2009年12月10日木曜日

12月10日(木)教員の採用と寿退職

・ 昨年度2008年の「公立教員の採用試験の競争倍率が6.1倍」だったことが文部科学省の調査で明らかとなった。公立の小中髙校の教員採用試験の倍率で2007年度からは0.4ポイント低かったというが相変わらず「狭き門」であることは間違いない。
・ 全国での「採用総数は25897人」で07年度比4.2%の増、「受験者数は15%減の158874人」であったと言う。16万人も受ける試験などそう多くはない。採用者のうち「54.3%が一般大学卒で教員養成大学・学部卒の31%を上回った」という。
・ この意味は慎重に考えねば成らない。一般大学で教育系の単位を取って教育公務員になる比率が教員養成の専門大学・学部卒よりも大幅に高いと言うことを「どのように考えるか」と言うことである。 「不況」になったら「公務員になろう」、中でも「教員」というのは身分が安定していて何時も「人気の職業」となるのだが一般大学が多いというのは、不況が影響しているのかと考えることも出来るのか?
・ いや、そうではなくて偏差値からすれば専門系大学より一般の総合大学の学生が優秀で従って狭き採用試験に合格する比率が高いのだと言われれば果たしてそうなのかとも思わざるを得ないし・・・。
・ 学校種別の競争率は「小学校が4.2倍、中学校が8.4倍、高校が9.4倍」であるから相変わらず高校は難しいのが分かる。まとめて9.4倍とか言っているが教科別に見ると理科などは十倍を軽く超える倍率である。
・ 「自治体別」では鳥取県が20.4倍でトップ、沖縄17.0倍、長崎15.1倍、青森15.0倍、秋田14.9倍という。最も低いのは「大阪市の3.4倍」、川崎市の4.1倍と言うから「大阪市は狙い目」である。
・ 公立などどうでも良いではないか。「私学の倍率はどうなっているのか」という疑問に「全国規模」で答えることの出来るデータは手元には無い。どこかにあるのであろうが公立に比べて「データ集約に難しさ」がある。時期もバラバラだし一斉の試験などない。「通年採用」をしているようなものだからである。
・ 本校で限って言えば「一回目の募集」で「応募者総数から最終採用人数」を割り出せば倍率は幾らに成るか計算してみた。まず「1回目の募集では23.2倍、第2回目の募集では16.4倍」となった。大体20倍前後と言うのがマクロの感覚ではないか。相当な競争倍率である。
・ しかし以上は「常勤講師の採用」であってこの中から目途として3年以内に「専任教諭」として採用されるのは「ほんの一握り」だろうから私学教員になるのは本当に大変な難関だと数値は示しているが、これは「本当にそうか」という感じがしないでもない。
・ 上記公立採用試験の合格者の男女別では実に「女性の比率が56.4%」で今や半数以上が女性教員で小学校などでは圧倒的に女性が多い。少子化の中で今後「教員へのなり手」は女性の比率が高まることになろう。
・ ところが女性教員採用で「困ることがある」と書いたら大問題となるが、「配慮」しなければならないことが「結婚」である。男は結婚しようがしまいが「仕事の継続」には関係ないが女性教員となるとそうは行かないのである。
・ 企業ではその昔「寿退社」と言うのがあった。今はそのような言葉も余り使われていないのではないかと思うが、学校社会にも寿退社はあるのかと言うテーマである。まず答えから、それは「ある」のである。
・ 本校でも今勤務している優秀な女性常勤講師の先生が2名「ご結婚で退職」されることになっている。しかし結婚して学校の先生の職を辞めるというのも「勿体無い話」である。
・ 折角の国家資格をとり、教師として採用されているのにと思うが、それは個人個人でそれぞれの理由がお有りだから他人がとやかく言う話ではない。しかし私はこの二人に先生を部屋に呼んでお話を伺ったのである。
・ お一人は横浜へ、お一人は奈良の方へ嫁いでいかれるとの事であった。奈良のお方は「非常勤講師」でもと言ってお勧めしたのだが当面専業主婦として生きていくという強い決意であられた。残念だが仕方がない。
・ 横浜に行かれる先生はあちらで非常勤講師として教師の仕事を継続していきたいというご意向であった。優秀な先生であったらから私はこの横浜に嫁して行く「先生への支援を約束」したのである。
・ 寿退社の女性教員に対して少子化が進み日本の人口が減少しているからこそ、社会はもっと教員の働き易い環境を作っていく必要があると考え、私は以下のような対応を取ったのである。
 XXXX高等学校(横浜の某私立高校
  校長先生ならびに採用担当者様
             推 薦 状
拝啓
 初冬の候、貴校におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
 さて、この度お手紙いたしましたのは本校英語科常勤講師 ○○○○ をご推薦させていただくためです。
○○○○先生は今年四月に新卒として本校に着任しました。着任以来、授業はもちろん、割り当てられた校務分掌についても非常に熱心に取り組んでいますし、仕事の理解度が高く的確に処理をする能力があります。授業やクラブ活動での生徒の指導力や掌握力は天性のものを持っています。また、研修会のレポートなどのまとめ方はベテランの教師も舌を巻くほどです。来春、結婚のため大阪を離れ横浜に居を移す由、本校としてはこの人材を手放すのは残念なことでありますが仕方がありません。
本人は貴校の非常勤講師を希望しておりますが、本校として自信を持って推薦する人
物であります。何とぞ、格別のご高配をたまわりますようにお願い申し上げます。(以下省略)
・ 特に公立などは例えば大阪府で採用され立派な教師としての仕事をしていた女性教員がご結婚で秋田県に行くとなったら府教委は秋田県教育委員会と協定をして「無試験推薦」で秋田で教鞭をとるということにしたら「教師不足対策の一助」になると思うが。
・ もう一つの配慮は当然「結婚後の出産」という女性教員のありうるべきことに学校として如何に対応していくかと言うテーマであるがこれについては又別途の機会に言及したいと思う。すでに答えは出ている。女性教員が「出産育児」に「心置きなく」臨んで頂く為に「私立学校は何をすべきか」である。