2007年12月17日月曜日

12月17日(月)常勤・非常勤講師・・その1

1.教員増のニュースから
・ 12月7日のブログ「教員増」ですでにこの問題については言及しているのだが、15日の日経新聞は小さい記事であるが、「教員増を一部容認へ、 財務省:社会人・OBの採用も」とある。このOBに注目する必要がある。
・ 文科省が自民党の文教族の後押しで要求していた教員増7000人に対して抵抗していた財務省は約1000人程度の増員は認めるが、残りの6000人については社会人やOBを「非常勤」として採用する案を検討していると言うのだ。財務省は頭が良い集団で、中々上手い点をついたものだ。要は正規採用を絞ることで負担を軽減する狙いである。
2.非正規教員とは
・ 微妙な問題で何が「正規」で何が「非正規」なのか、明確に定義されたものがあるのかどうか知らないけれども、ここでは正規に採用された教員を「正規教員」、言い換えれば「専任教員」とし、これに対し、「常勤講師」、「非常勤講師」を非正規教員としておこう。
・ 言い方を変えれば正規職員とはその学校の定年一杯まで働くことを前提とした「週40時間拘束のフルタイム勤務」で「就業規則」の規制を受ける職業であるが、常勤講師とは基本的にフルタイム勤務で「デューティ」は正規職員と同じであるが、「1年契約の雇用契約」が基本となっているものである。非常勤講師も基本的には「雇用契約」であるがフルタイム勤務ではなくて「週間何時間の授業時間を受け持つかの時間契約」である。即ち授業のある時だけ来て授業が終われば帰れば良いのである。
・ 上記の記事でいけば文科省は専任教員を7000名要求したが、これに対して財布を握る財務省は専任1000名で他は常勤か、非常勤で賄おうというものだ。その人材を社会人や団塊世代教員の大量退職者を非常勤として雇おうというもので、死ぬまで教壇に立ちたいと考えている教員には、労働負荷も軽いし、歓迎すべき、嬉しいニュースではないか。
3.慎重になる採用業務
 ・ 公立学校、私立学校、勿論年令によって異なるが一般的に言えば専任教員、常勤講師、非常勤講師で「処遇に差」がある。良い、悪いとの議論ではなくて厳然とした給与の差があることは事実である。だから財務省はここに目をつけたのであろう。
・ この点を「教員社会の格差」と呼ぶ向きもあるが、これは仕組みであり、専任教員、常勤講師、非常勤講師と三つの選択を用意しているのであり、採用する側が一義的に決めているのではない。家庭の都合で拘束の多い専任や常勤講師は困るという人もいるのである。
・ 公私を問わず、専任教員を一人正規職員として採用することは社会的に極めて重要なことであり、「生涯の大半部分を占める定年までの30年から40年の雇用継続はその組織体にとってもご本人の人生にとっても極めて大切な一大事」であり、採用には慎重とならざるをえないことは世のあらゆる部分で共通する事項である。従って民間企業でも公務員でも採用作業には手間隙を惜しまない。即ち「良質な人材を確保」するために必死なのである。
・ 昨日NHKテレビでは最終回であったが「風林火山」の信玄は「人は石垣、人は城」と言ったというが、私立学校でも「学校にとって教員は石垣、教員は城」である。特に本校のように教員数が120名程度の比較的規模が小さい学校では尚更一人の教員に期待するというか「一人の教員の影響度合いが大きく」一人の専任教員の採用には慎重が上にも慎重となるのである。
・ 「お宅で働きたいので宜しくお願いします」「ああ、そうですか。それでは明日から宜しく願いします。」と言って簡単に65才まで雇用を継続するわけには行かないのである。この先生は本当に「本校の運命共同体」として共にやっていけるお人だろうか、当然見る目は厳しくなるのである。これは当たり前の話で特段学校現場だけの話ではない。
4.微妙な常勤講師という立場
 ・しかし厳然と上記職位の格差に関わる問題として学校社会独特の「常勤講師」という職位は極めて微妙であり、時に複雑な空気が職員室に流れることがある。専任教諭とまったく同じ仕事をし、時にはそれ以上に頑張っているのに、「待遇面で差があり」、何時になったら「専任教諭に引き上げて貰えるのか」不安定な身分の中で過ごす気持ちは十分に理解できる。
・ 基本的には「雇用者は正規職員に引き上げる努力」を行い、常勤講師の先生は「専任教諭として採用してもらえるべく努力」をするというのが、今日における模範的な解答であろう。しかし悩ましい問題であることは間違いない。
・ しかし私は本年度、すでに10月の時点で期中であるが一人の優秀な常勤講師を専任教諭に採用したし、来年にかけて鋭意検討中だ。少なくとも後数名は専任教諭を作りたいと考えている。常勤、非常勤の採用権限は副校長に権限委譲するが専任教諭採用は校長の専権事項としている。「誠意を持って今後とも対応」してまいりたい。