2008年8月20日水曜日

8月20日(水)芸術鑑賞会は「浪曲」

・ 9月21日に計画されている本年度の「芸術鑑賞会」の演目が本日定まったみたいだ。自治会担当のM教諭が報告に来てくれた。今年から「芸術の解釈」を拡大し、「芸能分野」にも幅を拡げている。要は「何でも生徒の為になると思うものはやれば良い」のだ。マンネリは良くない。そして何時か原点に戻れば良いだけの話だ。
・ 音楽だったら「クラッシック」でなければならないとか、主張する向きもあるが別に「ジャズ」を聞かせても良いではないか。大きく枠を広げることも時には必要だと考える。どの学校にも大体「芸術鑑賞会」というのがあり、「文化の秋」に実施される。真夏に入れることはまず無い。秋だ。
・ 「演劇」「交響楽団によるクラッシック」が主体で最近になって「歌舞伎」や「文楽」なども取り入れられるようになってきたが演劇が主体だ。演劇などは「学校向け専門の劇団グループ」があり、全国の注文をさばいているところもある。結構な商売になっているのだろう。値段は結構高い。
・ いずれにしても「生徒一人当たりの費用は少なく」、その範囲内で「教育効果」のあるものとなると「企画」段階から担当者は苦労するのだ。本校では従来9月に行われる「浪速祭」の中の一つの行事として実施してきており、浪速祭が「生徒の自治会主導」となっているから従来からこの芸術鑑賞会も形の上では自治会主導であった。
・ しかし「有名無実」とはこのことで、実際は演目を決める段では学校が関与しなければどうしようもないのである。会場予約、費用の交渉など生徒には無理だし、生徒自治会だけで「演目の決定」などは出来ないのである。
・ そのような訳で今年から「芸術(芸能)鑑賞会」とし「浪速祭」と切り離し、単独企画とし、学校がより強く関与し、「教育的見地」から演目を決めることとし7月末の職員会議で意思統一を図ったのである。
・ 元々学校の芸術鑑賞会は戦後の精神の荒廃から立ち直るべく、各家庭では機会も費用もそう簡単な話しでないから、「文化の香り」を教育活動の一環として嗅ぐべく学校が集団で始めたものだろう。当初は交響楽団や舞台劇などは斬新なものとして生徒に受け入れられたと思う。
・ しかし経済の発展で自分の部屋にまでテレビがあるような時代になり、町にはあらゆるジャンルの音楽や映画や芝居劇場が比較的簡単に目に触れるようになってきた。そうするとわざわざ「学校で芸術鑑賞会も無いんじゃないの?」と言う声が出てきて当然かもしれない。
・ 最も生徒にしてみれば1年に一回学校を離れて外で何かをするのではなくて「聞き、見る活動」は勉強とは違って楽だから違った意味で「楽しみ」なのかも知れない。問題は場所である。1700名の生徒を収容できる会場など多くあるわけでもなく、又照明や装置などそれなりの仕掛けがあるところはやはり限られるのである。
・ 従って本校はここ最近「堺市民会館」を借り切って行っている。費用が極めて安いから大いに助かっているのである。しかしここでも最大1387席で一度には収容できない。従って「午前・午後の2部制」とせざるをえないのである。
・ 中学校全学年と高校1年生831名を午前、高校2.3年生917名を午後の部として今年も計画を組んだ。演ずる側からすれば2回講演だから当然支払いは2倍の費用となるが仕方がないのである。
・ 付き添う教員も然りで2班に分け、駅や道に「立ち番を配置」し交通事故や迷子、食べ歩き服装などの指導をしなければならないし、この日は終わるまで終日気を使うのである。教員は学校に居る限り比較的楽であるが、ひとたび校外に出ると大変なのである。
・ 問題は今年の「構成」であるが最終的に「浪曲」となった。文楽、上方落語、沖縄音楽、雅楽、地歌舞など様々なアイデアがあったが「未知分野」として浪曲に落ち着いたものである。正直私の意向だ。
・ 若い保護者もそうであろうが生徒にとって「浪曲、浪花節」などは皆目検討のつかない演目で「さっぱり分からない、想像できない分野」であることは間違いない。そこに目をつけたのである。
・ 「出演者は一流」でなければならない。今回は「女流浪曲家として有名な3氏」をお迎えすることにした。まず「春野恵子」さん、1973年ちゃきちゃきの江戸っ子で東京大学教育学部を卒業して2003年大阪の春野百合子師匠に弟子入りした成長株だ。東大卒の浪曲家だよ。興味あるでしょう。
・ 次は大阪生まれで本校近くの東住吉区に居住され2006年文化庁芸術祭新人賞、2006大阪舞台芸術新人賞、咲くやこの花賞など総なめにした「菊池まどか」さんという若手実力派だ。上方落語の定席「天満天神繁盛亭」に浪曲師として初めて出演している売れっ子だ。
・ 最後のおおとりは日本の誇る大御所「三原佐知子師匠」だ。NHKテレビの常連で芸道50年、2003年には大阪文化祭を受賞されている。先生には「映像入り浪曲」と「小講演」をお願いしている。お若い頃のご苦労を「私の人生」として生徒に聞かせてやって欲しいとお願いした。前に一度お聞きしたがこの話しが実に「素晴らしい」のだ。
・ 出演者が何を出されるかはまだ明らかに出来ないが、中学生にも分かるように考えて欲しいとお願いしている。きっと今回の企画は「面白いものになる」と思う。午前午後の2回だから会場の席に些か余裕があるのでまずPTA保護者、お付き合いのある取引業者、近隣の老人ホーム、我孫子、杉本町の商店連合会や近隣の団体など「本校がお世話になりご迷惑を与えているところにご招待状を出す」ことにした。私のブログの読者も無料招待だ。
・ このようにして些かでも地元に還元できればと思っている。特に9月21日は日曜日だから保護者におかれては2時間程度の催しものだからお足を運んで頂ければ嬉しい。生徒を通じてプリントを配ることになろう。
・ 学校側の体制は責任者がK教頭とし実務担当はM教諭、事務が補佐役として入れば良い。後、丁度1ヶ月あるので諸準備に抜かりなく進めるよう指示した。「成功を祈りたい」。私の関心は「浪曲」というものが「生徒にどのように受け止められるか」ということだ。古臭いと感じるだろうな。しかし若い世代に今人気があるのだ。
・ 中にはこれで「一生浪曲など耳にすることはない」生徒も出てこよう。それだけに触れさせてやりたいのだ。「未知を知る、未経験を体験する、実はこのことこそ教育の本髄」ではないか。そのように信じている。「楽しみ」である。