2009年11月30日月曜日

11月30日(月)授業料値上げの学校を発表




・ 今月の27日に「大阪私立中学校高等学校連合会(中髙連)」は府内の私立中学校と高等学校の来年度入学生の「授業料を値上げする学校」を公表した。これを受けて現在検討されている「高校の授業料無償化」とあいまって、「社会的関心事」とし、翌朝の28日に各紙が大きくこれを報道している。
・ 本校は今年度入学生から値上げさせて頂いており、中学校、高等学校とも「2年連続値上げはしない」と理事会でも結論が出ており「入学金、授業料は据え置いた」。しかし28日の新聞記事によれば95校のうち「2年連続で値上げをしているのは3校」であった。商大堺、関大北陽、四条畷学園と名前まで出ており驚いたのだが、私は正直「勇気ある学校だなー」と感心したのである。
・ 22年度入学生から私立高校95校のうち「24校が平均42000円値上げ」、私立中学校は64校中「14校が平均5万円の値上げ」を決めたとある。これで大阪の私立「高校の平均授業料は784100円となり、中学校は813200円」となる。
・ ちなみに本校は「浪速高校が780000円、浪速中学が800000円」であるから「平均よりちょっと下」で入試に関わる人間からすれば「良い位置につけている」というが、別に「競馬」をしているわけではないから位置など関係ない話である。
・ 朝日新聞は「授業料の最も高い学校」まで名前入りで報道している。関西学院千里国際髙と来春開校の関西大学髙(高槻市)が両翼で90万円、中学は関西学院千里国際中が945000円と言う。本校より12万円以上も高い。理事長とすれば、正直「うらやましい気」もする。
・ 最も「上げ幅」の大きかった学校は近大付属中髙でともに前年比96000円増の800000円と言うことだが学校関係者のコメントとして「14年ぶりの改定で財務内容の悪化を改善し教育内容を維持するため」とある。良くわかる。
・ とにかく昨年橋下知事が行った「橋下流教育改革」はまず私学への助成を高校で10%、中学で25%カットしたことから始まった。その結果が今年の春と来年の春の私立の授業料値上げである。結局2年で「75%の学校が値上げ」したことになる。
・ 28日の大阪日日新聞によれば橋下知事は「私立高校の経営状況に関わることなので仕方が無い。」とコメントし、続けて「経常費削減が値上げの理由ではないと聞いている。」と述べたらしいが、これは「微妙な言い回し」ではないのか。
・ 今回値上げをした学校はその理由を「施設設備の補修整備」が17校で、「財務内容の改善」が14校、「長年据え置いたことによる財務内容の悪化」が11校と報道されているように、値上げの理由はこのようなものなのである。背景には「少子化による生徒数の減少」がある。「教員の給料アップに使います」と言う学校など何処にもない。
・ 幾ら公費を受けるからと言って行政が「私立学校法で拠っている私立学校の独立性」を侵すような「行政指導」は受け入れられないと強行に申し入れた学校があり、先程行われた大阪府と私学側の会議で「大紛糾」したと聞いている。
・ 知事は「経営状況を公開する必要がある」と指摘しているのは「私立学校法の精神」から正しいが、これによってすぐ財務情報を公開しない私学の運営費助成金を削減すると言うのはまず「行政指導」を適切に行ってからの話だろうと思う。ホームページ公開を義務付けているわけではない。
・ 100%公金の府立高校も学校単位で財務状況を分析できる範囲で行い公開する必要があるのではないかと言う議論になってこよう。ある学校では生徒一人当たりの公費の投入が極めて大きいが別の学校では極めて少ないと言う状況もあるだろう。同じ公立学校でも「税負担の割合」が学校単位で大きく異なれば「公教育の軸がぶれる」と言うことにもならないか。
・ 私学は「私学の経営側が責任を持って経営と校務の運営」を行い、「結果の責任も受ける」ということだ。授業料の高い高校に行く価値がないと生徒保護者が思えば、その学校は「それでお仕舞い」であり、「自然に淘汰」されていくだけの話ではないのか。
・ 授業料が高いか安いかは行政がとやかく言うものではなかろう。高島屋と大丸のデパ地下で同じものの値段が違うと言って「消費者庁」が乗り出す話ではあるまい。「あそこは値段は少しお高いけど新鮮なのよね。中国産もないし・・」と消費者は良く観ているのである。
・ 更に大阪府は「経営側の報酬」についても言及しており、「年収基準」を決めて、このオーバーする部分についても助成費削減の判断材料とすると言っている。言ってみれば幾ら理事会が決定した報酬を受けようとしても、府は基準をオーバーしたらそれは助成費を削減すると言っているのである。実質的な民間企業の役員の報酬を行政が決めると言うことにならないのか。
・ おかしな話だ。「公費の部分はすべて120%生徒へ還元」されており経営側の報酬に回っているのではない。「経営や教職員の給与などは保護者納付金で賄われている」と言うのが私の基本的な考えで私学助成とは関係ない話だと考えているが果たしてどうなのだろう。頭を整理して再考しなければならない。
・ 又これは簡単な話ではない。オーナー経営者で家族一族で理事を占めている学校などは「総計が大きくなる」が、本校のように「たった一人で理事長、専務理事、校長職を遂行」しているケースはどうなるのと言った議論も出てくる。
・ しかし日本経済が現在混沌として先行きが見えず、経済状況が厳しいとの認識に立てば、「自助努力」を行い、「財務体質をいくらかでも強化」しなければならないとする方向は言われなくとも分かっている話であり、私は「本年度の理事長校長役員報酬を自ら削減する」ことを決めた。12月理事会に諮る。
・ このことを11月26日の「職員会議」で全教職員に伝えた。又教職員の本給や賞与の支給月数は当面は変えないが「手当て」については「見直し」があると伝えたのである。とりあえず「多聞尚学館の手当て」についてはある程度の削減の理解を求めたのである。
・ 「財務内容の公開」については府の指導の出る前から本校は「ホームページ上に公開」してきたが、今回完全開示を行うべく整理しすでに作業は終わっている。これを観て頂ければ「本校の経営状況」が一発で分かる筈である。
・ 本校のように「資産が増加している学校」などそう多くはあるまい。本校は19年度から黒字に転換し、「累計損失を減らしながら」新経営計画通りに「新校舎建設」に向かって着実に「資産を積み増しており」、なんら「経営に揺らぎは無い」ことは誰が見ても分かる筈である。
・ この3年間、単にお金を積み立てて来たのではない。校内の「設備施設をリフレッシュ」し「第二グラウンド」も作った。千早赤阪村から廃校となった小学校を買収し改造を加えて校外宿泊合宿設備の「多聞尚学館」を完成させ教職員生徒保護者から大変喜んでもらっている。
・ この状況、すなわち、たった3年で「赤信号の学校」から「資産が積みあがる学校」へと転換できた「舵取り」は「理事長、専務理事、校長たる一人三役の私の仕事の成果」だと強烈な自負を有している。
・ 勿論理解と協力してくれた「教職員の力」はあったがこの3年で代わったトップは私だけであり、「私の考えで全て」を進めてきた。生徒募集には「座長、自ら主役」を務めて頑張ってきた。そして今の学校の現状がある。このことについて「とやかく」いうことだけは許さないと思っているのである。役員の報酬とはそういう結果から決まってくるということである。

2009年11月29日日曜日

11月29日(日)大塚善章先生リサイタル











・ 今日は忙しい日曜日となった。楽しみにしていたNHKテレビの「坂の上の雲」は見られないと思って3時過ぎに自宅に帰った時に「録画」の準備をして、久しぶりに和服に着替えて次の用事のある「NHKホール」に向かった。
・ 前から「今日は着物を着る」ことを決めていた。理由は特にないが、とにかくどうしても着物が着たかったからである。録画の準備や着物を出したりで気が焦ったが、最近では慣れて来て「着付け」も苦にならない。
・ NHKホールでの用事が終わって、運よく8時15分には自宅に戻ることが出来て急いでテレビのスイッチを入れて「坂の上の雲」を見ることが出来たのである。秋山好古が「身辺は単純明快」「身の回りは質素」といっていた。反省しなければならない。面白い連続ドラマになりそうである。
・ 私はテレビを見ながらブログを書いた。「至福のひと時」である。ようやく慌ただしい日曜日が終わったのだと思った。それにしても今日は忙しかったが、案外「疲労感がない」のが不思議である。

・ 今日は朝の内に「多聞尚学館」に行って学習合宿中の生徒を激励してきた。久しぶりのTOP30の30人とSP30の30人だ。それが1年生と2年生だから合計「4クラス120名の大部隊」である。
・ SP30は判り易く言えばSECOND30だから言ってみれば2番手グループである。私はセカンド30と言ったのだが進路指導部長が「それではいかにも」といって「スーペリア30」と名付けたのである。
・ 今回は私の強い意向で「各テストの上位15番まで名前を張り出す」ことにした。生徒の反応は逆に喜んで「次のテストでは頑張るぞ」と言っているらしい。私の「もくろみは成功」したみたいであった。少しくらいは「競争心」を駆り立ててやらねばならない。
・ センターどころではない「国立大学の2次試験問題」を解いていたが、相当難しかったと思う。しかし現実を知らせねばならない。悪戦苦闘していたが全員真剣に頑張ってくれていた。私は嬉しくなったのである。
・ しかしトップ30人でもすでに大きな実力の差がついている。しかし今からやれば何とでもなる。「習熟度別」に生徒を分けて、教える内容も確認試験も変えてやることが大切である。
・ それにしても今日驚いたのだが、2年生の理数科には「数学の天才」と思うような生徒がいる。この生徒は今でも難関国立大学の数学問題を「さらり」と解くのだ。多聞尚学館でも全ての試験が「満点」だから私は「ぶったまげた」のである。

・ 多聞激励の後で河内長野市の某葬儀場に向かった。本校職員のご家族にご不幸があり葬儀に参列したのである。行く途中にハプニングがあった。商店街を歩いて式場に向かっていたのだが途中に電気屋さんがあって店先に「IH用の土鍋が陳列」しており私は興味を覚えて「じろじろ」と眺め、観るだけでそのお店の軒先を後にした。
・ お店を離れたところ女性二人が追いかけて来て「校長先生ではありませんか」と聞かれたのであった。要は浪速高校3年生のお母さんでこの電気屋さんは「実家」であり、母を手伝っているということだった。
・ サッカーを楽しみ、神戸学院大に進学も決まり「ありがとうございました」とお礼を言われたのだが、「油断も隙も」あったものではない。顔を知られているから「変なことは出来ない」としみじみと思ったのである。

・ 葬儀の後は堺の地場産業会館での「骨董市」に出かけて「精神の飢え」を充たしたのである。江戸時代の火事場火消しが持っていた「かぎ」みたいなものと安物の茶わんを求めて学校に戻ったのである。

・ そして本日のメインイベントである「大塚善章先生の音楽生活55周年」記念コンサートが夕刻17時からあるのでNHKホールに向かったのである。私は特別招待ということであったが、あの広いNHKホールが満員だからたいしたものだ。
・ 私と大塚善章氏とは長い歴史がある。私が府立高津高校に勤務していたときにご面識を頂いてそれ以来のお付き合いである。大塚氏は高津高校の卒業生で高津高校の校歌「朝霧」を作曲したお方である。あの名曲朝霧は先生が高校時代に作曲したというからそれだけでも先生の類まれなる才能が分かるというものである。
・ 先生とのご関係はそれだけでは終わらず結局私が浪速高校に来たときに「新しい校歌」を作る必要に迫られて、関係が復活した。本校は17年に共学に移行し、それまでの男子校の校歌だけというわけにも行かず「女生徒も歌える新校歌」作成を急いで進めたのである。
・ まず「作詞は本校OBの藤本義一先生」にお願いした。これは最初から決めておいたことであるが、「さて作曲をどなたに?」と思っていたところに大塚先生を思い出したのである。
・ まず私は西宮の藤本先生にお電話して作詞をお願いした。その時に「作曲者ですが心当たりがありまして・・・」とお話したところ先生が「どなたに?」と聞かれるので「実はこうこうしかじかで・・・大塚先生を考えています」とお答えしたのである。
・ そしたら「善章さんか?知っているよ。長い友人だ。」と藤本先生のお声が返ってきたのを今でも覚えているのである。そう現在の浪速の校歌「我ら浪速」は作詞藤本義一作曲大塚善章のコンビはこのようにして組まれたのである。
・ プロ生活55周年を迎える関西が誇るジャズプレイヤー大塚善章先生が節目として開催する記念コンサートだから、ましてや校歌の作曲者であり、私はこの企画にささやかながら助成をすることとしたのである。
・ そうしたら「善章オフィス」はプログラム用に大塚善章、藤本義一両先生と私との対談を企画したくれたのである。その対談のさわりが本日の「プログラムに記載」されていたのである。

2009年11月28日土曜日

11月28日(土)関西大学訪問







・ 11月は「関西大学」を訪問する機会が多くあった。9日、19日、25日、今日28日とほぼ1週間に一回の割で訪問したことになる。すべて千里山キャンパスで他のキャンパスにはまだ行くチャンスが無い。
・ 「大学会館」という言わば大学本部に赴くのである。ここには「理事長や前理事長で相談役の先生、それに学長先生や大学法人の幹部」の先生が執務をとっておられる場所なので、当然のことながら今まではここが多いのである。
・ それまでは関大に赴くなど機会がまったくなかったが、「浪速中学校が連携校」となったから当然、機会は増えて当たり前である。しかし最近は「学部単位の多くの有名な教授」に知己を頂くことが多くなった。誠に嬉しいことである。
・ 前回の訪問先は新しい「堺キャンパス」に出来る予定となっている「健康文化学部」の初代学部長にご就任予定の「竹内洋(よう)」先生だった。ようやくアポが取れてご挨拶する機会を得たのだが、本当にお会いできるのを楽しみにしていた先生であった。
・ 随分前から私は竹内先生の著作の「愛読者」である。竹内先生、1942年生まれだから私より4歳年長、新潟県のお生まれで京都大学教育学部ご卒業、同大学の博士課程を修了されてそのまま京大大学院の教授をされた後、関西大学に請われて来ておられる。
・ 竹内先生と言えば「歴史社会学」「社会教育学」のご専門でこの「社会教育学に関する著作」が私には大変勉強になるのである。「丸山眞男の時代」「教養主義の没落」「大学という病」「大衆モダニズム夢の跡」「増補 立身出世主義」「「立志苦学出世」そして最新版が2008年9月発刊の「学問の下流化」である。
・ 私はこれらをすべて読んでいる。そして私の「校長日記に時々引用」させて貰っているのである。書物と読者の関係には「肌合い」と言うものがあるのではないか。幾ら名著と言っても読みにくい本はあるものだが竹内先生の本は「スッ」と体に入ってくる感じなのである。
・ 「軟派な読み物ではなくてどちらかと言えば硬派な切り口」であるが先生のお人柄なのだろう、優しい語り口と言う感じである。お会いして初めて私は先生の「文章の香り」の理由を理解出来たのであった。「文は人なり」というのかどうか知らないが私はそのように思ったのである。
・ 私の文など「厳しい」「直裁的」とか色々言われるが、これは「分かり易さ」ということを心がけているからである。優しく書けることは書けるが、今私は学校と言う舞台で教職員と生徒と保護者を相手に「良い意味で戦っている最中」と思っており、「ホンワカ、ホンワカ」とした文章には必然的になれないのである。
・ 初めてお会いした時に竹内洋先生は私の「ブログ」を読まれたということで「中々しっかりした文章を書かれる」とお褒めにあづかったが、まさか先生が私の駄文など読まれるはずは無いと思っていただけに「驚き、嬉しかった」のでる。
・ 竹内先生は本校のお隣さんである新キャンパスのトップになられる。浅香山だから本当に「目と鼻の近さ」である。私は今後先生にご厚誼を頂いて「生徒への講演」などお願いしたいと申し出てご快諾を頂いたのである。先生はノーネクタイでざっくばらんなお人であった。本当に気分の良い初めての出会いであった。
・ そのように思っていたら27日の読売夕刊に先生の記事が出ていた。先生はよく新聞に登場されるのだが、この日のタイトルは「上から目線 教育指導ままならぬ」という「軽妙洒脱」なもので「当世学生気質」とでも言うのであろか、居肉っぽくユーモアをもって書いておられた。
・ この記事の中に「教師が教員と呼ばれる」ようになって教育界の変質が始まったというご指摘めいたことを書かれていた。昔は小学校の教師は「訓導」で中等学校が「教諭」、専門学校や大学が「教授」と発達段階に応じて名称が変わる「卓抜な職名」だったと指摘されているのだ。これは先生の書物にも書いておられたと思う。
・ 記事には以下のような部分もある。「そういえば何時の頃からか、学生が妙に教師になれなれしくなった。友達のような先生。「かわいい」といわれると脂下がる“バカ教師”も居る。」激しいではないか。私など、足元に及ばない厳しい表現ではないか。

・ そういうわけで本日も又関大に行ったのである。「外国語学部誕生の記念行事」としてシンポジューム講演会があり、その後100周年記念会館ホールで懇親会があるというので「外国語学部長」からご招待を受けたので行って来たというわけである。
・ この学部長先生は「宇佐見太市」先生といわれ過日初めてお会いしたが人目で「エンパシー」「シンパシー」を感じたいわゆる「ナイスガイ」に近い感じの先生である。本日の主催者としてのご挨拶も素晴らしいものであった。
・ 又今日の司会進行とパネルディスカッションのコーヂネイターは先週20日に本校英語科の教員が指導会で教えを受けたこの学部の「竹内理教授・副学長」であったから私は大変親しみを感じた会合であったのである。
・ 今日の講演は「沼田貞昭」氏で元のカナダ特命全権大使を務められ現在は鹿島建設の顧問をされておられる、「バリバリの職業外交官」で、東大からオックスフォード大学に留学そのまま在英大使館勤務などの輝かしいご経歴である。
・ 本日のタイトルも「対外発信と英語―外交の現場から」とあるように私は「外交官の英語」と言うものに大変な興味があってそれで楽しみにしていたのである。ここでのご講演の内容は別途記述しなければならない。それ位「中身の濃い有意義なお話」であった。
・ 私は聞きながら「ああ、失敗した。教員を連れてくれば良かった」と思ったのである。そして引き続いて行われたシンポジウムは新進気鋭の4名の若手の学者先生が「外国語を学ぶ楽しみ」としてご自分のご経験をお話された。「これは生徒に聞かせるべきであった」と思ったのである。
・ 久しぶりに大学の講堂で4時間も講義を聞くなど昔に戻った感じであったが決して時間が長く感じず、あっという間の実りある時を私は関西大学で過ごしたのである。時にはこのような「勉強の時間」「ゆとりの時間」があっても悪くはないと思ったのである。

2009年11月27日金曜日

11月27日(金)改定労働基準法




・ 平成20年12月5日の第170回臨時国会において「労働基準法の一部を改定する法律」が可決成立した。「平成22年4月1日から施行」される。この改正は「時間外労働に対する割増賃金の増額」「割増金に代わる休暇の付与」「年次有給休暇の時間単位での付与」等重要な改正が加えられているものだ。
・ これを受けて本校では「就業規則」を変更しなければならないので本校の対応と今後の手順について昨日の職員会議で私は方針を説明した。民主党政権で「生活者重視」の路線が矢継ぎ早に出て来ているが、不思議なもので「世の中の傾向は全てが一点に揃う」ように思えてならない。
・ このことを「流れ」という言い方もある。「まあ、世の流れ、時の流れ」という言い方である。今私立高校に大きな流れが「勢い」を増している。どういうことかといえば長い間の私学の放置されていた領域が今「労働基準監督署」によって「えぐられ」ようとされているのである。
・ 「時の流れ」と私は思っているが、これは私学にとっては「一大事」なのである。分かり易く言えば労基署は「私立学校は公立学校ではないでしょう!」「地方自治体の条例の縛りを受ける公立学校の教員ではないでしょう!」と言い始めてきたということだ。
・ このことを言い換えれば「労働基準法を遵守してね!」と言うことなのである。ここ1年大阪の私立高校に何が起きているか一般社会の人は余り関心が無いし積極的に誰も発信していないから騒動になっていないが「大変なことが起きつつ」あるのである。
・ これについてここでとやかく書くつもりは無い。他校は他校、本校は本校だ。実は着任して3年になるが私は「この状況を想定」して「準備を進めて」きた。私は民間から教育界に転じた人間である。
・ 民間企業において最大かつ最重要な法律は「労働基準法」と言って良い。労基法に対する「遵守の精神」は身に染み付いている積りであり、「従業員の労働安全、衛生規則」など管理者として最も敏感に対応しなければならないものである。
・ 私はまず最初に「労働者の勤務管理」を適正化することに務めた。正直、昔の本校は「自由出退勤」の大学みたいな学校で全てではないだろうが授業のあるまでに学校に来て授業が終えれば学校にバイバイする。
・ 就業規則にないような隠れた自由選択の「半日休暇」が「闇」であるものだから実質的には公立と同じ週休二日であったのである。闇なものだから「振り替え授業」が多くて年間の「生徒自習時間」などここで書けないくらい多く発生していた。
・ 酷いのになると終業式の日から始業式の日まで生徒と同じように休む先生も居たりしていた。「生徒の休みが教員の休みと誤解している人」もいたのである。私は着任後教員に「君たちはパートタイマー労働者だ」と過激に言ったことがある。要は「勤務管理がデタラメ」の状態であったのである。
・ 又毎月17日が意味不明の学校休校日だったり、試験期間中にも訳の分からない教員の休暇があったりでとにかく私は「驚き桃の木山椒の木」で「全てをリセット」して再出発する体制を整えたのである。
・ 「就業規則を全面的に改変」し、まず「タイムカード」方式を導入した。その後全員に「個人パソコンを貸与」し勤務管理を「コンピューター管理」に移行した。試行錯誤を経て今や労働基準監督署から「お褒めの言葉」を頂くようになったのである。
・ そして教員の勤務日は「学校の教師と言う仕事の特殊性」を考えて「年間変形労働制」を導入した。忙しいときには頑張ってもらうが、夏休みなど生徒の居ない時には教員にも「長期のリフレッシュ休暇」と言うものを導入したりしている。
・ 今や大阪府の私立学校経営者協会(私経協)でも「研究会」や「研修会」のオンパレードで「対応策」を考慮中と言うが別に難しい話ではない。「労働者の権利と義務を明確」にするだけの話である。そして経営者が法にのっとって「やるべきことはしっかりとやる」と言うことである。
・ 改定労基法の趣旨はあくまで長時間労働を抑制し、労働者の健康を確保するとともに、「ワークライフバランスを図る」ことを意図した改正であることの理解が重要である。従ってやむなく時間外労働が発生した場合は労働者への補償的意味合いから種々の法的支援がなされているのである。
・ 特に新法の骨子は「割増賃金率の引き上げ」である。1ヶ月の時間外労働が60時間を超えた場合は60時間を超えた部分については通常の労働時間の賃金計算額の50%以上の割増賃金を支払わなければならないとされた。
・ 又「代替休暇の付与が明文化」された。新法では37条に3項が追加され、割増賃金の支払いに代えて休暇を付与しうることとされた。これは労働対価がお金だけではないということである。しっかりと「休養を与えなさい」という意味である。
・ 特に大きな改定は年次有給休暇の「時間単位年休」の取り扱いである。新法は39条に4項を追加して年休を「時間単位で付与」することを正式に認めた。教職員の疲労回復と言う観点からはある程度まとまった日数の年休を付与することが望ましいが、依然年休取得率が伸び悩んでいる一方で時間単位での年休取得への希望もあることから一定限度で半日よりも短い年休取得を認めようと言う趣旨である。
・ しかし「労基法上の精神」は使用者が半日単位での年休を付与できることは可能とした差裁判例などからの行政解釈であり、年休は休養や活力の養成を趣旨とするものだから「分割の最低単位は1労働日であると言う法の精神」はあくまで生きている。
・ そして今回の改正で労働者の範囲の規定、「時間単位で可能となる有給休暇の日数は最大5日」となった。又「最小単位は1時間」であり30分単位のように細切れにすることは出来ないこととなった。
・ 今私は改正労基法を受けて頭の中で「来年4月以降のあり方」を検討しているのである。今後大きなポイントは「部活動を勤務とみなすかどうか」であり、この問題は様々な議論がある。大体「新学習指導要領」にも取り扱いが明確ではない。教職員団体の姿勢もまだ良く見えていない。
・ 「裁量労働制」の導入も一つの考えである。こうなれば当然「定額の手当て」が必要になる。そうすれば現在支給している「調整手当て」との整合性の問題も出てこよう。いずれも簡単に整理される問題ではない。
・ しかし「アンタッチャブル」となっていた私立大学、私立学校の「教員の残業問題」が徐々に世の中に登場しつつあるのである。私は「先見の明」を誇りたい気持ちもあるが、実はまだまだ細部では問題を抱えているのだ。油断は出来ない。

2009年11月26日木曜日

11月26日(木)教員のレポート




・ 例年そうだが11月も終わりになってくると忙しくなってくる感じである。実際は何時もと変わらないのだが気分的にそのように感じるのかも知れない。今日は「職員会議の日」であったが後は12月の2回で終わりとなる。今日は「重要な話」をまとめてした。教員は分かってくれたと思う。私は何も隠さない。「すべてあからさま」にする。これが「木村流」だ。
・ 日本文化は「締めくくり」を大事にする文化があり、年度末、期末などはスタート時以上に重要視する。学校も同じで期末試験なども重要だし、第一学校最大かつ重要行事は年度末の「卒業式」である。「年末」にかけて「あわただしくなってくる」のだろう。

・ その「卒業アルバムに載せる写真」を撮る予定に昨日はなっていたそうで、すっかり失念していた。朝出入りの写真館から電話があって知ったところであった。「散髪」に行っていなかったが「まあ、良いか」、幾ら「やつして」も代わり映えはしないと思ってそのままにした。
・ 都合3ヶ所で撮影された。しかしモニターに映った頭はますます白く、薄くなっている。もう「白髪のおじいさん」である。浪速に来てすっかり白くなった。一時期「染める」ことも考えたが生徒に「髪染めは駄目」ときつく言っている手前、私も止めているのである。

・ 中学校の音楽講師の先生をお呼びして来年度から「常勤講師」として本校専属となるように依頼した。「二つ返事でご快諾」を頂いた。26歳新進気鋭の音楽の指導者を得た。この先生なら高校を含めた「本校音楽教育の構築」をしっかりとやってくれるだろう。
・ この先生がいうには、1昨日の「国語科某常勤講師」のブログに痛く感銘を受けたと言っておられた。「あのような優秀な先生・・・」と思っていたらちゃんと校長先生は見ておられるのだと思ったというのである。「当たり前」である。それが校長の仕事である。
・ 来年度のカリキュラムも見直しが完了した。後は「理事会で討議決定し学則に記載」し大阪府の申請がある。又「教科書の手配」もやらねばならない。「コーラス部(合唱団)」でもそのうちに作って何かやってくれるだろう。しかしそれにしても彼が私に提出したレポート「浪速中学校・高等学校における音楽教育の課題と提言」は大変面白かった。

・ 私は教員に「レポートの提出」を求める。その「レポートにその教員の全て」が現れると思っているからである。知識、教養、見識、洞察力など全てが現れる。同時に「まとめる」という行為はその先生の頭の整理にも繋がる話である。「口で報告してハイ、それまでよ」とはいかない。
・ 新任1年間の研修レポート、先進校視察レポート、多聞合宿レポート、入試広報学校説明会レポート、成績会議レポートなどなどが定例的なものである。そして時々、単発的に「分析と提言レポート」を求めるのである。
・ それらのレポートに対して時に「一つ二つ指示」を出すこともある。それが重要で「そうですか、そうですか」とレポートを受け取るだけでは彼等とて報告のし甲斐も無かろうということで私は報告書にじっと目を通すのである。そして「何らかのアクションを取る」ことにしている。
・ そうすることでレポートの提出者も「私のレポートが生きた」と思ってくれるに違いないからである。短い職員会議で「深く考えもせず、思いつきで意見など言う」ことを毛嫌いするのは今まで見てきた限り「碌な意見が出てこない」からである。
・ 従って個人パソコンを貸与し、イントラネットシステムで「掲示板」に張り出すようになってからと言うものは職員会議で「突然降って沸いたような意見」は出なくなった。事前にそれらを見て一応考えているからだろうと思う。
・ 従って「職員会議の時間」が大変短くなった。その分私は「学校経営の領域や大阪府の指導や動きなど教育行政全般」についても説明する時間がとれるようになったのである。今日の職員会議もそうであった。全ては「校内情報管理システムの構築が成せる業」であったのである。
・ 従って「教員からのレポート」というのは新たな意義を生み出しているのである。それは「前向きな提案」などが主体になり、「済んだことをグチャグチャ」言わなくて済むからである。レポートは「教員からの校長へのPRの方法」であり、校長からすれば「その教員の考えのレベルを知る格好の機会」なのである。
・ そして私の方法は年に数回ある監事による業務監査に直接教員が資料をまとめ説明するというシステムを導入し、「理事会」に出て貰って直接報告するということも初めて久しい。今日の監事によるb監査も二人の教員から説明して貰った。理事や評議員もこういう直接「教員の声に触れる」ことを大変喜んでくれている。
・ 最近のレポートでは順不動であるが:
音楽教育の課題と提言    音楽講師  W先生
*内部生多聞尚学館11月合宿報告書 国語科 S先生
*第2回関大パイロット接続推薦内定者セミナー実施報告書 社会科 I先生
*TOEICブリッジ実施報告書  英語科K先生
*世田谷学園、國學院久我山中髙を訪問して  数学科 O.N先生
*本校に来て半年を過ぎてみて       中学国語 K先生
*宿泊を伴う教育活動における旅行保険等についての説明会  国語科S先生
平成21年10月度スクールカウンセリング報告書   カウンセラーM先生
*等々数えたらきりがない。
・ 私は今でも「勉強が大好き」である。良く「本も読む」。24時間学校のことを考えている感じである。常に「向上心」を忘れたことはない。それは「職業人」として当たり前だと思っているからである。若い頃と違って「爆発的」とは言わないがそれでも人間は幾つになっても「進歩」するものだと思っているから「努力」をしている。
・ まして「教職と言う職業」を選択した学校の先生だ。世間や社会の人とは違う。将来を担う若者を教えるという「崇高な行為が教師の仕事」である。死ぬまで勉強の連続だろう。レポートを書くことによって「頭を鍛え」「考えを整理」して欲しいと思うのだ。
・ 朝来て、夕方時間が来れば帰ると言う繰り返しで校長に提言することなど何も無くて、ただ漫然と「見た目、教師の仕事の振り」をしているような教員は本校にはいないと思うがこの3年間レポート一枚も出さない教員も居る。「少しは何か書いたらどうか?」と思うこともあるのだ。

2009年11月25日水曜日

11月25日(水)英語科指導会







・ この20日は「関西大学の外国語学部副学部長で学校教育学がご専門の竹内理教授」をお招きして「英語科行事」としての「指導会」があった。竹内理先生、大変有名な教授で来て頂くのに大変苦労した。苦労と言ってもお忙しい先生のお時間を頂くのが難しいのである。とにかく「輝かしいご経歴」の先生である。
・ 11時30分にご来校、5時限と6時限の「二こま」の授業を観察して頂いた。その後英語科教員全員が揃って先生の「指導会」が行われ、その後場所を移して「中髙一貫の英語教育」についてもご指導を頂いたのである。
・ 来年4月には関大連携浪速中学校の関大コースの新1年生が中髙一貫で入学してくる。本日の受け入れ準備の主担はKとYとM先生が行ってくれた。素晴らしい準備だったと思う。いずれも「英語の達人」である。
・ 本校は今「英語教育に力を投入」している。昨年から「英検受験」を「全生徒に義務」つけたり、特定の教科では「TOEICやブリッジ」なども「変化球」として投入したりしている。学校法人から「受験費用の半分を支援」しているので今大阪府が進めている「就学支援の精神にもかなう」ものと思っているのだ。
・ 又今年は「新型インフルエンザ」で中止になったが来年以降は「海外語学研修」も復活する方向で準備を進めている。長い間カナダのカルガリーで行っていたが新しい「短期留学先」を今探しているのである。又今の1年生から修学旅行も海外としている。
・ 海外語学研修については今までは学校が独自にアレンジしていたが「プロに任す」と言うスタイルに私は切り替えた。様々な「セキュリティ」を考えれば「餅屋は餅屋」である。特に「安全確保にはコスト」がかかる世の中になったということである。
・ さて「授業参観」は私も二こま連続で参加した。最初のクラスは2年生文系R-2の34名の授業であったが「かなりかなりハイレベル」の授業であった。指導教師は昨年専任教諭に採用された新進気鋭の男性教員である。場所は視聴覚教室が使われた。
・ 教材はアメリカのABCニュースから題材をとり最初から終わりまで98%が英語のみという進め方で「発音の読み取り」にポイントを置きながら生徒自身に考えさせたり議論させたり何回も何回も繰り返して音読させるといったかなり「仕込まれた教え方」であった。
・ まさに「英語のシャワー」であった。生徒は真剣に取り組み「あっと」言う間の50分であった。勿論このクラスの生徒はこうでなければならないのだが、「申し分の無い授業だった」ような気がした。
・ 教える先生は何か「恍惚」とした状態で「ああ、この先生は生徒が好きで教えることが大好きな先生」だということがすぐ分かるのである。こういう姿勢は生徒に間違いなく伝わっていくものだ。
・ 次の授業は部活動も熱心な1年生のクラスで総勢37名、担任ではない英語担当の授業である。この先生も専任教諭になって3年目である。先ほどの授業とは違って「従来からの授業方式」であったが教材のプリントが生徒のレベルに合わせて作られており竹内先生も「人懐こい可愛い生徒が多いですね」と言われていた。
・ 正直私がイメージしたとは幾分違って「生徒との信頼関係」みたいなものが伝わってくる雰囲気がとても良かった。殆ど予習復習などしない生徒が多い中で、何とか英語の力をつけてやろうと努力しているのが伝わってきて私は嬉しかったのである。
・ 二こまとも多くの英語科の先生方が参観されており幾ばくかの「緊張感ある雰囲気」が大変良かったと思う。これが一つの「研究授業の形」であると感じた。私は大変気分良くなったのである。
・ このように有名な大学教授に観て頂き、校長や多くの同僚に参加してもらう機会は「自分を鼓舞」する妙薬になるだろう。私は竹内先生に「継続した指導会」をお願いしたのである。
・ 先生も来年度の大学の年間スケジュールが決まったら「予定に入れましょう」と言ってくださったのである。今日は二つのタイプの授業でそのレベルの違いに先生も驚かれたのではないか。
・ 14時40分からは「指導会」であった。まず授業担当者から本日の授業の狙いを説明しその後先生から「講評」を頂く。その後本校英語教育の全般説明を今日の主担のK先生が行い、教授か提言や他校の実践例などを教えて頂くのである。
・ 私が出ると本校の先生方が緊張するかも知れないし自由な討論会にならないことを恐れて私は遠慮しようとしたがどうしても「授業講評」だけでも聞きたくてオブザーバーとして最初の部分だけだが出席させて貰った。
・ しかし先生の講評は「素晴らしいものだった」。「さすが」と言う感じで私は敬服した。専門の研究者、実践的大学人の発するコメントというものはこういうものかと今更ながら感動に近いものがあったのである。
・ 特に「私自身への宿題」も頂いた。教室の大きさや英語教室の設計には工夫がいるということを教えて頂いたのである。「新校舎建設には必ずフィードフォワード」しなければならないと思ったのである。
・ 指導会の後は第二ラウンドとして先生を囲むリラックスする場所を心斎橋に取った。本日の指導会の3人の担当と今年専任教諭になって1年の試用期間が過ぎた3人の教諭も入れての教授を囲む懇談会となったのである。
・ 先生は「偉ぶらず」人間的にも極めて魅力のあるお方であった。京都に出張した副校長が出発前に私のところに来て「良い先生でしたね」としみじみ言っていたがまさにその通りである。
・ このようにして本校開闢以来初めて「大学人を招いた指導会は無事修了」したのである。私は「良いことをし」と思った。指導会に出席してくれている若い先生方を見たときこの先生たちが頑張ってくれる限り「浪速の英語」「英語の浪速」は必ず実現すると確信したのである。
・ しかし我々独自でも「研究授業」を行い「授業の質」を高めるシステム作りが必要である。私は今朝の朝会で管理職に指示し、指導教諭にも話した。「学校の形」は出来た。今後は「教育の中身を充実」させることを加速しなければならない。この部分は教員の仕事だ。「頑張って欲しい」と言ったのである。しかし私は思うのだ。ようやく「授業という学校の根幹の部分」に近づいてきたことが嬉しいと。

2009年11月24日火曜日

11月24日(火)国語科の某常勤講師


・ 国語科のベテラン教諭に若い常勤講師の先生方の「授業観察」をしてもらった。この先生は本を大変よく読まれる先生で何しろ「生徒の作文指導」などに大いに成果をあげてくれている私が信頼している先生の一人である。
・ 8名の国語の常勤講師の先生の参観結果のレポートが届いた。大変面白かった。どのような講評かといえば一つ例を挙げれば以下の先生のものがある。
中学校の常勤講師の先生
授業案まで作成し、目標も明確である。生徒に考えさせ答えさせる点や根拠を指摘させるところなど巧みである。その他板書も3色を使用して上手くまとめていた。只教科書の本文を生徒に読ませたとき読み違いをただして欲しかった。全体的に言えば巧みな授業であった。宿題のプリントを与えたのも良かった。”
・ 実はこの教諭だけであったのだが「教材」を私に事前に届けてくれた。それは、それは大変良く出来たものであり「模範サンプル」に成るものであった。シラバスは「単元:表現活動を通じて認識力を伸ばす~「ぬすびと面」を通して~」というものである。
・ 続いて単元設定の理由が書かれており「計画」がばっちり設定されているのである。加えて「目標」を設定している。ここが素晴らしい。「この授業で何処までを目標としているのか」極めて明確に認識して整理されているのである。
・ そしてまだ「生徒に期待する姿」が出てきて「生徒たち同士で解釈をすり合わせる中で論理たてて自分の考えや解釈を表現できる生徒を育成していきたい」と到達目標の生徒の姿まで自分の考えをまとめてくれているのである。
・ 更に「単元構想表」が「チャート図」でまとめられており、私はこのようなものを初めて目にした。これは「圧巻」である。今回ベテランのN教諭からどのような評価を貰うのだろうと「興味津々」であったが結果は前述したように高いものであった。「高い評価は当然の帰結」だったのだろう。
・ ここまで準備するからこのような授業が出来るのだろうと今更ながら私は思ったのである。この先生は教師として「本流中の本流」を歩もうとされている先生であると思った。どのようにして「このような形を身につけたのか」。今年「4月に採用してすぐ1年生の担任」に当て嵌めたが私と副校長の考えが間違っていなかったと確信したのである。
・ 私はこの先生に「公立教員から私立の教員になって半年」その所感をまとめよと指示を出した。そのレポートの一部を記載すれば以下のようになる。多くの項目があるが授業に関する部分で言えば:
  授業の質を高める機会について
…研究授業が本校には習慣としてないようなので、(教育研究論文もないようなので)私は個人的に授業を見にいかせていただいております(高校のS先生の授業は大変勉強になりました)。
先日は国語科のN先生に授業を見に来ていただき、私個人としては、ほんとうに勉強になりました。自分とはまた別の視点を持って授業を見ていただける、という意識はとてもいい刺激となります。今回は、校長先生、N先生、K教頭先生、N先生、D先生、授業を見学させていただいたS先生に、ぜひご指導を、と思いまして指導案をお渡ししました。また、金曜日にN先生に見学していただく中学のK先生(今年度新卒)には、参考になればと思い、指導案や資料などをお渡ししてあります。
浪速全体でぜひ、研究授業は広め、価値の高い授業を目指していくべきだと思います
 私自身は個人的に、今回の単元で国語科の先生をもう少しお呼びして、こじんまりとした研究授業形式で行いたいと思っています。また、3学期には、以前から自己研究してきた単元「少年の日の思い出」(ヘルマン・ヘッセ)で、またこじんまりとしていてもいいので先生方をお呼びした授業を行いたいと思っています。
 研究授業だけでなく、論文なども書かれていないようですが、研究授業も、論文も、自主的にできる環境を整えることは、私も含めて、まだまだ授業の質を高めたいと思っている教員にとっては、大事なことのように思います。私はこれまで毎年、研究授業は年2回ほどする機会がありましたし、自主的に何度か行うことができていました。また、教育論文も学校で教務の先生が見てくださるということでしたので、勉強のためにと、毎年年度末に提出し、東三河地区の教育委員会で評価していただいておりました。年度末の忙しい時期でしたが、向上心を持って、「この単元で生徒の何を育成するか」という各単元で一貫した教育目標を持ち、手だてを講じることは、私たち教員にとっては大変重要なことのように思います。
 わたくし個人としましては、前任校が公立だったからでしょうか、しっかり「指導員」の先生が、授業も、レポートも指導してくださる機会がありました。私も浪速では新任ですが、そういった指導を一通り経ているのですが、一緒に浪速に入った新卒の先生にとっては、浪速で教員生活をスタートするわけです。何か、指導の機会がもう少しあるといいな思い、現在は副担任をしてくれている餅原先生には担任業務について、同じ中学の国語科のK先生の授業は2学期になってやっと2、3回ではありますが授業見学をし、私にできるアドバイスをしています。自分で仕事を見つけ、「いいな」と思う先輩先生の姿に習って成長していくのが一番ですし、私もそう在りたいと、周りの先生方の指導を見ながら過ごしていますが、何もかも初めてでいっぱいいっぱいになってしまう可能性の高い新卒の先生方には、将来的にも、そういった機会が設けられていてもいいかな、とも思います。
 生徒たちによりよい授業を受けさせてあげたい、そう思いながら、日々、私自身も研鑽を積む努力をする次第です。

・ 私は正直恥ずかしかった。85年の歴史で未だに「研究授業」などはないし、「論文」などもない。しかしちゃんと私は「研究費」は支払っているし賞与にも「研修費」は合算支給しているのである。もっと「教員は自己啓発を」進めて貰わないと困る。「以上の文章をベテランの教員はどのように受け止める」か?!
・ 管理職の朝会でも以上のような先生を得たことを素直に喜んでいるのである。一般的に学校の先生は「唯我独尊」的なところがある。それは職業の特性から来る宿命的なものが幾分あるのだがそれではいけない。学校は「専門店の社長の集まり」と私は表現したことがあるが教科が違えば全く様相が異なる。
・ 更に国家資格を有したということでは若い教員もベテランも差異はないと、特に最近では思われているのか「先輩と後輩という関係性も希薄」になってきている。従って先輩が後輩を指導するなど余り見かけない光景である。企業は全く違う。「仕事の中身やマナーを教えるのは上司ではなくて先輩」である。例え1年でも先輩は絶対的である。
・ 「教員同士が切磋琢磨」しお互いの授業の腕があがっていくような仕組みを作らないと々教科内でも「バラバラ」になってしまう。そこを何とかしないといけないと私は行動に移すこととした。
・ 仕組みの出来るまでとりあえず「数の多い英語と数学の常勤講師の先生の授業参観」をすることとした。そのために英語と数学のベテラン教諭を指名しお願いすることとしたのである。

2009年11月22日日曜日

11月22日(日)授業料臨時減免制度


・ 11月17日に大きな会議が府庁であった。事務長と事務職員の二人に出席してもらったのである。内容は「高校授業料の臨時減免事業の事務処理」についての私学課からの詳細説明会であった。この「臨時減免」と言うところがポイントである。
・ すでに10月19日のブログに書いているが大阪府は正式に「平成21年度大阪府私立高等学校等授業料臨時減免事業補助金事務処理要領」を制定発布したのである。19日のブログの一部を再掲すると以下のようなものである。
 “そういった環境の中で大阪府私学・大学課は頑張って頂き、「高校生修学支援基金」なるものを「今年度限り」ではあるが実施して頂けることとなった。素晴らしいことである。
経済的理由から高校就学を断念」することのないように「家計急変世帯」の私立高校の授業料を「緊急支援」するというもので、これは「徳政令」である。背景にはこの春の一方的な私学助成の削減があり、授業料値上げにつながって、公立に多くの生徒が回帰した現象も一役買っていると考えたほうが自然である。
今回私学課は「私立高校の修学セーフティネット機能の強化」を考えてくれた結果がこの「基金」であろう。うたい文句は「家計急変の非課税世帯の授業料を公立並みのゼロに!」ということである。
シミレーションに寄れば府内で20年度実績から推定して9600人の20%として「1900人が対象」と踏んでいるみたいである。もともと財政課の内示段階ではゼロ査定であったが復活折衝で国の「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」の活用を入れて10億円のファンドを組んだと見えるが、まあないよりは良い。
私は事務長に指示した。本校の「該当者の徹底したチェック」と事務手続きを抜かりなく進めるように言ったのである。府内の全私立高校生の2%程度だから「本校の場合1500人の高校生で内30人程度」は出てくるかもしれない。もし無いようであれば本校の生徒のご家庭ではこの基準にのる『家計急変世帯』は居ないことになるだろう。“
・ 今後の手順は来年の1月20日頃に「交付申請書提出」があり、2月下旬に「交付決定通知」、3月下旬に「補助金交付」という事務処理になる。減免の要件は二つある。まず「家計が急変したこと」である。具体的には「平成21年度の総所得(見込み)が平成20年度総所得と比較して10%以上減少していること」がある。
・ もう一つの要件は「所得が著しく低くなったこと」がある。これは21年度の課税総所得(見込み)がダウンして「住民税(所得割)非課税」となることが見込まれることである。
・ 「総所得とは何ぞや?」「世帯主が他府県に単身赴任の場合はどうなの?」等々ややこしいものがあるので学校事務室に相談してくれれば一緒になって考えるように事務には指示した。
・ 病気や怪我、離婚等に伴って家計が急変した場合はどうなるのと聞かれたらそれは「当て嵌まりません」となる。あくまで今回の措置は勤務先の会社等の倒産などの経営状況の悪化などが対象である。又現在の授業料軽減助成との関係や大阪府育英会奨学金貸付と併用が出来ないなどの条件もある。
・ 私学課からも「周知徹底」して欲しいと指導があり、本校の生徒のご家庭で「洩れ」があったりしたら大変なことになる。従って私は「全保護者宛にレター」をしたためて生徒に持ち帰って貰うようにしたのである。
・ まず私からの文章と私学課がまとめた資料を1枚添付したのであるが、しかしこれだけでは「私の場合はどうなるの?」には資料としては不十分かも知れない。従って「該当するかも?」と思われているご家庭は学校事務に電話して欲しいと思う。
・ このような内容のことを書いて「公式サイト(ホームページ)の保護者通信」にアップすることとした。これをご覧いただければ良く分かっていただけるのではないか。又大阪府私学課のホームページを検索すればより詳しい内容がご理解いただけると思う。

 保護者の皆様

               学校法人大阪国学院理事長   木村 智彦
                浪速中学校高等学校校長


     「大阪府私立高等学校授業料臨時減免制度」のお知らせ


 謹啓 秋冷の候 保護者の皆様におかれましては、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。日頃は本校の教育活動に対しまして、格別のご理解とご協力を賜り誠にありがとうございます。
おかげさまで学校改革・教育改革は順調に進展しており、今後とも「子供たちのため」改革を継続していく所存でございます。
さて、表題の「大阪府私立高等学校授業料臨時減免制度」に関しましては、裏面の通り「経済・雇用状況の悪化により昨年度対比で大幅に所得が減少すると見込まれる保護者を対象として大阪府が実施する臨時の措置」でありますが、その緊急性・重要性に鑑みて、現在浪速高校に在籍する生徒の保護者全員にあまねくお知らせするものであります。   保護者様には、内容を十分ご確認いただき、対象となる方には漏れなく手続をお願いする(学校宛提出期限は平成22年1月13日)とともに、対象となるかどうか不明な場合も事務室までお問い合わせいただきたくご案内いたします。               
 なお現在、国・大阪府は、新聞報道等でも明らかなとおり、「高校生以下の子供を持つ保護者への就学支援」につき、様々な角度から検討しているところでありますが、本校といたしましてはその重要性を十分認識し、「保護者様への迅速で的確な情報提供」を今後とも心がけていく所存であります。
 末筆ながら、これから厳しい寒さに向かいますが、ご自愛の上ご活躍されることを心よりお祈り申し上げます。                                                      謹白

2009年11月21日土曜日

11月21日(土)第2回高校入試説明会







・ 今日は「平成22年度高校入試第2回説明会」の日であった。くしくも昨日府教委は「来年度の府立高校の募集計画」を発表した。各紙が一斉に報じている。いずれも見出しは「公立高校募集3440人増」である。遂に長い間保たれた「公立私立7:3」の比率が破られた瞬間である。
・ 来春の「公立中学の卒業生は前年度より3557人多く」て74370人という。この内他府県進学者を除いた67030人を公立と私立で7:3に振り分けた上で公立側が960人を上乗せするのである。
・ そのため普通科を有する学校を中心に「80校で90学級増やす」のであり、今朝の新聞はその学校を全て記載していたが80校で90クラスだから殆どの学校が40人定員増である。これで90クラスX40人=3600人だから「つじつま」は合う。
・ 加えて「経済不況」や「公立高校授業料の無償化」だから昨年から始まった「公立回帰現象」は更に「拍車」をかける可能性がある。中学3年生の卒業生増の受け皿に留まらず私学への進学が更に落ち込むことも覚悟しなければならない。昨年府内の私立高校は最低を記録したが今年も「やばい」。

・ ますます結果としての「生徒獲得競争」が水面下で激しくなってきている感じである。「困った」ものだが仕方が無い。「座っていても生徒の集まる学校」の校長なら如何に「こころ平穏」かと思う。
・ 今までの「秩序」なども崩れてきた。「仁義なきバトル」である。学校には厳然とした「位置みたいなもの」があってその位置を少しでも上げようとどの学校も頑張っているのだがそのやり方は「千差万別」である。
・ しかしあくまで「誇大広告」などはあってはならないし、「誠実に対応」したところが勝ちであることは間違いない。キーワードは「説明責任を果たす」ということと「透明性を高める」ということではないか。
・ 金太郎飴の公立と言われてきたが大阪府の公立学校は他府県に先駆けて「特色つくり」をキーワードに私に言わせれば「公立の私学化」と思われるくらい従来考えられなかった方策を学校現場に導入し始めた。
・ 再来年からスタートする府内10校の「超進学校」はその典型である。あらゆる経営資源を投入してこれらの学校を府教委はバックアップするであろうから、今までも「日本一と言われる大阪の公立トップ校」はその地位が確固足るものになるだろう。
・ それは現在の「大阪府の私立高校へのすさまじい脅威」になることは間違いない。加えて高校授業料の完全無償化、実質無償化が決まればそれこそ公立私立入り乱れての激しい結果としての生徒獲得競争になると私は言っているのだ。
・ 学校の名前を変えたり、大学と連携したりするのは良いとしても肝心なことは「その学校の教育の中身」である。その教育の中身を中学生とその保護者にまず分かってもらわねば全ては始まらないのである。ここに「広報戦略」がある。
・ その根底は「学校に近づいて」貰う努力である。学校に座っていて生徒や保護者が来てくれる学校はあるだろうが「一部分の学校」だと思う。確かに幾ら広報費を使っても「その学校に信頼感がない」となれば保護者は大切な我が子を行かせる訳が無いのである。
・ 万が一来てくれても「教育の中身」が「マニフェスト」や「公約」と同じで宣伝と実際が違っていたらそれで「万事休す」となる。私は何時も教職員に言っている。「今本校に居る生徒の面倒を徹底的にみる」ことが最大最重要な「広報手段」であると。
・ 「浪速に行ったけどものすごく良いわよ」などと在校生のお母さんが下の子のPTA役員会などで言って貰う事が一番の特効薬である。在校生が母校の中学校に行って後輩に「お前、浪速に来いよ。クラブが面白いぞ」と言ってくれたらそれは広報が塾に行ってご説明する以上に影響力があるかも知れない。まず「在校生を大切にする」ことが第一である。
・ そして基本的には「中身の発信力を高める」ということである。まず「公式サイトを充実」させることだとここ最近は毎日朝会で言っている。最近では「財務諸表を完全公開」し学校評価もアップしている。「ネット時代」である。紙に印刷された入試説明資料もそのうち廃れていくかも知れない。とにかく「タイミングよくネットで発信」することが重要である。
・ そして加えて「脚で稼ぐ」ということである。ネットと違って「体温を伝える」方法であり、これを馬鹿にしてはいけない。「塾長様に通って本校の教育の中身」を知って頂かなければならない。「まずネットで気づいて貰って、近づいてお話をするというスタイル」が重要である。
・ 私はゴールデンタイムにABCテレビに「コマーシャル」を流すことを考えたり、大手新聞一面全てを使って広告することも考えたが「コスト」のかかる話であり、結局保護者負担になるものだからそれらの方法は取らないと今は決めている。
・ 「地道な安価な方法」で「自分のメディアを使い」「脚で稼ぐ」ことで今はやっているのだ。今回ご縁があって入試広報室が働き何と「南海なんば高島屋前のマルイビルのネット広告」に本校が登場させてもらう事になったそうだ。
・ 「11月30日(月)から12月6日(日)まで平日は12:00から18:00、土日は9:00から15:00まで15秒の間合計84回本校の名前」を流してくれるという。「嬉しい」限りである。「有り難い」限りである。
・ ホームページの充実の課題は中学校である。中学校の教諭ひとりを情報委員会に投入したが「ホームページの改定」が出来るように「技量を高めるよう」に言っているところである。中学校は中学校で独自に広報戦略を立てて勝負に突入していかねばならない。

・ 今日は理事長職務代理にも説明会に参加して貰って「雰囲気」を感じて頂いた。お蔭様で入試広報室が期待していた数値はクリアー出来て皆「ホッ」としている。数値は書くまい。第1回と今日の2回目の合計数値は昨年を凌駕した。女生徒の比率も順調に伸びている。
・ 「第3回目説明会は12月12日」である。これで大方の予定は終了して年が変われば徐々に本番が近づいてくる。公立の定員が3500人も増えるということは我々の分析では「ボディにこたえる」ハンマーパンチで効いて来るだろう。「専願入学者」を増やさないと生きてはいけなくなってきた。併願人気校に辛い状況となってきた。「併願戻り」を期待してはいけない。

2009年11月20日金曜日

11月20日(金)財務諸表の完全公開




・ 一体あの学校は「生徒数が少なくなって危ない」と噂されているが「本当に大丈夫だろうか」。そういうところに「子どもを行かせて大丈夫なのか」などの不安は当然保護者にあって当然である。
・ あの学校の「教職員の人件費比率は一体帰属収入に対してどうなっているのか」、「教育環境整備」に金を使わず「教員の給料に消えている」のではないかなどの声が聞こえてくるとややこしい。特に橋下改革の影響で公立教員が10%給与削減され私学も助成金が大きくカットされてきている現在、「学校財務情報」はますます学校経営の状態把握にとって重要である。
・ 「あの学校の財政状態」はどうなんだろうと言う疑問に答えるのは助成金と言う公金が入っている私立学校としては当然な責務だとも考えることが出来る。又教育活動以外に学校法人が「収益事業」として例えばリゾートホテルを経営したりするために銀行借り入れをしているとか放漫経営を理事長がしているとか監視機能が求められるのも世の流れだと思う。
・ 学校法人の経営にはその本分である「教育研究活動」を世に問うことが第一でその具現化のためには学校法人の財務基盤の維持が課されており、特に「学校法人会計基準」に従って適切に「会計処理」をしなければなりません。
・ このような流れを受けて平成16年「私立学校法の大改正」が行われ平成17年4月1日から施行された。時期を合わせて学校法人会計基準も比較的大きな改正が行われたのです。
・ 特に大きな部分は「財務諸表の供覧義務」であり、この意味は「在学する者その他の利害関係人」の請求があった場合の「情報公開義務」です。しかしながら実態としてはまだまだ積極的に開示している状況ではないことも事実で、例えば大阪府の私学で言えば開示しているところはない。
・ かろうじて学校法人四条畷学園がホームページ上に以下のように書いている。「本学園では私学法第47条の規定に基づき、本学園に在学する20才以上の学生の方、及び本学園全在学生の保護者の方に財務諸表の公開」を行っています。公開している具体的なデータ、その他お手続き等につきましてのご照会は四条畷学園法人事務局までお電話を下さいというものだ。誠意を感じる。
・ しかしなんと言っても優等生は東京の「品川女子学院」である。ここは文科省からも高く評価されている女子の中高一貫校であるがとにかく「凄い」の一語だ。お時間のある方はこの学校のホームページを参照されると良い。ここまでやるとは感動に近いものを私は感じる。
・ ということで品川女子学院とまでは行かないが本法人もホームページ上に財務情報を開示することにした。本日からアップしている。開示している内容は「資金収支計算書」「消費収支計算書」「貸借対照表」である。更に私立学校法の規定から「財産目録」を作成して事務所に備えなければならないとされている。
・ 資金収支計算の目的は当該年度の全ての収入及び支出の内容と「支払い資金の収入支出の顛末」を明らかにするものである。消費収支は「均衡の状態」を明らかにするものである。
・ 貸借対照表は法人の「資産、負債、基本金、消費収支差額を明示している表」で言ってみればまとめの表と言える。ポイントは消費収支の差額が赤か黒かであり赤であれば「赤字決算」でそれが続くと「累損」となります。
・ 平成19年度の本校の財務諸表を御覧いただければ平成19年度の本校の学校改革の足跡が実に明瞭に把握できます。これが素晴らしい。数値で裏づけされています。18年度まで続いていた遂に支出超過が解消されて単年度収入超過となり繰越消費支出超過(累損)が現象に転じました。時間がかかるかも知れませんがそのうちに「累損を一掃」します。
・ 収入の増は学生生徒等納付金の影響で平成18年度が1250名から平成19年度は1497名に増え、1億2434万円の増加で如何に「私学にとって生徒数の増が経営に影響するか」が分かってきます。
・ また19年度の収入のうち、資産売却収入は和泉市上代の学校用地を売却したものでこれも19年度の大きな特徴であった。肝心の人件費は本校教職員、常勤、非常勤、役員の総額で9億4640万円となり帰属収入に占める人件費割合は64.9%と完全な「健康体」を取り戻しています。
・ 18年度のそれが83.5%でしたから如何に「学校が変わったか」を証明するもので今このエネルギーが「新校舎建設」へと向かっているのです。この数値がここまで好転というか常識的なレベルになったおかげで保護者に対して「授業料の値上げ」をお願いできることになったと思っています。
・ 私立学校を巡る環境は毎日動いています。海の向こうのアメリカでは46歳と言う若きリーダーが誕生しました。「Yes, We Can」を合言葉にキーワードは「変革」です。「Change We need 」とオバマは叫んで大統領になりました。
・ 今回の「財務諸表の開示は大阪府下の私学では先鞭」であり画期的なことと信じて踏み切りましたが「ええカッコ」ではなくて、「改革を後戻りさせない」為の枕木、ストッパーの役目とも考えています。
・ 今本校の教職員にとって大切なことは21世紀に生き延びるための施策としてハード的には「新校舎」、ソフト的には「関西大学との特別連携」です。もう一つ「秘密のXプロジェクト」がありますがこれはまだ明らかに出来ません。(これは多聞尚学館のこと)
・ 教職員に伝えたい。目の前にとらわれることなく先を見よ。そして「自己の職場を守れ」とと私は言いたいのである。雇用不安に陥るような学校にしてはならない。頑張ってくれている若い世代の教職員が安心して働ける職場にしていかねばならない。それが私の仕事だ。「給料が下がった、下がった」と歎きだけの人は本校には不要である。
・ 以上は「2008年11月6日の校長日記」です。ちょうど1年前ですよ。「丁度1年前に私は財務諸表をネット上に公開」しました。ささやかな「誇り」と思っていましたが、このたびようやく外力が働き大阪府の私学課から「行政指導」が全私立学校にありました。 ようやく私学課も動いたかという思いです。
・ 公立高校の授業料の実質無償化に伴って私立高校にも助成金が拡大されることに伴い「経営のガバナンスを問う」という一環として「財務指標の完全公開」が求められたのです。本校で先行したものから更に公開の幅を広くしています。加えて「学校評価の公表」も求められていますがこれも本校では既に実施済みで全く問題ありません。
・ 今政府は来年度予算に向かって概算要求を公開の場で「事業仕切り」として議論していますが「斬新なスタイル」だと思います。公金の入っている会計はすべてこのように「透明性を高める」と言う時代になったということでしょう。
・ 本校は「本日、ホームページに完全財務諸表を載せ」、私たちは「事業内容」についても記載することとしました。これは府からは求められていませんが自主的に行うものです。私は「先見の明」を誇りたいのです。このような私立高校はまだないでしょう。私たちは先頭を切って頑張ります。

2009年11月19日木曜日

11月19日(木)音楽教育







・ 「中学校の学習指導要領」には各教科の授業時数が細かく規定されておりこれは絶対的に守らねば成らないものである。学習指導要領は「法律」であるから。中学校では1年生で年間45時間、2年と3年では35時間が義務つけられている。
・ 指導要領の指し示す教育目標としては「表現および鑑賞の幅広い活動を通して音楽を愛好する心情を育てると共に音楽に対する感性を豊かにし音楽活動の基礎的な能力を伸ばし音楽分野についての理解を深め豊かな情操を養う」とある。全くその通りである。
・ 細かいところでは課題もあるが一応「浪速中学校」では大阪音楽大学大学院修了の素晴らしい非常勤講師の先生に来て貰っての授業があるから、それはそれで問題はない。ただ「中身」については今後充実させ、更に高めていかねばならないものがある。
・ 私は今「尋常小学校唱歌」を一人で深く静かに研究している。これが「実に素晴らしい」のである。元々「歌が大好き」で唱歌から演歌まで「何でも来い」であるが、最近の生徒たちが好む「ポップス系」と言うらしいのだが、あれは「苦手」である。何を言っているのかさっぱり分からないし、「メロディー」も肌に合わない。
・ 入手した尋常小学校唱歌は布化粧入りで第一学年用から第六学年まで6個のカセットテープと歌詞が入っている「完全版」である。勿論「復刻版」だが苦労して骨董市で安く入手したものである。
・ 例えば第5學年用の21番に「冬景色」というのがある。この歌をご存知であったら相当お年を召されているか、この方面に関心がお有りの方である。今の生徒に唄って見せて「これ知ってる?」と聞けば100%「知らない」と答えるだろう。本校でも38歳の中学の社会の先生は全く知らなかった。
・ 高校国語科のS教諭にこの教本を見せて「どう思う?」と聞くと即座に「難しい漢字ですが振りかなを振っているのが大変良い。今はすべて平かな書きです昔の教育は良いですね」との答えが返ってきた。だから昔の人は漢字を良く知っている。
・ そうなのである。昔の尋常小学校の生徒はこのような「難しい漢字と表現方法」を「音楽を通じて身につけていた」のである。冬景色にある「さ霧」とは?、「湊江」とは?深くは分からないまでもこのような音楽教育を受けて「情操を肥やして」行ったに違いない。
・ 「我は海の子」という歌を殆どの年配の方は知っているが昭和61年にこの歌は遂に小学校音楽教科書から姿を消した。私が今回入手したのは明治44年から昭和7年まで使われた教科書であり何か「日本人の精神性」がこの唱歌に宿っているような気がしてならないのである。
・ もっともっと子供たちに「音楽を聞かせ、唄わせ」、私に言わせれば「ゆとりの一時」「故郷を思う一時」「家族を思う一時「友を思う一時」「日本語の素晴らしさ」「生きている幸せ」などを伝え、感じさせて行きたいのである。絶対に「生徒生活指導」にも効果が出てくる筈である。
・ このことは「ズーッ」と前から考えており、昨日今日思いついたものではない。「学校の形」が決まった今、ようやく「温めていたもののリリース」が出来ているのである。「教育の中身の充実」である。私は文部省唱歌全てを聞き、確信したのである。子ども達への「音楽教育を充実」させねばならないと。

・ 高等学校に目をやると、情けないことに本校は「音楽教育を実施していない」のである。芸術では「美術」のみで「音楽」も「書道」もやっていないのである。その理由については定かではない。今となってはもうどうでも良いことである。
・ ただ聞いたところでは昔「」みたいな美術の先生が居て誰も言い出せなかったというのは聞いたことがある。「とんでもない話」である。全て自分たちの都合の良いように教育の中身まで決め、やるべきことをやっていないのである。まして「時間割が組み易い」などの理由はあってはならないことである。
・ 今時「音楽教育の無い学校があるか」。私は恥ずかしいのである。公立高校時代に私は良い思い出がある。高校生の美しいハーモニーの歌が校舎に伝わって流れてきたとき「ああ、自分は今学校にいるのだ」と感慨深いものがあった。
・ その歌は美空ひばりの「川の流れのように」であった。「エエー、演歌?」と思ったが学習指導要領に規定されている曲だという。文科省も「味なことをする」と思ったものだった。
・ かすかに音楽教室のほうから「歌声やピアノ」の音が正門まで聞こえるような場所が学校ではないのか。「平成21年告示の高等学校新学習指導要領」においても「音楽の幅広い活動を通して生涯にわたり芸術を愛好する心情を育てると共に感性を高め、芸術の諸能力を伸ばし、芸術文化についての理解を深め、豊かな情操を養う」とある。
・ 「芸術分野で2単位が必修」となっているが本校では「美術単独で2単位の学校」となっている。それでは上記の学習指導要領は満たされないのではないか。私は強くそのように思うのである。加えて共学5年目を迎えた。女生徒が増えてきているのである。
・ 音楽は「音楽理論」「音楽史」「演奏研究」「ソルフェージュ」「声楽」「器楽」「作曲」「鑑賞研究」が規定されているが、これはそれなりに意味あることで「メニュー」を揃えてあげることが「生徒の為」であると私は考えたのである。
・ 本当は「美術」「音楽」「書道」の芸術3教科としたいが一挙には行かないので芸術2科目とし入学時に「芸術選択」として生徒の意向を聞きながら調整したいと考えている。恐らく割合としては「音楽2対美術1」くらいの生徒割合となるのではないか。早速副校長と教務部長を呼んで検討に入るよう指示したのである。美術の先生にも通告した。
・ 先週には中学校の副校長と音楽講師を部屋に呼んで初めてこの話をしたのであるが、この音楽講師の先生は、毎日欠かさず私のブログを読んでいただいているとかで「お会いできて大変嬉しい」と言われるのである。非常勤講師なので校長室に来るのを遠慮していたと言われた。
・ この先生は現在本校と同じような市内中央部の私立中学に12時間、本校で8時間の授業をしている非常勤講師の先生であるが大阪音大のピアノ科を卒業し大学院を修了された専門家でお話が的を射抜いている。
・ 私は一目で気に入ったのである。本校の音楽教育についてどう思うと聞くも「そんな、音楽教育なんて・・・!?」というお顔をされた。そんなものが何処にあるって感じである。私は少し恥ずかしかったの、ある。
・ 私は早速「浪速中学校、高等学校の音楽教育についてあるべき姿の答申」をして欲しいとお願いしたのである。「喜んでします」と言って頂いた。楽しみである。出来れば常勤講師として「音楽教育の構築」に力を注いで欲しいと私は思っているのだが・・・。
・ 校務運営委員会と職員会議で周知徹底致したい。まず「教員の手配とカリキュラムの作成」、そして「12月理事会の決定事項」であるからその手続きを踏んで「学則」の変更が必要である。「教科書や副教材」の準備もある。来年からは校内で「高校生の歌声」が聞こえることになろう。楽しみである。

2009年11月18日水曜日

11月18日(水)学校の先生が国を滅ぼす



・ 昨日のブログ「教員免許6年制」に関して今日も私の論考を進めて行こうと思う。昨夜のブログの末尾に私は以下のように書いた。“この問題は別途本ブログでも言及していくつもりである。06年度にスタートした「薬学部」の6年制は大変な事態を招いた。私学の「薬学部志願者が前年の138000人から09年度は79000人と40%の減少」を見たのであった。これと同じ運命を辿るのではないかと言う指摘をする人もいる。しかし私の意見は短大でも4年生でも大学院でも関係はない。「良い教師」とはそういうものだけでは諮れないと思うのである。「良い教師とは何を持って言うのか、そこが問題である」。”

・ 今入手困難な本がある。題名は「学校の先生が国を滅ぼす」と言う。産経新聞出版により、この11月10日に第1刷が発行された。書店には11月4日頃から並んでいたと思う。私はすぐに天王寺のミオやアポロビルの書店に走ったが既に売り切れていた。
・ 結局心斎橋のアセンスに1冊だけ残っておりそこで入手した。心斎橋などは若者が多くてこのような本を求めるのは少ないのかも知れない。アポロでは4冊入ってきてその日のうちに売れたと店長は言う。
・ 著者は仮名「一止羊大(いちとめやすひろ)」氏で昭和18年生まれで民間職務経験があるが昭和43年府立高校の教員となり、平成15年退職である。私はこの人物が誰か特定できる。私は平成14年に校長にあったから1年間は同僚であった先生である。
・ 学校名も著者名も出てくる教員名も仮名にしているのは著者のバランス感覚だろうと思うが、ここまで書くなら明らかにする方法もあったと思う。著者も教員も公教育を担う公務員であり、犯罪を犯しているのではないのだから「名乗って堂々と論陣を張って」も良いのではと私は思う。
・ 著者は大阪府立の養護学校他2校の校長経験者であり、特に養護学校時代に遭遇したことを「ドキュメンタリー風」に記述したものである。題名は「センセーショナル」なものになっているが書いている中身は「国旗・国歌」に関するもので私は一気に読んだが「間違いない事実」だと確信している。
・ 実はこの本のゲラを渡され、私ともう一人の最初の民間人校長はこれを読んだのである。当時著者は本にしたいと府教委に申し入れたが「影響が大きい」と抑えられたとこの本には記述してある。当時発刊していれば「大騒動」になったものを今となっては「少しタイミング外れ」という気がしないでもない。
・ 決して誇張ではない。事の大小、強弱はあるがここに書かれているのは私が公立学校に勤務したときと状況は全く同じである。決して読んでいて「気持ちの良い」本ではないが、今日の「学校現場の病理の深層を窺い知れる読み物」であることは間違いない。
・ 「はじめに」の中に著者は以下のように書いている部分がある。“日本人でありながら日本を象徴する国旗・国歌に反対すること自体が実におかしいことですが、問題の深刻さは健全な国民を育成することを職務としている公立学校の先生たちが最も先鋭的に反対していることにあります。
・ “学校の先生たちがどうして自分の国の国旗・国歌に反対するのか。何を根拠に目の色を変えてまで国旗・国歌の指導を拒否するのか。この本にはその疑問を解くヒントがたくさん詰まっています。”
・ “国旗国歌に反対する動きの根底には突き詰めてみると、日本と言う国そのものをひっくり返そうとする左翼エネルギーがあることがわかります。日本の左翼エネルギーは共産主義や社会主義を基底にしています。それは天皇制とともに歩んできた日本の歴史や日本の形を忌み嫌い、日の丸・君が代を天皇に結びつくものとして忌避します。自虐的な暗黒史観に立って日本を貶め愛国心を敵視するところに顕著な特徴があります。”
・ “左翼エネルギーにかぶれているのはほんの一握りの教員に過ぎませんがこの人たちの発言力や行動力は一般の教員のそれをはるかに凌駕していて、多くの先生がそのことに気づかないまま巻き込まれています。
・ “先の衆議院選挙で民主党が圧勝しました。これまで日教組をはじめとする左翼系の教職員組合が国旗・国歌の問題に象徴されるような日本を誹謗し貶める教育を進めてきました。民主党の大勝によって支持母体の一つである日教組はますますその傾向を強めるのではないかと危惧されます。戦後60余年が経過し今や日本は左翼系教職員組合の「反日」教育によって国の真髄まで抜き取られてしまった観があります。”

・  末尾には「解説」としてジャーナリストの櫻井よしこ氏が一文を寄せているのだがその中には以下のようなくだりがある。“公立学校の教師でありながら組合運動を学校に持ち込み、ビラを配り、揚句、特定政党へのカンパを要請し、自分たち以外に如何なる意見にも耳を傾けず、相手を思いやることもなく、謙虚になることもなく、何一つ学ばず、1ミリも成長しない。そんな人が仕切る全国津々浦々の学校現場では校長の命が削り取られていく。・・・。”

・ 著者の「終わりに」が印象深かった。“「話せばわかる」が私の信条で何度も何度も教員と話し合い、語れば当然受け入れられると思ってやったがその信条は揺らぎ始めた。私がどんなに誠心誠意 話かけ論拠を明示して説明しても組合活動に熱心な教員を中心に全く受け付けず、こちらの話の中身を理解しようともしませんでした。”
・ あまつさえ著者は解剖学者の養老孟司氏の「馬鹿の壁」の中から言葉を引用して「話せばわかるは大嘘」とまで記述しているのには笑ってしまった。養老氏は「わかってもらえるはずだ」というのは「勘違い」と指摘していますと書いている。
・ 私に言わせれば全くその通りで20台や30台の若い頃ははともかく、40台、50台の教員に対して「話せばわかる」というのは「わかったふりをしているだけ」であって「本質的にわかっているはずはない」のである。「人事権や査定権」があるから分かったようにしているだけなのである。
・ 公立教員の定年は60歳だから、これらの教員は終戦時はまだ生まれていない世代だから戦前の教育、戦後の教育についてはなんら経験も体験も有してしていないにも関わらず、論理的なものは何も無くてただ闇雲に国旗・国歌を敵視する人々である。
・ これらの教員とて最初は「希望に燃えて教師になった」はずであり、それがどうしてこのような先生に「変貌」していくのか、実はここに問題があるのである。校長と教員が対立し、イデオロギー論争を学校現場に持ち込んで「良い学校」になると思えない。
・ 教師として「青雲の志」を持って難関と言われる大学を卒業し、30倍、40倍という超難関の教育公務員試験に合格した人たちが、「教育現場でこのように変質していく」ということが問題なのであってそれを「大学大学院で6年間勉強させたら成らないのか」と言ったら「No!」が答えである。教員免許6年制は少しピントがずれているのである。

2009年11月17日火曜日

11月17日(火)人事の季節












・ 「22年度教員採用第二回目募集」が締め切られ、現在「採用センター」で二次試験に応募してもらえる方々の検討が進められている。「二次試験とは面接と小論文試験」である。「第一回目募集」はすでに事務手続きは完了して「契約書」も交わしている。
・ 学校は来年度入学の「募集活動」も山場にあり、先週は「中学校の第2回プレテスト」が完了した。これでほぼ来年度の「浪速中学校入学者数の予測」がある程度の確率で想像できる。今週21日は「第二回目の高校入試説明会」がある。これも極めて重要なイベントである。
・ 本校は第2回目を重要視しているが入試広報室の誰に聞いても「参加者の数は読めない」と言う。中学入試の方は「塾訪問」などで「手がかり」はあるのだが高校の方は予測できないと言う。
・ 加えて来年度から「公立高校授業料が無償化」になるのに伴い「私立高校でも年収制限はあるが無償化の拡大」が成されるから「公立か、私学か波はどちらに流れるのか」良く分からないのだ。
・ 厳密に言えば来年の「3月下旬の公立高校の合格発表」まで分からないのだが、そういうことでは「教員の手配」が出来ないから「生徒入学者すなわち構成クラス数を予測」して10月から採用活動を始めているのである。
・ しかしこの予測は難しい。センターの副校長は経営のことを考え、いつも「ぎりぎり」で考えているからクラス数が一クラスでも外れれば教師手配で大変なことになるので今年は「余裕代」を私は与えた。すなわち教員採用に難しい教科のところは「多めに採用」することもあるべしとしたのである。
・ 本校で言えば数学、理科、国語などが相対的に難しい。英語はその中間くらいか。社会科は応募者も多い。これは全く公立の教員構成と同じ現象である。社会科の教員免許は比較的多くの学生が保有していることと関係があるのかも知れない。
・ 「教師志望の若者の人生」がかかっているから人選は当然「慎重に総合的に検討」しなければならない。外部推薦はお受けするが判断は当方の責任で決定する。小さい世帯の本校にとって「65歳まで働いていただく教師」は「学校の命運を左右」するくらい重要事項である。後で「あの採用は失敗だった」というわけには行かないからである。
・ 本日採用センターの副校長から第二回目採用の二次試験、すなわち面接と小論文をお願いする志願者を選定し、決定した。後はセンターから応募者に連絡が行くことになる。今回も多くの若い方々に残念ながら「ご縁がなかった」と伝えざるを得ないがご理解頂きたいと思う。
・ 判断には当然のことながら「教科すなわち免許の種類」「年齢構成」「クラブの専門性」「特技」「履歴書から浮かび上がる経験や意欲」などであり、決して「男女性差」「学歴」「職歴」などは判断の材料にはしていない。あくまで「人物本位」と「ポテンシャルの高さ」である。
・ 今回の第二回目の募集は「公立教員採用試験の合格発表」が終わった後を考えて行ったもので本校でも非常勤講師の先生から3名が合格されて来年3月に本校を去られる。誠におめでたいことである。心から祝福して送り出してあげたい。 逆に常勤講師の3名は落ちたと言う。難しいものだ。
・ 恐らく年明けには「第三回目の募集」もあるかも知れない。それは今月終わりまでにまず常勤講師の先生のうちで来年3月で「雇い止め」に成る先生への通知がなされるだろう。1年契約だから仕方が無い。自分を活かせる他の職場で来年は頑張って欲しい。
・ そして年明けになると思うが専任教員について「退職意向調査」がなされる。特に専任教諭の退職意向調査は重要で、若し役職者や担任業務でもしておられる先生であれば「来年度の分掌人事」に影響するからである。。だれかれ直ぐに分掌長や担任というわけには行かないからである。
・ 同時並行して現在勤務していただいている常勤講師の先生方から「専任教諭の採用」も最終検討に入らねばならない。一般的に私立学校では3年を限度として「常勤講師」として「見定める」というのがある。3年と言うのは労基法の精神からきていると考えられる。
・ その後専任に採用するかどうかという厳しい判断があるが私は「期間は柔軟でよい」と思っている。出来れば「担任経験」をしてもらうことが最も良いのだが全ての常勤講師の先生を担任に当てはめるほどクラス数は多くないのである。従って2年目で専任採用もあるだろうし、担任経験は「出来れば有ればよい」という感じである。
・ そうかといえば今年第一回目の採用では昨年公立高校に採用され大阪市内のある高校に赴任したが「もう厭だ、厭だ」とそこを辞職して本校に来ることになった教員も居る。「校内は荒れ、とてもそこでは自分の教員人生がイメージできない」と言う理由らしい。
・ 私はまだ会っていないが「指を数えて」まだ何年もあのような学校に居ると思えば「辛い」のだと思う。公立の教員は最初の赴任校には最低でも4年、長ければ7年も勤務するのが一般的だから30歳過ぎまでそこに居たら「教師としてのスタートが余りにも切ない」と言うのであろう。公立経験のある私にはこの気持ちが分かるような気がする。
・ 一回目も二回目もそうであったが年齢は千差万別である。まず「新卒」のバリバリのフレッシュメンがいる。そして50歳台の先生まである。又前職がどこかの学校の常勤講師や非常勤講師が圧倒的に多いが中には「社会人経験者」もおられる。
・ 教員免許を有して大学を卒業し、社会人になったが「教師への夢」捨て去ることあたわづ「挑戦」と言う方もおられるし、どうも「民間会社が何らかの理由で辞職」「教師にでもなってみるか」というのもあるみたいである。
・ そうかといえば転勤で大阪に来たのでとか、結婚後子育てが一段落したのでこの辺で昔の教師の仕事を希望するとか色々あってまさに「人生いろいろ」である。年齢構成は圧倒的に26歳までが多い。大学卒業が23歳から修士で25歳としていずれにしても若い新進気鋭の若者が多いことは間違いない。

・ そこで私は思うのである。若し民主党が進めている「教員免許6年制」になったらこれらの方々はプラス2年だから28歳近くまで身分が安定しない「教師と言う職業」を選択する人は本当に居るのかと言うことである。
・ 今朝の毎日新聞はこの問題を大きく取り上げていた。「教員養成課程」を学部4年、大学院2年として更に1年の現場実習を義務つけたら「良い先生になれるのか」という重い命題である。
・ この問題は別途本ブログでも言及していくつもりである。06年度にスタートした「薬学部」の6年制は大変な事態を招いた。私学の「薬学部志願者が前年の138000人から09年度は79000人と40%の減少」を見たのであった。これと同じ運命を辿るのではないかと言う指摘をする人もいる。しかし私の意見は短大でも4年生でも大学院でも関係はない。「良い教師」とはそういうものだけでは諮れないと思うのである。「良い教師とは何を持って言うのか、そこが問題である」。

11月16日(月)本校元理事長の20年祭




・ 今日は正午過ぎに「大阪天満宮」で本校の元理事長であられた「寺井種茂氏の二十年祭」が執り行われた。仏教で言うところの「法事」であろう。仏教では戒名として「居士」とかいう表現を用いるが神道では「大人命」という。今日は同時に「偲ぶ会」となっている。
・ この寺井種茂氏は現在の名誉理事長であり、大阪天満宮の宮司寺井種伯氏の兄上に当たられ昭和62年から昭和64年まで本校の理事長を務められた。戦後の学校教育の改定すなわち新制高等学校制度からすれば5代目の理事長であった。ちなみに私は9代目の理事長となる。
・ ご就任は昭和62年(1989)7月1日で前任の足立理事長が突然亡くなられたことに伴うものであった。尚この年は「国鉄の分割民営化」がなされた年である。ところが寺井理事長も昭和64年(1989)11月16日に急逝されたのである。昭和64年はこの年1月7日に「昭和天皇がご崩去され元号は平成」になった時期であった。
・ 本校は一般的に理事長は長い年数を務めておられたが寺井理事長は2年数ヶ月という短いものであった。私は寺井理事長先生を知る教職員に当たってみたが、皆さん共通して「温厚なお方」であったと言う。最も私が着任するまでは理事会は神社庁で行われていたとのことで接触の程度はそれほど深くは無いみたいであった。
・ 先生所縁(ゆかり)のものといえば図書室に扁額があり「先憂後楽」の字である。誰かが理事長に頼んで揮毫してもらったものだと思うが「ゆったり」とした素晴らしい字で今後とも大切にしていかねばならないと思っている。
・ それにしても「しのぶ会」は多くの参列者であった。「ご交友の広さ」を物語っている。故人の友人のご3人がご挨拶された。ご存命であれば「日本の神社界を牽引する指導者の器」であったと皆さんが言われていた。
・ 「神宮皇學館大學時代」のご友人が多い。そして乾杯に移るのだが「献盃」という。個人はお酒がお好きだったと見えてビールと日本酒の献盃だった。実は不謹慎であるがこのお酒が最近では呑んだことのないような「美酒」であった。味は「端麗辛口でフルーティ」である。
・ 銘柄は「奈良の春鹿酒造」という醸造元で本席には数十本わざわざ取り寄せられたという。今宮戎の宮司のご内儀はこの春鹿酒造家からと嫁がれたとのことで融通が利くのかも知れない。
・ 普通は手にいらない「純米大吟醸原酒」で、銘は「華厳(けごん)」とあった。題字は元の「東大寺管長猊下」になるもので達筆すぎて厳などは簡単には読めなかった。瓶の色は薄いコバルトブルーで「品格の高さ」を容器自体が示している。
・ 私はメインテーブルの一つだったが右は理事長職務代理の道明寺天満宮宮司で左は今回のお酒の元の「今宮戎」の宮司であった。この宮司は私の大学の後輩に当たり実はこの父君に私は大変お世話になったのである。
・ 前今宮戎の宮司は大阪神社界はいうに及ばず日本の神社会でも大変有名なお方で、私が本校の理事長に内定する理事会の前に大阪天満宮(名誉理事長)と道明寺天満宮の宮司(理事長職務代理)に連れられて「面接試験」みたいなものだったのだろうが「今宮戎」神社に行った時のことが今でも忘れられない。
・ 大いに教育議論が進み結果として、直ぐ直筆のお手紙を頂き「浪速を頼む」といった内容であったが、いまでもこのお手紙は大切に残している。この先生もすでに2年前に亡くなられた。寺井種茂元理事長と1年違いの大の仲良しであったといわれる。
・ 20年前に亡くなられてもこのように多くの方に敬愛され今日の大阪天満宮の隆盛の基礎を作られたお方で浪速高等学校も大きなご指導を頂いた。その弟君が現在の名誉理事長であり、大阪天満宮と本校は切っても切れない関係なのである。
・ 勿論私はまったく存じ上げていないが、一歩でもこのような「先達」に近づけるように自重し、努力しなければならないとつくづくと思ったのである。それにしても本校に来て「私のお付き合いする人々」が今までと全く異なる世界から増えていくのが「面白い」。別の太陽系に移って行っている感じだ。

・ 今朝のもう一つの話題は産経新聞のスクープ的記事である。他紙は報じていない。「樟蔭東学園」が経営難で「運動場売却」との見出しである。前から経営が苦しいとは言われ理事会構成が一変したので「持ち直す」と思われていたが「事態は複雑で悪化の一途」だと言う。
・ それにしても産経は特別な取り上げようで、別の紙面にも大きく書いており、一私学の問題をここまで報じるかと「ちょっとけげんな感じ」がした。学園は約18億円の借入金を抱え、ここ5年間で毎年2~3億円の赤字を積算していたという。
・ 加えて「生徒募集に苦労」しており経営破たん寸前の状態と言われており、運動場売却は「窮余の一策」と考えたのだろうがこれは間違っている。運動場は「学校設置基準の重要な条件」で運動場のない学校などどこにもない。「血迷ったか」というところである。
・ しかし経営難の私立高校のうち「定員を満たしていない学校は全国で985校あり、全体の78%」に達する。10以上の法人は何時つぶれてもおかしくなく、100校以上が経営困難な状態という。
・ 本校はこれらの学校群とは一線を画して「生徒が来てくれ、経営難ではない学校」であり、私は「ホッ」とするのである。しかし「明日は我が身」と考え教職員は厳しく私立学校が置かれている状況を凝視しておかねばならない。
・ 実はこの樟蔭東の「運動場売却騒動」には「」があり、ある医療法人が支援で乗り込み、創業者一族の理事長を追い出し、その後の理事長も5ヶ月で追い出し、そこに子飼いの人物を押し込んで理事長とし、「魑魅魍魎」と噂されている「乗っ取り劇」がなされた学校というのは大阪では有名な話なのである。
・ 今や創立以来70年の伝統ある中高、短大まで有する私学も一歩間違えばこのような事態を招くのであって結局「外部の支援はこのような危険性を有している」のである。浪速中学校高等学校は決してこのようなことになってはならない。
・ 従って今回の教訓は「変な人物から金は借りない」ということである。「金は自分で工面するもの、借りるときは公的金融機関以外からは借りない」ということであろう。学校が「不動産転売」みたいになったら「お仕舞い」である。明るみに出たこの話を聞かされた生徒や保護者が可哀想で仕方がない。

2009年11月14日土曜日

11月14日(土)関大連携浪速中学校第2回プレテスト







・ 朝方まで雨が残ったが8時過ぎには小降りになり直ぐに上がった。新聞の朝刊では「衝撃的ニュース」が飛び込んできた。ネットでは昨夜10時過ぎにはアップされていたが、遂に高校性が「大麻所持」で逮捕された。「大阪南部の府立高校の男子生徒二人」である。どの高校か特定できる。「蛇の道はへび」という。
・ なんと学校のトイレで大麻を吸引したらしい。「恐ろしい」ことだ。もう「学校も外も区分が出来ていない」のである。自宅において乾燥大麻が発見され生徒が保持していた吸引用のパイプも押収された。
・ 「大麻汚染」が高校生にも広がりつつあると考えねばならない。大阪府警の発表では今年1月から10月に大麻取締法違反で検挙された未成年者は27名にのぼり昨年同時期に比べ8人も増加している。
・ 私はこの事実を受け、早速「生徒保護者向けの注意喚起要請文」を作成して配布したのである。「打てば響く」ように対応しなければならない。「本校だけは大丈夫」という安心は安心ではない。単なる「感度が悪い」だけである。

・ 朝会の後、「多聞尚学館」に行った。昨日から1年生の理数科とⅠ類のR-1の合計75名が「週末スペシャル」を行っている。今回は「英語と古典」である。とにかく時間を見つけては私は「一生懸命頑張っている生徒の顔を見て激励」をしたいのである。

・ その後奈良方面に「急行」した。午後2時からの親戚の「結婚式に参列」するためである。若いカップルの幸せそうな姿を見るのは良いが新郎新婦が生きていく時代はますます厳しい世の中になるが頑張って欲しいと思った。両親に頼まれて挨拶したが私なりの「夫婦で生き抜いていく知恵」みたいなものをお話したのである。

・ 今日は「第2回プレテストの日」であった。参加者数は「企業秘密」でここでは書けないが「過去新記録」とだけ書いておきたい。保護者の数も多いため、会場は体育館に変更した。冒頭の挨拶は昨日のブログに書いたように「DVDビデオ」を使った。
・ 入試広報室長は私立学校の入試説明会で「ビデオを使ってご挨拶するのは理事長が初めてではないですか」と言っていたが「別におかしい話ではない」。自分の言葉で自分の声で保護者の皆様に「浪速の教育」をお伝えしたい思いがこのような「アイデア」が出てくるのである。「真剣さ」が違うと言いたい。
・ 今日は特別に私に代わって中学校副校長に発表して貰ったことがある。要は「関西大学連携浪速中学校」に入学してくれた生徒には「特別奨学金制度を創設」して年収区分で「授業料の減免措置」をするとしたのである。
・ 現在高校の授業料無償化の動きの中で浪速高校性にだけ特別奨学金制度があって中学に無いのはおかしいとの発想からであるが、いささかなりともこの措置で「経済的問題を抱えていても私立中学への進学への支援」にならないかという思いから決めたものである。いささかでも「本校への門を広げてあげよう」と私は考えたのである。

・ 来年度から中学3年生まで「子ども手当て」が支給される。初年度は半分であるが23年度以降は「月額26000円の支給」となるから結構大きい数値である。この子ども手当ては今議論の中にあるが、まあなるようにしかなるまい。
・ 一旦貰った政府からのお金だ。「何に使おうとも自由ではないか」と人は言うだろう。「人の財布の使い方」まで規制は出来ない。「教育費」に使って欲しいと思うがそれは勝手な当事者の言い分である。
・ 最近調査結果というか予測記事が出てきたが経済困窮家庭はこの子ども手当ては「生活費」に回り、比較的裕福な、余裕のある家庭では子どもへの「教育費」、すなわち塾とか私立学校、あるいは大学への「教育費貯蓄」に回すということである。この分析は的を得ていないか。
・ 私はこの子ども手当てはますます「親の経済力格差で子どもへの教育力格差がつく」と言うことになると思っている。政府の力で「教育力格差を助長させる」のだから「何をか況や」である。

・ 今朝の朝刊各紙が報じていたが厚生労働省の「国民生活基礎調査」からの発表であるが平成19年の「一人親家庭の貧困率は54.3%」だったと言う。これはOECDの「相対的貧困率」の考え方に基づき算出したもので、理論上「ひとり親家庭の半数が厳しい生活状態」に置かれている可能性を示している。
・ 厚労省の政務官はOECD加盟30カ国で「最下位」の水準と言っている。一方大人が二人以上いる家庭は10.2%でひとり親の家庭の54%を大きく下回っている。「ひとり親の家庭の厳しい現実」である。
・ 子どもが小さければその分時間が取られ、正規の職業に付けず派遣社員とかパート労働とか、とにかく「収入が少ない職業」にしかありつけないのである。このようにして貧困はその子どもへ連鎖していく。「貧困の連鎖」である。
・ あれこれ理屈や論理を振り回しても意味はない。一人親家庭に「自己責任論」を押し付ける気持ちは分からないでもないが「その子どもには罪はない」。それもこれも教育への「公費負担」が日本は少なすぎるのである。
・ 「GDP対比5.5%が世界標準であるが日本は3.5%程度」でこれまた先進各国では最低レベルである。教育の「私費負担」を減らし「社会保障費としての教育費」論争が出てこなければならない。教育こそ国民が等しく受けるれる権利を徹底していくことが「日本の生きる道」ではないか。

2009年11月13日金曜日

11月13日(金)攻める関大







・ 「大阪重視 攻める関大」と極めて大きな記事になっている。今朝の産経新聞である。「小中髙系列5校新たに参入」の小見出しもある。大学全入時代を迎え、いきのこりをかけて「私大の競争はますます激化」しているとの論調で物事を捉えている。
・ この記者はわざわざ「地図」まで投入して「関大が進める囲い込み」という表現で高槻市の小中髙、吹田市關大第一中髙、それに東淀川区の関大北陽中髙と「本校の関大連携浪速中学校」の位置関係まで載せている。「センスの良い記者」だ。
・ 確かにこれを見れば「囲い込み本格化」と書かれても仕方が無いだろう。記事には「受験地図を塗り替える大きな動き」とまで書いており、皮肉っぽく東京や京都の有名大学が進出しても苦戦したことから関大も苦戦を強いられる可能性に言及し「関大に勝算はあるのか」とまで書いているのである。
・ 私はこの記事を読んで「笑ってしまった」。「心配ご無用」である。記者の言われるような「苦戦とか勝算とか」の話ではない。関大も「織田信長」みたいに「畿内統一」「天下布武」を狙ったものではないのではないか。確かに関大にはあの有名な信長の末裔であるスケート競技の織田信成選手がいるが・・・。
・ しかし記事にある東京、京都とは早稲田と立命館であり、「ブランド大学と言っても進出の成果は芳しくない。・・・注目を集めたが大幅な定員割れという予想外の結果に終わった」とまで書かれてはこの両校の関係者の胸は痛むであろうに。
・ 関西大学の発表によれば入学者のうち、「大阪府出身者が40%、近畿圏からでは70%以上」を占めており、記事にもあったが大阪の子どもは「大阪がメチャ好き」で「太閤秀吉」以来「東京が好きではない」傾向があると聞いたことがある。多分に天童よしみさんの歌「負けたらアカンで東京に」の影響もあるのではないか。
・ 立命館大学も素晴らしい大学であるが琵琶湖草津キャンパスは元々徳川譜代大名の彦根藩「井伊家」だから今ひとつ生徒の気が向かないという話を聞いたことがあるが、そうではなくて「遠い」と言う理由ではないか。記事にもあったが経済的理由で「下宿や遠距離通学を避ける傾向」はますます強まっている傾向がある。
・ 加えて本校でもとにかく「子どもが可愛い親」は「自宅に留めおこう」と考えている。保護者会などで「たった4年です。地方に出すのも大きな成果がありますよ」などと言おうものなら「フンッ」と言った感じだ。
・ 「子離れしない、親離れしない」ファミリーにとって関西大学は「垂涎の大学」である。記事にある大阪府私学・大学課の担当者のコメントにあるように「関大の場合、地元ブランドとしての知名度が高いだけでなく、併設校から大学まですべて府内から通学できるという大きなメリットがある」との言葉に全てが集約されている。全くこの通りである。
・ 本校が「連携校」としてお願いし契約に至った理由もこの通りであり、私立学校であるから「生徒保護者の気持ちに応えるメニュー揃え」をするのは当然である。まして本校から歩いてもいける場所に今度「堺キャンパス」が出来、そこには「人間健康学部」が誕生する。
・ この学部は2年次から「スポーツと健康コース」「福祉と健康コース」に分かれ、まさしく今日的な学部である。本校でも生徒保護者の期待は高い。近い将来はこの「学部の付属高校」として「人間健康コース」を浪速高校に作っても良いが、それだけの「偏差値」の生徒が揃うか、「それが問題」だ。
・ そこの「初代学部長先生」は尊敬して止まない歴史社会学、教育社会学者で思索思想家と私が思っている竹内洋(よう)」先生だ。大和川を挟んで北が本校、南が関西大学であり、「関係を持たないほうがおかしい」と私は考えたのである。
・ 記事にある学習塾「第一ゼミナール」の稲葉課長は長い間の友人だが、先生が言われるように「今後私立高校の経営環境はさらに厳しくなるだろうし中学入試の激化も予想される。生徒の奪い合いに更に拍車がかかるのでは」とコメントを出されているが「的を射抜いた」ものである。
・ 大阪南部は今後まだまだ「未開発の市場」と考えることも出来る。大阪南部は泉州、泉南、岬町まで広い。又「和歌山、奈良からは電車一本」である。本校は大阪市内の学校であり、「公共交通はJR、南海、地下鉄と3本」もある極めてアクセスの良い場所である。
・ 私は大阪市内はもとより大阪南部、和歌山、奈良から小学校6年生、中学生3年生を集めて浪速中学校、浪速高等学校に入学して貰い、「希望者を徹底的に鍛えて関西大学に送り込む」。そのために連携校となったのである。

・ さてその中学入試も山場を迎えつつある。明日の「14日は第2回プレテスト」である。受験者が多いため急遽会場変更である。生徒は教室であるが保護者説明には新館ピロティから体育館に変更した。
・ 私は親戚の結婚式で出席できないが副校長以下しっかりとやってくれる。準備万端整っている。しかしどうしても私は「自分の声で自分の言葉で私の思い」を保護者にお伝え致したく「ビデオにてご挨拶」することとした。
・ そしてもう一つ「当日発表」であるが「関西大学連携浪速中学校」は「授業料に関したビッグプレゼント」があることを発表するように副校長に託したのである。重要なことはこのプレテストの後である。受験者一人ひとりをマークして本試験を受けて貰うように手を打たねば成らない。「ここからが本番」である。
・ 今後の予定は「12月19日(土)第5回入試説明会、そして年明け1月16日(土)の中学校1次A入試となる。その翌日17日(日)が中学1次B入試」で生徒のバックアップのために1月22日(金)が中学入試2次として一応予定には入れている。
・ 1月17日、18日は「大学入試センター試験日」でもあり「私立学校の体温」が徐々に上がりつつある。「出」である高校3年生を送り出す最後の最大の業務である「大学受験」、そして「入り」である「中学入試、高校入試」と「神経の高ぶる季節」が今年もやってきた。「面白い」と思う。
・ 現在本校には正職員、常勤職員合わせて109名居るが「精鋭」ぞろいであり、「総力戦」で当たらねばならない。この109名が「一糸乱れず」見事に対応し、この局面を正しく乗り切って行かねば成らない。そうすればおのずと「結果は付いてくる」。