2008年6月10日火曜日

6月10日(火)芸術鑑賞会

・ 大体どの学校でも秋口には「芸術鑑賞会」という学校行事がある。年に一度であるが、「芸術文化に親しむ」と言う狙いで校外に出かけることが多い。生徒にとっては時に校外に出かけることは「授業からの解放感」にも繋がり、喜ぶもので「これは嫌いだ」という人間は少ない。
・ 教師にとっては「しんどい仕事」だ。行き帰りの生徒の行動に問題があってはならないし、交通事故など注意喚起も必要だ。特に今時の生徒は「場所の特定」が不得意になってきたりしている。時間に遅れず、来ているのかどうか、気になるものだ。
・ 本校もご他聞に洩れず、「芸術鑑賞会」なるものを実施してきた。本校の特徴は例年9月に行われる「浪速祭」の一連行事として実施してきたものである。これは珍しい。浪速祭とは読んで字の如く「お祭」である。神社神道の学校であり、「秋祭り」と考えてよい。
・ 文化祭などとはおよそ趣の違うもので「徹底的にお祭りである」。実際数千万円もするお神輿が二つもあり生徒が「わっしょいわっしょい」担いで近所を練り歩く。やってみればこれはこれで面白いもので去年などは「模擬店のたこ焼き」の店が4店も出たりして。この面白さは残しながら「浪速祭」のレベルアップも私の仕事だ。これは次の機会に譲るとして問題は芸術鑑賞会をどうするかだ。
・ 結論としては今年度より浪速祭とは切り離し、「浪速中学校高等学校芸術鑑賞会」としての単独行事として実施することに決めた。時期も流動的であって良い。今までは担当教員が2ないし3の種目を苦労して選びその中から生徒のアンケートによる決定方法を慣例としていたがこれは廃止とした。生徒が決めるものではなかろう。あくまで「教育活動の一環」だ。教育の中身は教員が決める。
・ 過去10年の演目を調べてもらったが様々なものであった。色々と苦労しているのが分かる。結構高くついており、やるほうは「稼ぎ時」かも知れない。
・ 場所は「堺市民会館」を借り受けて(勿論有料)実施しており、中高を2回に分けて午前午後の部の二回入れ替え制でやっている。生徒数が多く、学校の体育館では無理であるし、主催する方もある程度の設備対応が必要となってくると受け入れられる場所は限られてくるのだ。
・ 今後は、神社神道を建学の精神とする本校のアイデンティティを高めるため、「文楽・古典芸能・上方落語・浪曲・沖縄音楽・宮中雅楽、地方歌舞伎、人形劇、能、浄瑠璃などを含めた幅広いジャンル」から生徒達が「未体験」である日本文化を見て・聴いて・学ぶ機会として実施したいと考えている。「知らないことを見せる」のだ。
・ 今年はアイデアが枯れたと見えて「オーケストラ」ときた。「青きドナウ川のさざなみ」を聴くと言うから「今頃になって、青きドナウか」と言ってやった。「新しく作った校歌も演奏してくれる」というので、「芸術鑑賞で校歌を聴いてどうするの」と言ってやったのである。
・ 自治会担当の教諭に、「浪速中学校高等学校芸術鑑賞会」として本年度の内容については、チャレンジ精神を持って、ジャンルを思い切って拡げ、検討するよう伝えた。「知らないものを知らしめよ」と指示したのである。
・ そして生徒は100%出席、次に希望される保護者、そして地域のお年寄りたちをお招きすれば良い。勿論席に余裕のある範囲でだ。そのようにして地域住民のお方と交わりを深くすることが今後の学校のスタイルの一つかも知れない。
・ 「賑わいを取り戻す町」、その拠点に「学校という公的な社会の装置」があることは間違いない。このようにして本校はここ「由緒ある住吉の地で学校を進化」させていきたいと私は考えている。芸術鑑賞も単に見るだけではなくて、何か一本加えたいと思うのだが・・・。