2009年6月1日月曜日

6月1日(月)その2:浪速の空手道部

・ 昨日の日曜日、午後から「第20回大阪府中学校空手道選手権大会に応援」に出かけた。本当はもっともっとクラブ活動の公式戦の応援に行きたいのだが土曜日は午前中授業で午後もなんやかや公用があってつぶれる。
・ 日曜日も大体、半分は「私用公用」みたいな用事があってママにならないのだが昨日は予定が空いていたので急遽前日に行くのを決めた。その日の朝刊、大阪日日に「浪速の鉄壁を崩せるか」というような見出しが出ておりそれに惹かれたのである。
・ 午後2時30分頃に会場となった関西大学第一高等学校「秀麗館」という体育館に出かけたのだが自宅に戻ったのは夜7時30分を過ぎていた。決勝戦は6時半を回って行われていた。
・ 浪速中学校は見事な「4連覇」、それも1位、2位を独占した。このように浪速は大阪を代表する「強豪中の強豪」なのであある。中学が強いから当然高校も強い。「インターハイ常時出場校」なのである。
・ 私は準準決勝から勝ち進む中学生の試合振りを見ながら「感動感激」をした。そして決勝戦ではAチームとBチームの「自校対決」である。こういう場面は初めてだ。とにかく「本校の空手道部は強い」。4連覇であるから「黄金時代」といっても良いだろう。
・ これも全ては「良き指導者」を得ているからである。「本校には2名の卓越した指導者」がいる。どちらも日本の空手道関係者の中では名前が通っている指導者である。一人は数学の教諭で一人は保健体育科の教諭だ。若い方の「I先生はベテランのT先生の教え子」である。すなわち若い方のI教官は本校OBである。この組み合わせが面白いのだ。
・ こういうところに来ると色々と勉強できる。今大会は松原第四とか大阪市立十三とか「公立中学が強くて」本校も「ハッ」とする場面はあった。このような公立中学は実は「地元の空手道場単位」で実体は公立中学のゼッケンをつけていても実際は「道場単位」ということを初めて知った。
・ 公立中学に専門的技量が必要な空手の指導者が十分いるとは考えられなかったがこれで全てを理解したのである。だから試合会場には「街の道場主の館長先生」が道衣を着て盛んに「監督」と言うか指導する場面があった。
・ 300名近い中学生が一生懸命闘っている姿は感動の光景で、間違いなく今「空手がブーム」と言って良いくらい「熱気に満ち溢れた」会場であった。それにもう一つの特徴は「保護者」だ。
・ もう熱心過ぎるくらい熱心で本校の「保護者会」も朝6時30分には会場入口に来て「席取り」に入ると言う。応援の為に良い場所を取るのだという。子どもが空手を通じて「しっかりと育っていっている」実感に言いようもない「頼もしさ」を感じておられるのではないか。
・ 帰りに関大前駅から淡路まで一緒だった保護者は「もう空手道の本校T先生とI先生への信頼感」を語りに語ってくれたのである。特に20代の若い先生には「全幅の信頼」がある。生徒からも保護者からもこのように信頼され、そして全国的実績も残しているこの保健体育科の空手指導者のI先生は間違いなく本校の「宝物中の宝」である。
・ 私はこの若い先生の結婚式にも出た。奥様も素晴らしい人だ。最近長子が誕生した。礼儀正しいし、何しろ若いのに「冷静な判断力」を有している。将来が本当に楽しみであり、私は傷をつけないように大切にまた厳しく育てている。
・ 専用の練習場はなく体育館の共同使用や時に新館のピロティにマットを敷いて練習している中学生を見ると私は何時も「いとおしく」なっていた。「新武道館」を作ることは決めているが昨日の4連覇をこの目で見て今更ながら「浪速道場」を早く作ってやらねばならないと思ったのである。
・ 大阪府下の街の空手道場で学んでいる小学生は「浪速中学校に行きたい」、公立中学3年生は「浪速高校に行ってI先生の指導を受けたい」と「それが夢」だという。多くの空手大好き少年の「垂涎の学校」は本校だという。
・ ところが本校は「どのスポーツでも特待生は取らない」方針だから、いくら才能があっても学力がないと入れないということになっており子供たちは「一生懸命勉強する」という。そういう学校だ。早く空手練習場を作ってやりたい。
・ 前述の保護者も「校長先生が替わって以来、浪速中学は難関中学に位置づけされて入るのが難しくなったと今大評判です」と言われた。そして浪速の保護者会も実は今の学校の「文武両道」の方針は「大変嬉しく思っています」と言われた。
・ 「空手だけでこの子達は生きてはいけません」、「校長先生の推し進める学力向上作戦は大歓迎です」と言ってくれたのである。私は大変嬉しく思った。同時に私はお母さんに申し上げた。「お母さん、あの子達のように努力して練習し、一つのことに集中した若いときの経験は間違いなくその後の人生で大きく役立って来ますよ。」と。
・ 学力、学歴だけでは生きる力とはなりません。今は分からないでしょうが将来、空手に熱中して努力したことの意義と言うか意味は「気付く、気付かずわ別」として「絶対にありますよ」と私は申し上げたのである。大変喜んでおられた。
・ 浪速の空手道、弓道、剣道、野球、サッカー、ラグビー、卓球、テニス、バスケット、バレー、水泳、陸上、軟式野球、アメフト、ボクシング、とにかく「運動クラブの声がこだまする学校」は間違いなく「良い学校」の証明である。「文化部」とて同じことだ。
・ 現に府内でも「放課後電気がすぐ消える学校」はある。部活動などないのだ。生徒がすぐ「アルバイトに出かける高校」というのは現実にあるのである。誰も居なくなるから校舎の電気が消えるのだ。部活動を大切にしなければならない。文武両道である。
・ 授業のあと、放課後遅くまで部活動を指導し、土日もつぶして部活動指導をしてくれている先生に頭が下がる。そして空手道のように「校長に良い思いをさせてくれるクラブ」は尚更嬉しい。少々の「激励金」など問題ではない。 出せる間は出してやる。
・ 講習もせず部活動指導もせず分掌の仕事もいい加減で、さりとて教科指導にも耀きはなく、休みは多く、時間休ばかりが目だって、仕事が終わったらまっすぐ門を出るという教員は本当の意味で「教師という職業の喜び」を知らないのではないかと最近私はつくづくと思うのだ。「可哀想」である。