2009年9月6日日曜日

9月6日(日)成人年齢の引き下げ




・ 我が国で「成人年齢の引き下げ議論」が出てきたのは確か安部内閣で憲法改正のための「国民投票法」が2年前に成立したのがきっかけである。それまで年齢を「現在の20才から18歳まで引き下げる」などの話は何処にもなかった。
・ 17歳、18歳近辺の子供たちの問題行動や凶悪犯罪が逆に社会を騒がしているだけに成人年齢の引き下げなどあっても「トンでもない」話であった。ところが「原則18歳以上に投票権を与える国民投票法が来年5月にスタート」する前に「民法の規定」や20歳からに認めている「公職選挙法」見直しも検討する議論が出てきて「火が付き始めた」気がする。
・ 日本は「成人は20才」としているが話をややこしくしているのは「国際基準は18歳」だからその比較において議論が盛り上がっている(?)のかも知れない。明治9年、明治政府が出した「太政官布告」で「課税」や「徴兵」の年齢を20歳と定めたとき以来の20歳とものの本にはある。
・ その後の「民法制定」は明治29年になるが成人年齢について政府部内で殆ど議論などされなかったと9月2日の産経新聞の記事にはある。まあそのまま「踏襲」したのだろう。当時は問題がなかったのである。
・ 世界は前述したように欧米を中心に80%以上の国が18歳を成人年齢としているから「18歳が国際基準」というグループが意見をリードしているのである。ただ色々あってお隣の韓国は20歳だし、ニュージーランドも20歳、ところがネパールは16歳、北朝鮮は17歳、どこか知らないが21歳と言う国もあるらしい。
・ 要は各国の「教育制度や国の成り立ち、宗教観、歴史などが関係」しているのであるがこれは今後注意深く考えていかねばならない。「18歳の高校生の大人」が出現することになる。高校2年生はまだ子どもであるが歳が明けて高校3年生になったら「大人」になることになる。
・ また「原級留置(留年)」をしたら18歳の高校2年生が居てその人は大人、隣の席に座っている生徒は17歳で同じ高校2年生で同じクラスだが子どもということになる。その生徒が「僕、明日は部活の試合に行けません。衆議院選挙で投票しなければならないので」という場面も出てくるだろう。
・ 「R18+」と言うマークがある。劇場で上映される映画の「映倫管理委員会」が18歳未満の観覧禁止を意味するマークなのだが激しい性描写や暴力表現などのいわゆる「成人映画」を18歳の高校3年生は観ても問題はないことになる。
・ その生徒は翌日教室で「昨日、あれ観たよ。すごかったわ」などと隣のまだ17歳の生徒に言う事だってありうる話である。又「風俗営業法」ではパチンコ店に18歳から出入りすることが許されており、学校の帰りに「ちょっとパチンコで」ということにもなりかねない。
・ 「児童福祉法」は18歳未満が「保護の対象」だが18歳高校生は対象外だから行政機関に関係ない」と言われる可能性もある。「労動基準法」は18歳未満は「年少者」だが18歳高校生は一般の大人としての扱いになるのか。
・ 「道路交通法」も今は18歳で普通免許が取れるから考えてみれば「18歳が節目の年齢」となっている例は結構多い。「法制審議会」の部会の報告では成人となる18歳が「悪徳商法の犠牲」になることを心配しているらしい。
・ 確かにお金を稼いでいないのが一般的だから「甘い言葉」に乗せられると欲しいものが一杯あって「気が付いたら山ほど高価な商品を買っていた」などと家庭問題となる危険性はある。
・ 「昨日親父の晩酌に付き合ってね。少し飲みすぎた」などという高校3年生がいるかもしれない。昼食後「喫煙室でぷかぷか」という光景が見られるかもしれない。勿論「学校の校則」で縛るが、縛っても基本となる法律が許せば内規など弱いものだ。
・ 問題は法律によって前述したように「大人との線引き」が「ばらばら」というのも確かに問題はある。現在のところこの動きに対して一般の世論は「アゲインストの風」みたいだ。「とんでもない、親のすねをかじっている高校生が大人などあり得なーい!」と憤慨する人が多いそうだ。
・ 内閣府が昨年「成人年齢引き下げ」について調査したところ「79%が反対」だったという。「引き下げには大反対です。学歴偏重で知識はあっても知恵はついていない。経験不足で大人などと扱うわけには行きません」と言ったところが反対の理由であろう。
・ ただちょっと待ってと私は言いたい。冒頭書いたように20歳は明治以降の話でその前は「元服」を含めてもっともっと低年齢で大人の扱いであったはずである。早い段階で「大人の扱い」をすることは逆に現在の18歳未満の子供たちに「自覚を促す」ことにならないか。
・ 基本的に私は現時点では賛成の気持ちである。必ずしも18歳への引き下げが悪いばかりではなかろう。現に世界の80%以上は18歳成人なのだから、国際高校性フォーラムなどがあって相手国は大人、日本は子どもでは如何にもと言う感じもする。
・ しかし日本の子どもはとにかく「子どもっぽい」のだ。可愛いが子どもっぽい。「チョウカワイイー文化」にどっぷりとつかり、何かと「Vサイン」ばかりする高校3年生18歳を大人と見られるかといわれたら、「グッ」と声は詰まるのも正直な感想である。
・ 9月一杯で法制審議会は結論を出すと言うがまだまだ議論はいるだろう。しかしどうも反対しても18歳が大人と定義される「動きと流れ」は変えられないのでないかという気がする。正直今後の展開はよく分からない。特に民主党がどのような判断を下すかということである。最後は「政治の判断」となる。
・ しかし学校にとっては大変なことである。18歳大人となれば「成人式を学校でしなければならない」ことにならないか。これは「大変」ですよ。しかしお酒を飲んだりけんかをしたりする成人式の一部の大騒ぎは学校の場合はどうなるのだろう。本校では絶対に許しはしないが。
・ とにかく様々な課題がある。18歳成人は政権交代以上に日本の若者文化に影響が出てくるのではないか。この際今の閉塞感を打破するのに18歳を成人と認めて「自覚を促し」「自己責任」を徹底するという「新たな文化創造」を本気で考えても良いのではないか。