2009年5月26日火曜日

5月26日(火)大学及びその周辺の当世的事情ー教育費

・ 前にも書いたが「多聞小学校を買収」したとき、「浪速さんは小学校を始められるのですか」と聞かれたことがある。「囲い込み」のために「浪速小学校を開設」するのも悪くはないなと思ったことは事実である。最も単なる気分のようなもので深く考えての話ではない。
・ 小学校を持つのは「余程の財政基盤が必要」であり、「ノウハウ」も必要である。「中学校や高校とは異質の難しさがある」のではないか。精々3クラスか4クラスでそれも6年間面倒を見るのであって、私などには「想像のつかない世界」である。
・ ところが今や「関関同立と言われる名門大学」は小学校を併設し「囲い込み」というか「エリート教育」というか、「大学が小学校から大学まで一貫コース」を有すると言うのは「時代の流行」なのである。最も関東では慶応幼稚舎とか学習院幼稚園部とか今に始った話しではないのであるが。
・ ところで現在「大阪府の私立小学校」はこの4月に開校したところが1校あるので、それを含めると「17校」ある。新しい私立小学校というのは「四天王寺学園小学校」である。例の藤井寺球場の跡地に作った四天王寺学園の系列である。
・ この小学校を見ると何か「慶応小学校」とか「学習院小学校」みたいな感じがする。これくらいインフラを固めて、素晴らしい校舎にてようやく「囲い込みに入った」というところであるが、今年は1年生と2年生からスタートしたのではないか。とにかく藤井寺市に素晴らしい施設の私立中学校が誕生した。
・ この学校のホームページを見ると「自信に満ち溢れ」ているのがよく分かる。授業料も安くは無い。四天王寺学園中学校、高等学校も大阪を代表する私立学校で、「系列の大学」も有しておりこれで「小学校から大学までの一貫学園」になった。

・ 一方全国に広がる「公立の中高一貫校」は明らかに私学を意識した内容と成っており、当初の「ゆとり」とか「多方面」とかではなくて「進学実績重視」と成ってきている。2002年の岡山県立岡山操山高校、2003年の滋賀県立守山高校は卒業生を出し始めているが素晴らしい進学実績を出してきた。
・ 今後04年以降の千葉、小石川、洛北、宮崎西などの伝統校から卒業生の実績が出始めれば、なだれをうって「公立中高一貫校がブーム」になってくるだろう。このことで何が起きるかとなれば結局のところ「塾業界が活気付く」のである。実際のところ「大手塾には公立中高一貫対策コース」などが設けられ「活況」だという。
・ 元来「塾業界は私立高校との連携で発展」してきたがこれがさらに「公立受験と言う新たな受験層の拡大」ともなればますま「私学のポジションの厳しさ」を認識せざるを得ない。「大変な時代なったものだ」。
・ 完全に「教育格差は親の経済力格差」と相関してきた。「狭き門」を潜り抜けるには塾予備校、そして少数の公立進学校、公立の中高一貫校への「受験勉強」、そして私立小学校中学校、高校、私立大学となってきたら一体全体「教育費」はどうなっているのか。
・ 大学卒業までの教育費は「すべて国公立でも860万円」という。「小中高は公立で大学のみが私立の場合は1250万円」、「小学校のみが公立で中学校から私立となると1600万円」、「すべて私立となると2300万円」という。
・ 以上はAIU保険の調査結果である。食費などの「基本的な養育費と教育費」を合わせると「中学校から私立で大学が理系なら3800万円」というから「家一軒の値段」である。とにかく授業料は上がり続け国立大学でも30年前の14倍の53万円、私大も5倍もの83万円が平均となった。
・ かっては「貧しくとも学ぶ機会」はあった。弟妹を養うために中学を中退し高卒認定に合格して働きながら大学に進むとか色々なケースがあった。「支援する制度は確かに機能」していた。しかし今やそのような話もあまり聞かれなくなった。
・ 東大の大学経営・政策研究センターの調査によれば「4年生大学への進学予定率は親の年収が1000万円超えだと61%」だが、「400万円未満だと34%」に留まる。所得格差の固定化がまさしく心配される。「お金のない家の子はそのまま循環される」というのだ。
・ 「貧乏」が故に人材が埋もれてしまう危険性に体が震えるが今「政界で話題の世襲議員問題」なども同じ理屈だろう。「地盤、看板、かばん」のない一般者が議席を得るなどは極めて困難になってきており政界に人材を得ないひとつの理由になっている。
・ とにかく「親が子どもの教育費に一財産費やす現代の日本」はやはりおかしい。親の経済負担をとにかく減らすことが緊急の課題である。これは資源のないわが国の「知的財産立国」「人材立国」を打ち当てるためにも「絶対に必要」である。誰もが分かっているこの対応になぜ故政治は動こうとしないのか。
・ 「教育にもっと公費を使え!」と私は叫びたい。在校生一人当たりの教育費は国と地方を合わせてもOECD加盟国で米国が1位、日本は8位だ。公共事業といって農業土木に税金を使うよりももっと建設的創造的な投資は「教育費」であることは間違いない。
・ ただ教育問題は実は最後の関門「企業側」にもあるのである。今だに企業の有する「学歴神話」は大きい。「大学名で選別する危険性」にすべての企業が早く気づき、出身大学や面接で分かるのはほんの一部分だと知らねばならない。
・ もちろん文科省や大学サイドにも責任はある。一部の大学に学生が集中するのはおかしいとしなければならない。学部を増やし、定員を増やしまさに大学は「仁義なき戦い」にある。ようやく大学の中には授業料の値下げや奨学金の充実化などの動きがでて来たが高校サイドは大歓迎する。
・ 私は今教育界は「戦国乱世」だと思っている。「個人の思いと一私立学校の経営者との立場で天秤」にかけながら動いている。「新校舎建設で膨大な資金が必要」だが公金は一円も出してはくれない。このお金も大きな意味では保護者の教育費である。
・ 「 教育に対する姿勢と公約、マニフェスト」を今度の選挙ではしっかりと見なければならない。2000万も3000万円も教育費がかかる日本をとにかく変える努力を国民問題として議論が盛んになるのは一体何時ごろになるのであろうか。このように考えれば気が滅入るが何もしなければ何も変わらない。私は私の出来る範囲で「意見を発信」しなければならない。