2008年8月29日金曜日

8月29日(金)イントラネット第2弾

・ 「教員給与減額へ」と小さいながらも過日の夕刊で朝日が報じている。しかしこの記事は見落とせない大きな意味がある。「文部科学省は来年度の概算要求」で「教員給与をマイナス要求」する方針を固めたとある。担当部署が概算段階で予算のマイナスを要求するとは「厳しい話」だ。今まで文科省は教員給与の充実を求めてきていたのに完全に動きが異なる。
・ この背景は今まで何回もブログにおいても触れてきているが要は公立学校の教員は一般公務員にくらべて「給与優遇が法律で義務付けられている」もので、この優遇をやめようというものだ。
・ 即ち義務教育等教員特別手当を本給の3%分から2.2%に引き下げようとしている。この手当は07年度までは3.8%であったが08年度は3ヶ月のみ3%としていたものを通年に拡大するもので合計75億円の減額となる。徐々に引き下げてきている。
・ 田中角栄元総理の時代に名法律と謳われた「人材確保法」が確か昭和48年だから35年で完全に低下の方向が確認された。「メリハリのある教員の給与体系」が背景にあるのだが組合側の反発は必死だろう。しかし最早この流れは止められない。
・ 逆に校長や教頭の「管理職手当は引き上げ」5億円の増額要求、「特別支援教育」に携わる教員に支払われる調整額は4億円減額するため差し引き1億円の増加だが要は「仕事の質で支払うというメリハリ」だ。
・ 組合が幾ら文句を言っても「出せないものは出せない」のだし、大阪府にとっては先の「橋下改革で職員の給与が10%減額」となるからダブルパンチだろう。私学も「対岸の火事」ではない。もろに影響が出てくる。いや既に出始めている。
・ 「セイムワーク・セイムペイ(同一労働には同一賃金)」の原則からすれば次に私学に話が及んでくるだろう。教育公務員は来年度以降調整手当は2.2%となるが「本校は現在3.8%支給」しており、他の項目もあるので単純比較はできないが、いずれ棚卸ししなければならない局面があるかもしれない。
・ こういう情勢下ではあるが浪速は9月1日以降「勤務時間管理に関して新たな局面」に入る。学校社会で「残業時間管理」に入るなどは「画期的な試み」である。名実共に「公立学校準拠」から「労働基準法下の私立学校」として勤務時間を捉えるのだ。
・ 今まで何回となくブログに記述し「教職員の意識改革と府民保護者への訴え」を行ってきたがようやく本番に入る。感無量である。着任以来1年と8ヶ月ここまで到達した。キーは「個人パソコンの供与」であった。これがなかったらここまでとても来るわけには行かなかった。
・ まず校内メールシステムを整備し、各種申請業務などを「イントラネット」として整備した。そして今回の「勤務時間管理」だ。この間の内容は「すべてノウハウ」に相当するからおいそれとは外部に開示できない。
・ ただ9月1日以降は「勤務中」「非勤務」「クラブ指導中」が明確に時間管理されるようになったということだ。出勤してパソコンの電源を入れ直ぐに勤務に入る場合は「勤務開始」のボタンをクリックすれば良い。極めて分かり易いシステムだ。それと管理職はその日のあるいは特定の日の全教職員の勤務状況は一目で把握できる。
・ 又「特定の個人名で検索」すればその人間の過去に遡った勤務状況が分かるようになっている。これで「職員の労働時間管理」に役立てることが出来る。要は組織の管理者は所属職員の労働負荷について把握しておかねばならない「労働基準法の精神」に沿うことが出来るようになったのである。
・ しかし運用を誤ると「肥大した残業時間」となる。これは避けなければならない。何回も書きているが「残業」と「残留」は異なる。あくまで「上司の許可、指示が条件」である。又システムについても修学旅行付き添いなどは「特殊勤務」と位置づけている。
・ 「クラブ指導と公式戦付き添い」についても区分しており、今回は「業務委託」の考え方を顧問弁護士の意見から取り入れている。勤務時間内、外の教員の講習は「受益者負担」として「兼職兼業」を認めることにした。
・ 従って主体は「分掌業務に関わるもの」が対象となろう。教職員には初めてのことで理解しにくいかもしれないが「残業時間管理とは仕事の進め方の変革」を意味する。分掌の人間が集まって放課後「何時間も会議をして」それを残業としたら総計時間は膨大なものになる。
・ 「仕事の進め方」に工夫を凝らし、「司、司が決めていく」「周知徹底は校内メールで」ということもテーマによっては必要となってくるだろう。とにかく学校というのは「全員が一同に会して物事を決めていく」というスタイルにこだわるが、それでは何時になっても仕事は減らない。
・ 「決めるべきところが決め、それを全員が実行」していくという考えが大切だ。勿論今回の新制度への移行で「教職員に対する残業代の支払い」は当然であり「予算化」もしているがそこには限界もあることを知らねばならない。
・ 「残業代を稼ぐという概念」は間違っている。仕事を整理し、過重労働から解放され、ゆとりある職場生活を達成するための労働基準法である。結果として定時外に行われた労働時間に25%の割増対価をつけて「時間外労働時間対価」を使用者側は支払うものである。
・ 本校の教職員は今までの校長日記に記した「一連の経緯と方針を熟読」し頭に入れて対応して欲しいと念願している。もし実態が異なる方向に向いてきたら「公立教員と同じように教員調整額を減少し最終的に廃止」していかねばならない。こちらの方が影響は大きい。
・ すでに事務職員は3.8%の調整手当は完全にこの4月から削減されており、それでも我慢して頑張ってくれている。本システムが上手く機能し、本校の教職員が「浪速は良い職場」だと思って頂けるように頑張って参りたいが、とにかく全員の意思が揃わないとこういう新しい制度は上手く行かない。期待している。各管理職は徹底して推移をみていかねばならない。