2007年10月15日月曜日

10月15日(月)事務室

 事務室についても書き留めたいことは多い。
1.事務室の相対的位置
・ 学校における事務室のスタッフは極めて重要である。私は何時も彼らに「経営スタッフたれ!」と言っている。着任時の実態は「教員の一段下部に位置する事務屋集団」のごとき扱いや、肝心の事務室勤務の職員さえ「現状に甘んじている」ごとき状況であった。言ってみれば教員に「文句こそ言われるが、感謝の言葉さえ聞かされたことのない気力なき集団」が事務室の現状であったと言える。
・ 教員から見れば「国家資格も有しない集団で彼らは教員ではない。教職員のために存在するもので、教員が気持ちよく仕事をできるようにするのが彼らの仕事」くらいにしか思っていなかったのであろう。
2.事務室業務は経営スタッフと教育委員会的機能
・ 前述したことは公立私立を問わず、感じるところであるが、公立学校勤務の時に比べ私学の事務室がこのようなことでは経営はやっていけない。私学の事務室は公立の教育委員会的機能を有する組織であり、保護者からの納付金、大阪府からの補助金を適切に予算化し執行するという根幹の部分が事務室の仕事である。ここが出来ないと私学は一挙に崩壊の道をたどる。
・ 大阪府とのやりとり、経営役員会たる理事会への情報提供、事務処理、就業規則等教職員の勤務管理、給与、一時金、の支給執行、共済保険やPTA予算の管理、とにかく仕事量は多いし、「すべて期限が決められている仕事であり、間違いが許されない仕事」である。一歩間違えば大変なことになる、一言で言えば「時間とお金との戦い」なのである。教員の仕事とは根本的に異なる。
3.事務所への厳しい対応
・ 1月理事長就任以来、事務室には厳しく対応してきた。教員と同じような気分で休みは多いし、「誇りと覇気」が感じられなかった。お互いが仕事を融通し合わないので担当が休めば仕事はストップする。ほとんど生徒など来ないのに「購買部」を設けて人を一人雇っている。事務室でやればよいだけのことだ。特に事務室の専任職員は「ばらばらの状態」であった。これでは力が出ない。「改革はまず事務室から」とした。
・ 神経を使ったのは一人の職員が「ある外部の会合」に週1ないし2回は出席せざるを得ない形になっており、これではマンパワーもコストも回収出来ないと考え、その機関というか組織に自ら脚を運び、活動を免除して貰ったのも今では懐かしい思い出である。
・ 事務長以下、個別に職員指導は徹底的にやり、個別に理事長室に呼び込み指導し、激励した。途中で人員も優秀な「人材を1名増やした」。「職位も明確にし」、事務長、事務長補佐、主査、主事、校務員、実習助手、図書管理助手、養護教諭助手と区分し、従来事務職員に支払っていた「研究費」たるものは廃止した。年間数万円の給与ダウンである。それでも彼らは我慢してついてきてくれた。それは彼ら自身が「もう限界」と肌身で感じていたからではないか。
4.事務職員の今日
・ 面白い話がある。着任時「困っていることはないか?」と聞くと「給料の金融機関振込みを未だに拒絶する教員が5名居て、そのために現金支給処理で困っている。」「私的な機関である同窓会の会計処理をやらされており、何故私が?」等があったので即刻廃止した。大変喜んで貰った。信じられない話だ。
・ こういうのもあった。配布資料があると事務職員が3つある職員室に資料を配って歩くのだ。時には「自分には届いていない」と文句を言われ、「間違って非常勤講師に配布して慌てて回収」していたりしていた。これには「全教職員のレターボックス」を事務室の近くに設置して解決した。
・ 「保健室から学校の生徒が見える」と言われるが、私は「事務室から教員が見える」と思っている。提出物の遅い先生、何でもかんでも事務に仕事を振ってくる先生、ブブツブツ文句ばかり言う先生、お金や手当てのことばかり気にする先生、本当に面白い話が聞ける。
・ 圧倒的に指摘が鋭いのは「校務員」さんである。あの教室は何時も汚いとか、電気やエアコンを付けっぱなしとか、非常に良く見ておられる。真面目な先生といい加減な先生を完全に峻別されている。校務員さんが有る時、このようなことを言いに来られた。「校務員だと思って小ばかにしている態度の先生と「ご苦労様」と声をかけてくださる先生と明確に分けられる」と言うのだ。天網恢恢疎にして洩らさず、「怖いなー」と思う。
5.事務職員に対して
・ 職員会議で「事務職員を宜しく」と頼んだこともある。「事務も人間なのだから、人間的に気に入ってもらえば良いこともあるだろう。」と言ったこともある。具体的に教員に厳しく指導を加えたこともある。半年立ってようやく事務職員の立場が変わってきたと思う。
・今や最強のメンバーとなり、彼らは「良い仕事」をしている。彼らのやった過去9ヶ月の仕事は特筆できる。有難う。
 ・校長先生のおかげで「先生方が事務に優しくなりました。」「事務の職位を上げて頂きました」と今や感謝されている。しかし事務も更に頑張って貰わねばならない。「教職員へのサービス機能も大きな事務の仕事」であるのだから。
・ 「理事長・校長にとって事務職員と教員は車の両輪」である。どちらが調子悪くても浪速という車を全力で走らせることは出来ない。経営・運営が上手く行かないのだ。私にとって極めて大切なものである。