2008年6月19日木曜日

6月19日(木)天皇陛下ご即位二十年

天皇陛下御即位二十年奉祝大阪実行委員会
・ 「昭和が終焉した時」の私は住友金属工業の鹿島製鉄所で熱延工場という製鉄所で最も大きくて重要な工場の「工場長」であった。直接の部下だけでも600人を超えていた。気鋭の技術屋として白ヘルメットに作業着姿で溢れるばかりのエネルギーで日夜、自分の仕事に誇りを持って頑張っていたと思う。41歳の若さであった。昭和天皇のご崩御の発表のニュースは自分のデスクで聞き当時の官房長官が「平成」を発表したテレビのシーンも今でも鮮やかに覚えている。
・ 平成の御世、「御即位されて二十年」、今上陛下はお元気で節目の年を迎えられた。国民にとって大変な喜びである。しかしこの20年は阪神淡路、新潟中越他大規模自然災害が多く発生し、両陛下の御心を思う時に、深い慈しみのお言葉やまなざしにどれほど国民は励まされたであろうか。西宮市職員の仲西さんは被災で陛下のご巡幸を得て「低かった空気、重かった空気が一瞬に払い除けられた」と印象を述べられている。陛下はすでに全国47都道府県ご巡幸されたという。これは「凄いこと」だと感嘆せざるを得ない。
・ 東京ではすでにこの6月5日に「中央奉祝委員会」を設立し名誉会長には経団連会長の御手洗富士男氏が会長には日本商工会議所会頭の岡村正氏が就任した。「中央奉祝行事」として本年11月9日に東京ドームシティホールに3000名を集めて「奉祝中央式典」が計画されており、11月12日には皇居前広場で「国民祭典」が開催されると言う。さすが東京だ。やることが大きいが皇居のお膝元だけに当然と言えば当然だ。
・ 「大阪府」も動き始めた。この16日に「第1回実行委員会」が開かれ大筋の計画がまとまった。不肖私も「奉祝委員」の一人として末席に連なった。橋下知事、平松市長、堺の木原市長を名誉顧問としてお迎えし、会長には大阪商工会議所の野村会頭が、「筆頭副会長には大阪府神社庁長、で大阪天満宮宮司、本校の名誉理事長の寺井種伯先生がご就任」だ。
・ 関経連会長、同友会会長他経済団体トップに加え、関係衆参議員がずらりと顧問で並び、府議会議員、市町村長、市町村議会議長、法人・団体・企業代表者が奉祝委員で並ぶ。「天皇陛下御即位二十年をお祝いする府民の集い」として全国に先駆け、地方版初の「奉祝大会を計画」している。
・ 具体的には「9月27日(土)」森之宮の「府立青少年会館文化ホール」で「奉祝大会」が午後2時から、そして「祝賀会」は午後5時から会館前のKKRホテルで計画されている。その他学者有識者の講演、奉祝記念誌の発行、御製碑の建立など府民を上げてお祝いするための趣向が今後具体的に練られることになる。
・ 「神社神道の学校」としてこのたびの御慶事は極めて嬉しい限りである。浪速中学校高等学校は生徒保護者、教職員一致協力してこの「御即位二十年と皇室を戴く国柄を誇り」にして陛下への感謝の誠を捧げて行きたいと考えている。
・ 校内に「学院神社」を擁し、「伊勢神宮の内宮の天照大神、外宮の豊受大神をご祭神」に戴き、五十年以上に亘って「伊勢修養学舎」を綿々と繋ぎ、五十鈴川で「」を行い、「垣内」への参内を許されている本校は「皇室」とは極めてご縁が深いと考えて良い。校章は三種の神器「八咫鏡」を形取っており、制服のエンブレムは天皇家の象徴「三種の神器」のデザインそのものだ。
・ 「本校は大阪府神社界が作った学校であり、神社神道を建学の精神に持つ学校」である。素直に誠を持って平成の御世20年を寿ぎたいと私は素直に思う。勿論個人の思想信条や宗教の選択は自由であり、本校にはクリスチャン、仏教徒、在日の人々他様々なご家庭から生徒を送り込んで頂いている。神社精神を絶対視し、それを強要する学校ではないが、指導方針や学校行事には色濃く建学の精神を反映するものがある。
・ 私も曹洞宗の家に生まれ、両親は永平寺に永代供養されている。それでも元日には近くの八幡様に初詣に行き、事あるごとに神社へのお祭りは欠かしていない。「五穀豊穣」を祈り、「八百万の神々」といるという安心感と喜びは何事にも代えがたい。「神も仏もあり難きかな」は私の好きな「空海の言葉」である。
・ 天皇は神ではない。「国民統合の象徴」である。万世一系の天皇と皇室を頂く国柄を2000年以上に亘って戴いている国は世界何処を見渡してもない。国民の一人として私はこのことこそ我々「日本人の誇りであり喜び」だと思う。
・ 「天皇制」などという言葉自体、私は「不快に感じる」のだが、1922年,荒畑寒村、山川均らが結党した共産主義政党の尾を引くのが今の日本共産党で、この政党が最初にこの言葉を使い始めたようであるが、今やこの「天皇制」という言葉自体、一般化してしまった。1955年の武装闘争を放棄して以来、幾多の変遷を経てこの政党は徐々に党勢を低迷してきているが未だに心底では「天皇制」を認めていない。
・ 確かに綱領の変更では「護憲の立場」から現憲法の象徴天皇は容認しているが天皇制自体は現在においても「世襲性は平等に反する」「封建制の遺物」と否定的であり、政権政党となった場合は国民の合意に基づいて「天皇制の廃止が最終目標」としており、そのため国会開会式への天皇の出席や皇室外交も「憲法違反」として認めていないから、この政党の議員は国会開会式にも参加していない。私と全く考えが異なる。
・ しかし面白いではないか。このような政党を友好団体に持つ教職員組合に入っている教員が本校には多く居て、私が来る前には日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が白昼校内で配られていたと言うから信じられない話だ。さすがにそれは止めてもらった。
・ 神社神道の学校で天皇家のご先祖とされる伊勢神宮の神々をご祭神として御祭りしている学院神社を精神的バックボーンにしている学校にそのような共産主義シンパの教員が居るというのも不可解な話だ。建学の精神と本校の教育方針を妨げる思想信条を本校で教宣したりすることは絶対に許さない。「思想信条は自由だがここは私立学校だから自ずと制約がある」ことは分からなければならない。
・ 有名な判例がある。昭和41年に「青山学院で実際に起きた事件」での東京地裁での判決例だ。キリスト教の信仰に基づいて教育を行うことを教育方針とする青山学院において教員が礼拝に参加しないことを理由とする「解雇」を相当としたものである。
“前記の如く長期にわたり正当の事由なくして講堂礼拝に参加せず、初等部長の再三にわたる注意や勧告にも応ずる色を見せなかったのは被申請人学院初等部の正当な傾向教育の基本方針に協力しないものであって、被申請人がこれを理由として申請人を解雇に値すると判断したのは何ら不当ではなく、これがために同人を休職処分に付した上でその休職期間の満了を持って解雇することはなんら解雇権の正当な行使の範囲を逸脱するものではない。”
生徒に関する判決例もある。これも有名な「昭和女子大学事件」で最高裁の判例である。
学生が大学の定めた生活要録の規定に違反し、大学当局の許可を受けることなく民主青年同盟に加入したり、学内において政治的暴力行為防止法の制定に対する反対請願の署名運動をしたことを理由とする「退学処分」を相当としたものである。
特に私立学校においては建学の精神に基づく独自の伝統ないし校風と教育方針とによって社会的存在意義が認められ、学生もそのような伝統ないし校風と教育を受けることを希望して当該大学に入学するものと考えられるのであるから、右の伝統ないし校風と教育方針を学則等において具体化し、これを実践することが当然認められるべきであり、学生としても又当然大学において教育を受ける限りかかる規律に服することを義務つけられるものといわなければならない。”