2008年7月31日木曜日

7月31日(木)私大定員割れ

・ 飛行は順調で予定よりも早い着陸となった。偏西風が弱かったのかも知れない。こういうのも珍しい。ゲート出口で簡単な「解団式」をした。保護者は今日が普通の日ということで全員来られているとは見えなかったが、それでも多くの保護者が久し振りに見るわが子をうっとりと眺めていた。
・ 英語科からT先生が迎えにきてくれていた。彼は今回も最初の1週間の立ち上がりに協力してくれた。付き添いのH教諭、T教諭を含めて3人に「慰労の言葉」と「今後の方針」について今回の「総括」を含めて実施し、報告するように指示した。
・ 外は蒸し暑い。余りにもカルガリーとの差に体が悲鳴を上げる。自宅到着は5時過ぎであった。久し振りの我が家であったが「部屋は蒸し風呂」状態であった。窓を開けて風を入れるも「熱風」である。
・ 荷物を整理し、夕食に出かける。悲しい性で5日ぶりの日本の新聞を無性に読みたくなる。5大紙に目を通す。7月31日の各紙は「私大定員割れ」が大きく取り上げられている。
・ 今に始まったことではなくて1996年くらいから出てきている状況で「驚くにあたらない」と私は思っているが10年以上連続の割れで「日本私立学校振興・共済事業団」が2008年度分を発表したものに各紙は「食いついた」というところだろう。
・ 「47%が定員割れ」だから大学の2校に1校が割れていると言ったほうが分かり易い。しかしこの数値は注意して読まねばならない。定員が3000以上の大学は充足率が114%、志願倍率も11.87倍と超難関となっている。
・ ところが「定員800人以下の小規模大学」では一気に落ち、すべてが定員割れしているとある。完全に「2極化」だ。「大都市の大規模校はいわゆる有名伝統校でブランド力を力にますます生徒をかき集める」。
・ 定員800人未満でデータは鮮明であり、800人と言うのは極めて重要な統計数値だ。これ以下では軒並み定員割れで、地方の中小大学は記事の見出しでも「地方苦戦」と書かれており、私学事業団も冷たく「地方や小規模の大学は定員を縮小しつつ収支を均衡させる「縮小均衡」とならざるを得ない。教職員削減など収支を合わせる対策が必要だ。」と明確に述べている。
・ この財団、本当に面白くて文科省の息がかかっているお役所体質だと思っていたが「はっきりものをいう」ところを私は評価している。本校も1昨年、イエローカードを出され、厳しく経営を糾弾された。「2年しか持たないよ、今のままではと。」
・ 早稲田の志願者数は約125000人で九州の全私大130000人に匹敵する。一つの大学が九州全域の志願者を集めているのだ。定員充足率で言えば東京116%、南関東、京都、大阪が109%、近畿103%、それ以外の地域は100%を切っている。私立短大は「悲惨」としか言いようがなく、気の毒だからここではあえて上げない。
・ それでも早稲田は貪欲に大阪に出てきて摂稜を傘下に入れた。初芝は立命館、近大は飛翔館と賢明を支配下に入れ、もう近隣でも大学との連携が「火がついたように」燃え盛っている。
・ 「私立高校の経営難」と「学生が欲しい大学との思惑が一致」してこのような「ブーム」になっているのだが「果たしてそれで良いのか」という疑問がないわけではない。「学力不問」「「指定校」「AO入試」等々2008年度の私大入試では「推薦入学」の学生の割合が45.9%に達し過去最高を更新している。
・ 一生に一度の受験勉強を一生懸命して「一般入試」で入学する高校生はもはや「少数派」になりつつあるのである。したがって定員割れ私大の急増は大学経営を直撃するだけではなく、「入試のハードル」を下げたことになり、高校生の学習離れ、即ち受験勉強離れを引き起こしてきた。
・ 本校でも9月には「指定校推薦」が始まり9月末には大学決定となり生徒は喜んで「クラブ活動」などに汗を流すのだ。受験勉強など不要の層があるのだ。そして大学側は入学させた学生の学力レベルに愕然として大学で「高校の補講」をしたりしている。何か「おかしくないか」。
・ しかし7月は忙しかった。今日で7月は終わり。明日は京都に移動し、「トップ100人の徹底学習合宿」だ。生徒にはこのブログの内容など話してやりながら「檄を飛ばす」つもりだ。私は徹底的に勉強させる。させなければならない生徒には徹底的にやらせる。
・ 3年生は京都本能寺会館、1,2年生は大津のセミナーハウスを借りて総力を挙げて、初めてトップ層の徹底的学習指導をやってみる。どういう結果になるか大変興味がある試みだ。
・ 本校のように1500人も生徒がいれば様々なタイプの生徒がおり、「ワイドレンジ」を受けとめながら、資質にあった学習展開が必要なのである。私は「3つのタイプの高校を運営」していると考えている。明日からはその一つ「超進学校を目指して」、「学校の責務を果たす企画」と考えているのだ。