2010年9月30日木曜日

H22.9月30日(木)遍路行後半戦プロローグ

四国霊場88箇所巡拝遍路行後半の部



伊予・讃岐二国打ち プロローグ

出発前日 平成18年9月30日(土)   後半戦旅立ちに備えて

  平成18年8月8日だから、並んだ数字の888は四国88箇所の88とゴロを合わせた感じであったが、これは全くの偶然で意図した訳ではない。この日徳島県鳴門の一番札所霊山寺から巡拝の旅に立ち、これまた8の付く8月28日、出発して21日目で土佐最後の札所39番延光寺まで、阿波と土佐のすべての札所39箇所を僕は歩き遍路として巡拝を終えたのである。灼熱の暑さの中で完璧な形での歩きに徹し、踏破した。

 88マイナス39、即ち残り49箇所の札所巡拝については何時出発しようかと考えていたのだが、元々9月は次の仕事の事もあり連続していく計画ではなかった。しかし何処にいても僕は次の後半戦のことが心と体に残って落ち着かなかった。何かを途中でやめているムズムズした感じで気分がすっきりしなかったのである。

 しかしようやく周辺の身辺整理も進み、相撲の仕切と同じで徐々に気分が高揚してきて出発の心の準備が出来た。特に金剛杖を自分で作ったことが大きく作用したと思っている。一刻も早く自前のお杖で巡拝の旅に出たかったのである。後半戦にあたっては阿波・土佐での経験から物的なものの改善を相当進めた。中でも特に僕は新しい金剛杖に拘ったのである。前半戦で使ったものは自分の身長には少し短く、激しい使い方で先端は削られより短くなっていたから僕は自分で背丈に合うものを作ったのである。そしてそれに心を込めて「般若心経」を書き込んだ。また痛んだ菅笠を補修するために裏側に和紙を張りそれに柿渋を塗って補強した。こういう手仕事が元来好きなのである。

 加えてとにかく荷物を少なく、少しでも軽いものをと考えて、準備に備えたのである。まずパソコンを新しく買い求めた。同じパナソニックのB5タイプであるが1.6キロから0.96キロと世界最軽量のものとした。また首からぶら下げるデジカメも最軽量のものに買い換えたのである。


① 今、19時30分、風呂から上がって夕食を軽く済ませたところ。念入りに髭剃りをしたので、綺麗さっぱりとした。メニューは牛乳とりんご1/2個である。これから深夜バスに乗るからこれで良いと考えたのである。と言うのも明日からの歩きに備えてお昼に天王寺東映ホテルのバイキング昼食でたらふく食べ物をおなかに入れたからである。しばらくご馳走にはありつけないと思って沢山食べたのである。


② 風呂に入る前の17時頃から2時間ほど、予行演習で天王寺周辺を歩いた。脚の調子が良い。しかし出発を控えて明日からの迫ってくるであろう孤独感、寂寥感に加えて、同時に何か旅立ち前の高揚感みたいなものもあり、だんだんと気が高ぶってきている自分に気付く。帰りに近鉄デパートの高速バス案内所に立ち寄り今日のバスを確認。なんと本日満員とか、28人乗りであるが大阪から高知のはずれに行く人も結構居るのだなと思った。今日は一人乗り位で楽勝と思っていただけに意外な感じであった。僕の席は12A、中間付近で一番良いところを手にすることが出来た。


③  しばらく留守にすることになるので、今日は朝から部屋の掃除を念入りに行い、洗濯もした。洗濯物を残すようなことはしない。几帳面な性格なのである。部屋中がすっきりした。持って行く荷物の整理も出来た。ただ着ていく服装には最後まで困った。9月の大阪は暑いし、今日の大阪も暑かった。しかし8月のあの暑さとは違う。四国の10月の温度はどうなんだろうか?愛媛は山が多く、距離も長い。特に上着用に着るものに気をもんだのである。結局、結論としては半そで1枚、長袖一枚、夏用のベスト1枚で決定。後はタオルをマフラーにして首に巻けば朝夕の肌寒さはしのげると踏んだ。ただ明日は朝から本格的な秋雨とか予報が報じていた。嫌だがこればかりは仕方がない。特に今回は、雨対策は完全にした。阿波・土佐の遍路行でポンチョは役に立たなかったので少々の風が吹いても間に合う本格的登山用の物を持っていたので今回はそれをリュックに入れたのである。


④ 大阪府の○○副知事に手紙を差し出し、道明寺天満宮の南坊城宮司にも電話をした。次の仕事へのやるべきことは済ませたので、気になることはないが、遍路から帰った10月末には次の就職先について最終意思決定をしなければならない。どちらにお世話になるか。次に仕事を始めればもはやこのような長期間の自由時間はとれなくなるだろうから、それだけにこの10月を有意義に使いたいと思ったのである。


⑤  鹿嶋から持参した梨とりんごはリュックに入れた。大好きな“黒糖かりんとう”も買った。明日の朝とお昼に歩きながらかじろうと思ったのである。僕の立てた予定では21時25分天王寺近鉄デパート前を出発し、翌朝7時18分四万十市(旧中村市)到着、黒潮鉄道で平田駅に行き、タクシーで土佐最後の札所39番延光寺まで行く。前回打ち止めした札所である。そこで改めて礼拝・納経して前半戦で使ったお杖を返納する。そして後半の旅の祈願だ。


⑥ 天王寺からの旅装から着替えをしなければならない。お寺の片隅で遍路姿に着替えて、
すぐ、恐らく天気予報では雨の中を愛媛県一番札所40番観自在寺に向かって歩く予定である。忙しい一日になりそうだ。僕はコンセントを抜き、戸締りを確認してバス停に向かったのである。それにしても自宅のあるマンションから5分で天王寺近鉄前のバス乗り場に着く。


⑦ 前回の8月の出発時に心に抱いていた気持ちとは異なる新たな気概が心に充満してくるのを僕は間違いなく感じている。自分の持ち味だと思っているチャレンジ精神的な物がふつふつと沸いてくるのである。発心の阿波、修行の土佐は十分体得した。そして明日から始まる涅槃の伊予、菩提の讃岐は果たしてどのようなものになるのであろうか。しばらく浮世とおさらばして自分を解き放ちただ一人でただただ歩いてみたいと思うのである。