2008年7月15日火曜日

7月15日(火)私学助成削減幅縮小

私学助成削減の修正
・ 「想定したとおり」だ。橋下知事は昨日公式に「私学助成の削減幅の修正」を表明した。併せて府庁職員の人件費も修正するとのこと。議会側は「ようやく修正に応じた」と基本的に歓迎だ。勿論私学側も「ホット」としているだろう。「だろう」とは何だ?「嬉しくないのか?」と問われれば勿論「本校にとっても有り難い」のだが、一方では個人的に一抹の「寂しさ」を私は感じる。
・ 同じ「改革派の人間」として橋下さんが「後退する姿」は見たくはなかった。これで府議会与党の自民公明は勿論、野党も「まあ、首は取ったとは言えないが、押し戻しました」と胸を張って選挙民には言えるだろう。
・ 府労連始め組合関係者も「安堵とは言えないが組合員に対して些かの申し開き」が出来るとホットしているかもしれない。これが出来なかったら組織脱退者が増えて組織が持たなかったかもしれない。「役に立たない組合で、入っていてもこれでは意味はない」と。
・ 勿論警察官も教員も行政職も目減りが減る分、喜ぶだろうが、将来を考えた時に本当にそうだろうか。「損して得取れ」と言う言葉がある。修正削減案は18日までに府議会側に提示されると言うが「案はもう出来ている」筈だ。
・ 問題は目減りの財源をどこから持ってくるかだが、その点を今調整しているのだろうがこれも出来ていると考えた方が良い。もう「勝負は終わった」のだ。私学助成で言えば中学で25%。高校で10%が何処まで減少されるかだから、これを幾ら下げるかの世界だから、今後は中学生でも想像できる話だ。
・ ある人は小中学25%から20%へ、高校は10%から7%とか8%とか言うだろうがそんなところだろう。もうどうでも良い話だ。「落ち着くところに落ち着くだろう。」昨日、私学課は同時に各私学のアンケート結果も発表した。
・ それによると「私学の90%以上が大きな影響が出る」とある。しかしこれは「当たり前」ではないのか。大きいかどうかは分からないが、影響は出る。対処方法では「授業料の値上げ」でやると答えたところが「60%」で値上げ幅は高校で言えば2万円から4万円が最多とある。
・ 今回削減幅が縮小されたら、勢いがそがれて「授業料値上げ」とは今後言い出しにくいのではないか。本校はいずれにせよ「少し上げさせて頂く予定」だ。前にも書いたがこれは橋下さんが当選する前から決めていた話で「陥没の是正」と私は言っている。
・ 昨日府議会は教育文化受任委員会に私学中高連の会長、PTA会長他2名を参考人として招致し意見を聞いたが、その席で会長は「私立では教職員人件費を府立の90%に抑えているなどの取り組みをしている」と述べたとあるが、個人的にはこれだけでは良く分からない。
・ 私立学校の教員が公立よりも安いとなるとそれこそ「人材確保」に支障をきたす。私の考えは「私立は公立に比べて週休二日ではない」。土曜日も夕方近くまで多くの私学の教員は働いている。これは「勤務時間で言えば10%多い」わけだから、給与は同等以上でバランスが取れると言うのが私の基本的な考えだ。
・ どうして私学と公立の教員の「年齢別基準内賃金と諸手当の一切合財」をオープンにして「比較」しないのか私には良く分からない。これをやれば全てが明らかになる。公立で言う「期末勤勉手当」などに相当する「私学の賞与一時金」も合わせた「年収」で比較しなければならない。私学は公立に比べて月例給与よりも半期ごとの「賞与一時金」が多いという意見もある。
・ しかし「私学議員連盟」は強い。「聖域」と言われるのも最もだ。今回の揺り戻しは「府議会諸派」の応援のお陰であろう。元々知事は議員の声が議会民主主義の柱であり、これを尊重すると言っていたからまあ落ち着くところに落ち着いたわけだが、「準備不足」もあった。「周到な論理的構成」がなされず、最初に「私学助成削減」とぶち上げたのが敗因である。
・ それに余りにも、これは本人の偽らざる思いなのであろうが「私立に対する理解」が著しく欠けていた。「私立嫌い」が透けて見えてきた。府内の北野高校の卒業であるという自意識が全てをコントロールしていた。余りにも学校界のことに無知であったと思う。
・ 府民も30%が私学に通っており、公立を挑戦しやむなく私立に行っている子どものことは頭には全くと言ってなかった。最初から「お金持ちの子」だけが私学に行くとしか考えが及ばない人であった。後半になってようやく理解し始めたというところだろう。
・ 発想は「大阪を教育日本一」にと言っておきながら要は「北野みたいな高校を作る」ことしか彼の頭にはなかった。小学校は校庭の芝生化から元々教育問題に入っていったから、順番を間違えたと言える。
・ 学力、生活規範、親の経済力、教員の資質、公私間比率の歴史的経緯、大阪の教育の土壌、人権問題と教職員組合、等々あらゆる視点で「一息」する間を持って打ち出せばまだ何とかなったろうに。頭の良い人だから直ぐに理解した筈だ。
・ 「何が出るか、何が出るか」と思わせながら最後の最後で「一挙に出す」とこうは成らなかった。最初から10%カットだからこうなる。残念だ。結局今回の削減幅の縮小は「後ずらし」しただけで本質的な私学問題の解決にはならない。「いささか、延命治療」をしただけにすぎないと私は考えている。
・ 約束の1100億の削減の旗はどうするのだろう。これで知事の「指導力にかげり」の芽は出てしまった。押し戻せばなんとかなることを府民に知らしめてしまった。悲しい残念な思いをしている人々は結構多いのではないか。「数パーセント戻して貰ったって役人も教員も警察官も諸手を上げて「嬉しい」とは成らない」だろう。そのような気がする。返って「してやったり」とにんまりしているのは案外知事だったりして。