2009年6月20日土曜日

6月20日(土)大学説明会


・ 「株式会社」の4年制大学として国内初で東京のLEC東京リーガルマインド大学が来年度の学生募集停止することを決めたと過日発表した。各紙とも結構大きく取り上げていた。「ウーン」という感じだ。もっと頑張れなかったのか。何でも最近は「簡単に止める」。諦めが早い。
・ 従来学校を設立運営できるのは「公益法人として学校法人」のみが「寄附行」により可能であったものを「規制緩和」で株式会社が大学や高校を設立出来るようになった「構造改革特区」の最初の注目すべき大学であったが、結局のところ「駄目」だった。郵政などと一緒に「小泉改革」の目玉だったのに、次々と壊れて行く感じだ。
・ 理由は単純で「学生が集まらなかった」からである。この大学も札幌から福岡市まで全国12ヶ所にキャンパスを置いていたが今年から東京に絞って継続の意思を示していたのだが結局ここもギブアップで残った大学院のみ継続するという。
・ 東京リーガルマインドは「資格試験予備校」で、大学経営に進出したのだが、「何が問題」だったのか経営者は詳細に分析して外部発表してもらいたいものだ。単に「甘くは無かった」と言うだけでは済まされない。現にまだ459人と言う学生が学んでいるのだ。
・ 首都の東京キャンパスでも定員160人であるが今年の募集目標60人で実際の入学者は19人と「大幅な定員割れ」という。これは定員割れというものではなかろう。数人不足を定員割れと言うのであってとんでもない話だ。
・ 構造改革特区だから「千代田区」が心配して「今後どうするの」と問い詰められたら「止めます」だから無責任な話だ。残った経営資源を今居る学生に使うと言う。直ぐ合理化をして学生から集めたお金を無駄に使うなと言いたい。
・ 現在のところ株式会社立大学は全国に6校ある。大阪でも市内のLCA大学院大学は06年に開校して同じく「経営難」で今年度から同じように募集停止している。株式会社立の大学というからそれなりの特徴で開校したのだろうが、あの駅前の「NOVA」に近い何か「うさんくさい」ものを感じる。
・ 私は今大学が元来有している「神秘性」が失われてきているのかも知れないと考えている。確かに一時期「象牙の塔」と言われ「大学の閉鎖性」が大きな問題となったが「何でもありの時代」になってきて、「失われる物」も見えてきたような気もする。
・ 確かに希望する学生が居る限り「いいじゃないか」と言う声もあろうが、「止めた」と言うだけでは大学としての社会的責任は果たせない。入学してくれた生徒に悪いではないか。卒業生がまだ一人も出ていないのに大学がなくなるような大学に進学したことは人生の大きな傷にならないか。

・ しかし大学も大変だ。今日、本校においては「大学説明会」である。午後から3年生を対象に各大学から広報のご担当に来ていただき、自大学のPRである。その数は32大学であり年々その数は増えている。担当の進路指導部は走り回って会場段取りをしていた。
・ 難関大学も含まれておりまさにこういう光景を見ると「少子化と大学の置かれている現状」を実感する。表現はいささか悪いが「学生確保に躍起」と言って良い。なんと国公立大学もその中にいらっしゃるのである。
・ このように成ったのも今の「本校の元気さ」が背景にある。何しろ進学校で生徒数が多いと来ているから大学から見れば「ターゲット」であることは間違いないのだろう。しかしここは「謙虚」に対応するように進路指導には厳命している。「偉そうにしてはならない」と。
・ 私は本校の置かれているポジションをご説明し今後ともよろしくお願いしますと申し上げた。早速、難関といわれる兵庫県の○○○女子大から2名の指定校推薦を頂いた。嬉しい。「人気の大学」だけに女生徒が喜んでくれるだろう。
・ そういえば今年の3月に退職して兵庫県の大学に転職した先生が先日「ひょこっ」と顔を見せて色々話を聞いたが「生徒募集で全国を走り回っている」とか。5月11日の送別会に大阪に来て以来今まで大阪に帰って来られなかったというから、ここでも大学関係者のお気持ちはわかるような気がする。
・ このように思っていたら久しぶりに府内の「某私立大学の理事長先生からお電話」を戴いた。相当お年を召されているが、まだまだお元気で私よりお元気かもしれない。電話の趣旨はある学部の教授を今から「行かせるので会ってくれ」と言われるのだ。
・ お会いするのに問題はないからお会いしたら新しく出来た学科の「指定校推薦で1名、AOで4名」お渡しするから何としても生徒を回してください。「浪速は別格です。」と言われるのだ。同席していた副校長も進路指導部長も苦笑いだ。
・ その学科と言うのも従来の大学の学部学科の伝統とはまったく異なった専門学校に近いようなもので「即戦力の実学」を身につけるような体系となっていた。一言で言うと「どうやったらお金が儲かるの?」というものだ。
・ その教授もつい最近までは民間会社で勤務していたサラリーマンだった人だ。こういうのを実感すると「大学は変わりつつある」ことを実感するのだ。私も入学してお金儲けの勉強をしたい気がした。
・ いずれにしても「大学教育の構造転換」が必要である。過去20年間で大学数は250校以上学生数は77万人も増え、その間の「大学進学率は36%から55%に上昇」している。「二人に一人が大学に行く時代」となったのである。
・ そこに簡単に大学や学部が「準則主義」で出来るからこのような事態になっている。今こそ「大学の質保証のあり方と量的規模のあり方」の議論が必要である。中央教育審議会大学分科会で議論されているだろうが急ぐ必要がある。

・ 今日は大学から教育実習に来ている学生の実習最終日で「授業観察」に出かけた。中学1年生対象の中学社会科で単元は「古代国家の展開」というものだった。今日は奈良の都と律令体制化の暮らしと言う内容であったが正直「ウーン」と言う印象である。
・ 一般論であるが「大学生そのものの基礎学力の不足」を感じる。もっともっと勉強しなければならない。卒業後すぐ「先生」となるのだ。そしてその後は日常に振り回されて、根を詰めて勉強する機会も少ないだろう。
・ 「教師力」と言うのは「膨大な勉強量」から来る何物かを身に付け、それを生徒に体全体からにじみ出して伝えて行くものだろう。「大学生の学力」が本当に気になる。まして教師になりたいという学生は勉強しなければならない。薄っぺらい学力、教養では教師力にも限界がある。