2008年12月2日火曜日

12月2日(火)敷地内全面禁煙

・ 昨日の「一斉参拝」で初めて全校生徒には「1月1日から学校敷地内全面禁煙」とアナウンスした。生徒は3ヶ月前に正門にぶら下げている「看板」を見て知っているから特段大きな反応はない。
・ 又生徒には「煙草はダメだ」。中学校、高等学校生徒の喫煙は「法律違反」となり、指導が複数回になれば「浪速には居られなくなる」と話をした。又校内の一部に「吸いに行きたそうな隠れた場所」があるのでそこは「ネットを張って」行けなくなるようにしたと正式に私から説明した。
・ 保健体育部長を呼んで最後の通知文を作ってもらい、「校外の関係者に徹底」するように指示した。同窓会関係者、納入業者他にご理解を頂く為だ。そのために3ヶ月前から準備をしてきた。「12月は最後の詰め」である。
・ 法人朝会で「第2職員室の喫煙ルームを改造」して筆頭副校長の部屋にすることを厳命した。これは来年以降「評価面談」とか「人事上の話」とか多くなってくるから一々下に下りて特別会議室を使わなくとも良いと考えたからだ。
・ それに今の副校長の席は元来高校教頭の席と私は考えている。来年は新校舎検討チームとか仮設校舎の建設とか色々動きが出てきて「ミーティングルーム」も必要だ。「全ての部屋を教室に復旧」せざるを得ない局面で作った新しい部屋を会議室に流用も出来る。私は色々と考えているのである。
・ ところで昨日の新聞に「高校生徒寮に喫煙室」の見出しで記事がある。産経は写真まで載せて大きな扱いである。テレビでも報道していた。しかしこれには「笑うに笑えない事件である。」愛知県新城市の私立黄柳野高校で起きた事件である。
・ なんと生徒寮に「禁煙指導室」の名前で「生徒が煙草を吸える部屋」を設置していたらしい。県警は「県青少年保護育成条例違反」として寮を捜索し証拠品として灰皿などを押収したとある。校長は「送検」される。
・ 校長は「違反とは知っていたが喫煙のためではなくて禁煙に繋げる教育指導としての取り組み」だったと弁解しているが「それはないだろう」と言う感じだ。この学校は平成7年に開校、不登校などの生徒を全国から受け入れている「全寮制の学校」で生徒数は231名、うち10名の成人もいる。
・ 校長の説明では「山火事を防ぐために4つある男子寮にそれぞれ喫煙室を有していた」。寮周辺が山に囲まれ余り厳しくして生徒が外で煙草を吸って山火事があったら大変と、それならば「この部屋で吸いなさい」と言うことなのだろう。
・ 何故分かったかというと県警が11月に2年、3年生5人を「傷害容疑」で書類送検したときに生徒らが「寮には煙草を吸える部屋がある」と白状したのが発覚の元らしい。しかし「大変な学校」みたいだ。校長の苦労は分かる。しかしこれはやってはいけない。
・ 有名な「ヤンキー先生」として知られた、現参議院議員の義家弘介氏は北星学園余市高校の元教諭であるがこの人は以下のようなことを言っている。どのような学校でも家庭でも喫煙している生徒はおり、寮では許しているところはある。北星余市もそうだったという。
・ しかし私にはこれは勝手な言い草で「教育の放棄」であると思う。「ルールを守る」ことを教えるのが教育で「仕方がない」と考えるのは「指導の困難さ」を理由に教師の仕事を棚上げしているに近い。未成年者に煙草を吸わせて「見て見ぬ振り」をするのは欺瞞で「教師にあるまじき行為」と言いたい。
・ 煙草の害、煙草の費用、火の不始末など考えたら「諦めずに指導」することが「大人の役目」だ。ただ日本は先進各国に比べて喫煙者が異常に多いので「文化」として「喫煙者に寛容な素地」があることが「学校現場にも伝染」していると私は見ている。
・ 私はあらかた1年以上に亘って「教師の禁煙のススメ」を密かに心がけてきたがまだまだだ。大体自分が煙草を吸っていて生徒に煙草を吸ってはいけないと言えるかという根本命題だ。ここのところが私には分からない。
・ 側によると煙草の臭いが「プーん」と臭い、洋服や口からも煙草の臭いがする先生が生徒指導室で吸った生徒に「吸っただろう、やめとけ」という時の気持ちはどうなんだろうと何時も考え込んでしまう。
・ それでも私が着任してから数名の先生が止めてくれた。まず体育科のI教諭、保健体育部長だから仕方がないわな。保健の授業で喫煙の害や健康被害など喫煙教師では喋れないと思う。
・ 次に止めてくれたのは数学科のH教諭だ。大体理数科の先生で煙草を吸う先生も珍しい。頭の回転をキープするために「煙草は吸わないのが数学の先生の誇り」と思っていたが結婚を機に止めてくれた。
・ 進路指導部長も止めた一人だ。この先生も数学だ。酒が好き、煙草が好きでは長生きは出来ない。何時も赤ら顔で私と同じ血圧が高いのではないか。止めて正解である。後中学の副校長が止めているという「」を聞く。しかし確かめたわけではない。
・ 「止めたのと休んでいる」とは異なる。何時か吸うのであればそれは一時休止だ。中学生の喫煙事件を度重ねて起こしていながら今だに吸っているのは理解に苦しむ話だ。今後採用する教員に「非喫煙者」と条件はつけることはしない。大人気ないからだ。
・ しかし心配になって来年正職員に採用する予定の常勤講師の先生について確認したら「生まれてこの方煙草を吸っていませんし、吸おうとも思いません」と来た。「安心」したのである。
・ 煙草飲みは全ての人ではないが「ルーズ」な面がある。くわえ煙草で歩きながら終わったら道端に「ポイ捨て」だ。このような光景を見たら怒りよりも悲しくなる。基本的な公共心の問題だろう。それに非喫煙場所でも平気でタバコをやる先生もいた。
・ とにかく後1ヶ月で校内からは一切「紫煙が立ち上る」ことはなかろう。この私でもここまで2年もかけた。もう後退は出来ない。浪速がこの面でも新しい時代に入る。敷地内全面禁煙はもうすぐ始まる。ようやく公立に追いついた。他の私学にも並ぶことが出来る。
・これでやっとこさ「胸が張れる」。こればかりは随分気を使ってここまで来た。3ヶ月前の職員会議で圧倒的多数の支持を得たが、2年間極めて多くの改革を進めてきた中でこれも特記的事項だ。「浪速喫煙文化の終焉」である。「感無量」だ。これで「普通の学校」になった。これが嬉しい。