2009年5月19日火曜日

5月19日(火)臨時休校の余波

・ 朝一番に広報情報委員会のT先生が「昨日のホームトップページのアクセス数」を持ってきてくれた。「過去の記録は3月のネットでの合格発表」の時であったが、この時を別格とすると「新記録」となった。「緊急連絡の設定は大成功」であった。又この日の「校長日記」はネット発表日の数の1.4倍となっている。名実共に新記録である。
・ ところで校内に生徒が一人も居ないというのは本当に「静か」である。静かさを超えている。「物音一つしない」というのが実際的な表現である。「冷え冷え(ひえびえ)」としていると言っても良い。日曜や休日では部活動などで生徒の姿は見えるものだが、全く見えないというのも「寂しい」ものだ。日頃生徒数が多いだけに尚更に感じる。
・ 結局のところ昨日の休校決定から「全校生徒の健康状態を把握」するのに今朝までかかった。昨日は中間試験開始日であったが、約20%の生徒は朝登校してこなかったのである。それを追いかけるのに大変だったのだ。それには要因がある。
・ 来なかった生徒はテレビの報道で「休校になるな!」と踏んで学校に出て来なかったのである。「学校ホームページ」を見て確認したのはまだ良いほうで、「テレビニュースを聞いて」勝手に休校と思い込んだのも居たのではないか。「とにかく学校に行って見よう」と考えるのが普通の感覚だが、「無駄になる」と「無駄を省くのが美徳」だと思う向きも「当世風」なのである。
・ 今朝の新聞ではある公立の教員がこのことを問題にして投書をしていた。知事や府教委が現場のことを考えずに一方的に朝早くから「休校措置を発表」したものだから、同じように学校に出てこない生徒が多くて困ったと書いていた。しかし昨日の夕刊によれば大阪府も厚生労働省からの要請で「ギリギリの知事の決断」だったと言うことがわかる。
・ 学校の中には出てくる生徒を待ったり、来ない生徒への連絡の仕方など確認しようがなくて教室に閉じ込めたまま昼前になってようやく帰宅させたなどあったらしい。特に「家庭学習の教材」を渡せなかったりした学校もあるらしい。浪速中学校は「郵送」した。家で遊ばせる訳にはいかない。
・ 又「伊丹空港」で北海道行きの修学旅行で飛行機に乗り込む寸前に「取りやめ」の指令が入り「泣く泣く」学校に戻って行ったとか、「新大阪」でも同じような光景が見られたと今日の新聞にある。生徒にとっては「生木を裂く」ような酷い話だが長い人生にはこう言うこともある。可哀想だが仕方がない。出発しても「大阪から来たー!」と言って「閉じ込められ」食事も出して貰えなかったかも知れない。
・ まずは全校生徒を集め、しっかりと事態の説明をし「休校中の注意事項」などを持たせて帰らせるのが筋で「現場無視も甚だしい」と先の投書者は歎いていたがこれは分かるような気がする。しかし「非常事態」で先例は無いから仕方がないわな。それよりも私はこれだけの大阪府内の全学校が「粛々と休校に移行」したのは立派で「キスカ撤退作戦」に匹敵する「橋下知事の求心力のなせる技」だと評価している。「知事の力」ってつくづくと凄いなと思う。
・ 7時30分にホームページにアップしたのでそれを見た生徒は学校に出てこなかったのであるが、次回からの「反省事項」だ。一旦学校に来させてから「帰す」と言う手が本筋だろう。次回と言ってもこのようなことが何回もあっては困るが・・・。
・ 現在本校には総勢1854名の生徒を数え、とにかく多い。中学289名、高校生1565名である。常勤講師以上の先生でこれらの数の生徒の全てを把握するのだから正直「大変」なのである。
・ 学校に来なかった生徒を中心に「健康状態」を把握するにはまず「電話」である。ところが電話が繋がらないケースもあって結局昨夜の22時になってようやく1名を除いて把握できたのである。電話をしてもつながらないと言うのは「誰も居ないか」「電話口に出ない」かのどちらかである。
・ 最後の1名については結局昨日中には把握出来なかったために担当の先生が今日朝早く「家庭訪問」となる。そして朝九時半ようやく生徒と保護者にも「面会」出来たのである。私はその報告を受けて「ホッ」と一安心した。早速まとめて大阪府へ報告となる。
・ これで本校では今朝現在「感染疑いのある者」は一人もいないことが把握できた。一人熱がある生徒が居るのだが、しっかりとした保護者でちゃんと医療機関に見せて「陰性」で普通の風邪だと確認できている。もう熱も下がっているとのこと。
・ 保護者連絡で言えることは、まず基本的に今日ご自宅にいて「一日中家事だけしている主婦」は少ないと思ったほうが自然である。様々な理由があろうが自営業、フルタイムのお仕事、パートタイムのお仕事など色々だ。
・ だから臨時休校にしたところで、生徒は家に帰っても「誰も居ない」ということである。昨日のブログに少し書いたが、今朝の新聞も幼稚園、保育所、小学校児童を抱えたお母さんは学校が休校になって「困った、困った」ことが報じられている。働くために「子どもを預けて呉れる場所」がなくなったからだ。
・ 又現象として「カラオケ」店が高校生で満杯になったという。中には「高校生お断り」の張り紙を出しているところもあった。本校も生徒指導の先生が近隣を見回ってくれたがさすがに昨日は見かけなかったという。
・ しかし今週土曜日まで休校だから、橋下知事の言うように「生徒の皆さん、家で静かにしておいてください」と言われても「無理だろう」と思う。明日くらいから「要注意」だ。友達同士、連絡しあって落ち合い、遊びに出かける可能性が高い。
・ いまや学校は生徒にとって唯一の「居場所」となっており、家に帰ってもお母さんは働きに出ており、留守で、自分ひとり「ジーッ」と家に篭っているのは苦痛以外の何物でもない。家にはおじいちゃんやおばあちゃんも大体居ない。まさに「核家族化」しているのである。
・ 臨時職員会議を行い、教職員は特に「健康管理に留意」して欲しいと伝えた。午前中は学校に来て貰い、特段状況に変化が無ければ午後からは「静養と健康管理の為」に「有給を取っても構わない」と言ったのである。「教材研究」も自宅のほうがはかどるかもしれない。生徒もいないのにじっと席に据わっているのも可哀想と考えたからである。
・ ただ有給を取っても「居場所連絡体制」だけは確実にしておいて欲しいとも述べた。本校の教職員が学校の休校中に「有馬温泉」や「住之江競輪場」に出かけてそこで「新型インフルエンザ」に罹患したとなったら「不味い」からである。
・ 政府は幾分「現在の対応基準」が厳しいということに気付いて、「何とか緩和措置を検討する」と言い始めたが今後どのような展開をしていくのかサッパリ想像も出来ない。日本国内1億2000万人の人口で163人程度の罹患がこれほど世の中を騒がすような事件なのかどうか私には未だに理解できない。
・ 橋下さんも「まさかここまで影響があるとは・・・」と思っているのではないか。新型インフルエンザで大騒ぎの日本を外国の特派員が見たら「不気味な国民」と感じていると思う。私はそのように感じる。
・ 今日は「公認会計士の監査の日」であったが2人の先生は部屋に入るなり「マスクして良いですか」と断わって話し始めた。まず相手に「断わるものらしい」。お顔の感じは「私からうつされないぞ」と書いてあるみたいだ。私は言ったのだ。「新型のウイルスは保有していないがそれよりも強い毒性のウイルスを私は持っているのでマスクをどうぞ」と。
・ 事務長を入れて「大の男4人がマスクをして話している姿」もおかしいと我ながら思った。今まで長い間生きてきたがこのような経験は全く無かった。私など眼鏡をしているので「眼鏡が曇る」し息が苦しくなる。しかし相手が外さないので最後までこちらもつけたままとした。「何時までマスクをするの?それが問題」だ。