につけること。一挙に何事も出来ない。少しずつ、一つずつ進む。取り戻せないものは過ぎ去った時間、急には何事もならない、「時間の積み重ね」が必要、従ってこの時間の積み重ねをどのようにするかで結果は違ったものになってくる。「かけた時間は結果で返る」「間違った時間は失敗で返る」
6.結論 浪高生は、「時間を上手く使う達人になる」
そのためには「今、この時を大切にする」
7.社会で生き抜く力とは
変革・混迷の時代を読み解くキーワードを頭に入れる
・個性化と自己責任 ・規制緩和と結果責任 ・多様化、流動化、・格差
・公開, 説明責任、透明性 ・グローバルスタンダードの人権と共生
・地球環境問題 ・小さな政府、地方分権、・物つくり立国、知的創造立国
人材および雇用流動化・多様化の時代
終身雇用スタイルの変化
人材流動化 力さえあればどこでも通用する時代
専門家集団の集まり
① ジェネラルマネージャーからスペシャリストへ
② 学歴ではなくて学修歴 、職務歴 「何が出来るか?」
「何で貢献できるか?」
そして今 「共生の時代」「男女共同参画の時代」「地球規模のネットワークの時代」「IT」と「地球環境」を「生き抜いていく力」
そうした時代に社会が求める人材
・ 遵法精神 「正しく生きる」「真面目に生きる」「仕事を通じて社会に貢献する」
・ 何よりも全人間的魅力・・・「豊かな人間性と専門性」
明るさ 積極性 責任感 品性品格 正しい歴史観 専門性
コミュニケーション能力 課題設定能力 英語力 その他 以上