2009年8月28日金曜日

8月28日(金)第3回全国学力調査結果


・ 朝一番に中学校の副校長と教務部長が入る。この5月に行われた「第3回全国学力調査結果の報告」である。本校は3年連続して参加している。昨日はお客様があったりして時間を持つことが出来なかったので今朝は早朝から結果の把握作業に入ったのである。
・ 当然昨夜のテレビ報道、今朝の新聞各紙は衆議院選挙報道より紙面を割いて記事にしている。全国紙の論調は「学校の地域差固定化」であった。朝日は「学力の地域差固定化」、産経は「上位県の固定化鮮明」との見出しである。連続3回実施し正答率の高い府県と低い府県が固定化されてきたというのである。
・ それはそうだろう。正しく処理されたデータであれば「一夜にして力が付く」と言うものではない。「長い間の積み重ねと努力」が数値に現れるのであり昨年の最下位が翌年トップに躍り出たら「インチキ」と言われても仕方がない。
・ しかし「秋田、福井、富山、青森など」はどうして強い(?)のであろうか。「大阪、沖縄、北海道など」はどうして弱い(?)のであろうか。それも3年連続であるから固定化といわれても仕方がない面はある。
・ 大阪府の「公立小学校は少し上昇」した。「1回目が45位、昨年が41位で今年は34位」だから少しは上がっている。橋下知事は喜んでいるが私は知事の内心として「もっと上がって欲しかった」と思っているのではないかと思っている。お顔からそのような印象を感じる。「ほぼ全国平均」になったからと言って嬉しいだろうか。
・ 「大阪の公立中学は酷い」。「3年連続45位」だからこの位置が「大阪の定席」となった。知事は又「吼え始めて」いる。「中学は深刻、自治体の長は責任を取れ」と激しい口調でバンコクのホテルでののしったという。市町村教育委員会の人事や予算に介入すると言う。是非やって欲しい。ますます公立中学は乱れ、公立離れが進むだろう。
・ しかし公立中学校のあのレベルは一体どうしたのだろうか。3年連続で「超低位」だ。天下の大阪の中学3年生の力がこの程度とは思えない。「大阪の公立の中学校の教師は何をしているのか」と言いたい。「3年連続45位はないわなー」。教師としてもう少し何とかなるだろう。これでは何も言えないのではないか。
・ 新聞写真で見る中西教育長は「愕然」とした感じであった。「予想外の結果」だったのだろう。少しは上がると踏んでいたのではないか。「分析を徹底する」と言われているが「ここがポイント」である。
・ 「分析するのは学校単位の教師の仕事」である。幾ら教育委員会が「はやしたてても」、肝心の学校の担当教師が「放置」していたら「何も変わりはしない」。特に朝日の記事には知事、教育委員会、校長などの管理職と「一般教員の乖離を指摘」する論調である。余りにも「教員バッシング」が過ぎたのではないか。
・ 分かりやすくいえば幾ら知事や教育長や百マス計算の陰山先生が「発破」をかけても「笛吹けど踊らず」で教員は「しらけ顔」で「何もしないか、したふり」だというのである。これでは幾らやっても万年45位だろう。
・ 本校はおかげさまで「3年連続学力の伸長が明確に確認」できた。「すごい伸び」と言ってよい。当然公立対比では問題とならない差をつけているが今年の成果はAクラスが「全国私学平均」をどの教科でも上回ったことだ。
・ 特に「数学の成績が良い」。この傾向は1回目からあったのであるが今回もそれを確認できた。国語はもう少し上げて欲しい。私立中学として公立中学が相手ではない。「あくまで他の有力私学との競争」である。
・ 私が嬉しいのは「学力を伸ばす教師のすご腕が本校の教員にはある」ということだ。3年間の成績で確信した。正直って入学時の成績はいまひとつでもその「学力伸長度」はすごいものがある。例えば昨日明らかになったのだが「五ッ木の模擬試験」で偏差値60以上、70クラスの生徒が輩出していることだ。
・ この全国学力調査、今回辺りから少し「変わった空気」が流れ始めている。「もう十分」「やり方を変えたら」といったものだ。何か分かるような気がしないでもない。「生活習慣が学力に影響する」ということは頭では誰でも分かっていることが3年連続数値的に「証明」された。
・ 「基礎問題は出来ても応用力に課題がある」などは誰でもわかる話でそれも具体的に証明された。「これ以上何を確認する?」という意見だろうが分かるような気がする。地域間格差ははっきりした。もうすべて「分かったではないか」と言う気もする。
・ 大切なことはこれら3年間の結果を受けて「行政と現場の教師、家庭の保護者がそれぞれ何をするか」ということだ。何時までも「全国何位?」などで50億円近い公費を投入するのもいかがなものかと言う意見もある。
・ 最後は「子どもを追い込むことになる」ことを懸念するのだ。隔年、あるいは抽出など手法も色々と議論があることは今の「衆院選での各党のマニフェスト」にある。国がやるならお付き合いはする積もりはあるが、来年度どうするのか一度じっくり考えて見たい。
・ しかし最も重要なことは「文科省からデータ」を受け取った学校単位の「校長以下教員の意識と手腕」ではないか。データを生徒個人の顔を思い出しながら「何処が弱いか、分かっていないか」をあらゆる角度から把握してそれを「授業に反映」することが「教師のやるべき仕事」である。
・ 本校の中学の先生方は「早くデータを見せろ見せろ」と昨日教務部長に迫ったらしい。一日遅らせて申し訳ないことをした。それくらい本校の先生は「やる気マンマン」なのである。ここが素晴らしいし嬉しい。
・ 早速朝日の夕刊には「府教委学力向上対策会議を設置」とある。しかし待てよ。昨年も対策会議を作ったのではないのか。また内容は「教育委員会の教育監センターで課長を20人集めた会議」らしいが「少し違うよね」。まず手分けして各学校を回り「現場教員との腹を割った話し合い」でしょうが。私ならそうしますね。
・ ところで文科省から送られてくるパッケージには「各問ごとの狙いと生徒単位のデータなどがCD-Rになって分かりやすく」まとめられたものである。「極めて貴重なデータ」であり、これを部屋の隅や倉庫に仕舞い込んでいては何もならない。しかし現実にはそのような公立学校はあるのではないか。「そんなもの、知るかい!」とね。管理職でやれってね。
・ 校長の仕事は結果を重要視して「反応する」ことである。そして教員がやりやすいように「地ならしと教員処遇」を考えて上げることである。そしたら教員はしっかりやる。少なくとも本校の先生方はやってくれる。
・ データの利用であるが私は保護者に何時も説明している。ただし個人別にはまだ開示はしない。学校単位での開示で良いと思っている。「本校で学んでいることは安心ですよ、任せてください!」とのメッセージが送れれば良いと考えている。