2009年1月8日木曜日

1月8日(木)新春拝賀始業式の朝に起きたこと

・ 世の中にこのようなお方も居られるのだと今更ながら、「人生の妙味」「人情」というものを感じた日となった。今日は「新春拝賀始業式」当日である。こういう日は「勝負の日」として私は、朝は6時30分には学校に入っている。「仕切り時間」をたっぷり取るのだ。
・ 服も「和服に袴をつけた準礼装」とした。ただし羽二重の黒紋付ではなくて「つむぎの新潟小千谷の松煙染め」に「仙台平」の袴、羽織は「西陣お召しのひとつ紋」とした。気合が入っているのだ。「私の勝負服」だ。昔は「勝負ネクタイ」としていたが、最近変えたのである。
・ 7時過ぎに秘書が入ってくる。彼女も今日は洋服を決めていた。朝早くから「来客」という。「この時間に来客?」と当然聞き返す。アポなしであったが「30秒でもお会いしたい」と言われるので校長室にお招きしたのである。
・ お年の想像は書くまい。「人間に品格」を感じる妙齢のご婦人だ。会社を経営されておられるという。実はこの方のお孫さんが本校の生徒である。「達筆」な6枚の原稿の入ったお気持ちを込められた「封筒入りのお手紙」を頂いた。「今、読んでよいですか?」と了解を求め、席をお勧めしたのである。
・ 詳細は書くまい。ただ私のブログ「校長日記」を必ず朝に読んで仕事に取り掛かると言われ、学校の事情に当然のことながら精通されておられる。そして「多聞小学校」のことに話が行く。
・ 「実社会出身の校長先生だけあり、目線の違いを感じます。私はずーと実社会で事業に携わって参りましたのでとても実感を覚えます。」そしてお手紙は知人の方が千早赤阪村出身で多聞小学校と深い関係があることなどを詳しく書いておられる。
・ そしてこの多聞小学校に関係されているこの方の知人のお二方がなんと本校の理事長職務代理の道明寺天満宮の南坊城宮司とこれまたお互いが良く知っておられる間柄でお手紙にはそのことにも触れておられる。「縁の大切さ」を強調されておられるのである。
・ 廃校なった多聞小学校には多聞小学校出身たちで「白梅会」という組織があり、白梅会というのは多聞小学校には「立派な梅の木」がありそこから名づけられたという。今あるグラウンドのジャングルジムはこの先生が多聞尚学校に始めて教師として赴任した時に「私が作ったのです」とお手紙にはあった。
・ この篤志の女性は「とても深いきずな」と表現され、末尾には、「こんなに素晴らしい学校、こんなに熱い校長先生」「そして誠を尽くして下さる先生方」とある。「孫は幸せ者やなー」とつくづくと思っていると。そして追伸の部分が圧巻なのである。
・ 「わずかですが同封のお金は毎日1000円づつ、感謝を込めて何か世の中のお役に立つことがあったらと数年前からやっていますが、今年は是非浪速さんにご寄付して「多聞小学校の改装」にお役に立てていただきたい。「嬉しい嫁入り先」が決まりました。」
・ そして「1000円札で365枚、合計36.5万円」を頂いたのである。1000円札でぴったり365枚が何ミリになるか、ご存知か。私は測ったのである。新札ではないから少し膨れているのでそれを押さえつけて測ったらなんと36.5ミリだ。この偶然にも私は驚いたのである。
・ その間、時間にして5分弱、仕事がありますからと急いで立ち去られた。最後に立ち上がりながら「校長先生は想像していたとおりのお方でした」とまで言われた。
・ 私は感激というか「感動」したのである。お金をご寄付して頂いたことには勿論嬉しくて感激するが、このような「生き方」についてである。まだまだ自分の未熟さを痛感し、責任の重さとやりがいに身震いしたのである。「心から感謝」した。口先だけではない「心を震わす感謝の気持ち」である。
・ 8時30分からボツボツと来賓が来られる。理事者も入って来られた。千早赤阪村の松本村長は結構早くて、次いで理事長職務代理が揃われた時に私はまだ「感動覚めやらぬ面持ち」でこのお手紙をご披露したのである。
・ 当然であるが他の理事も含めて皆さん、感激のご様子で特に松本村長は「感じ入った」状況であったのである。私はそれを学院神社の御前にお供えしご祭神にご報告し魂を込めた。
・ 「新春拝賀式は見事に終了」した。ただ司会進行を勤めた神道科の先生は慣れなかったのか「すべって」ばかりいたが,目出度い日だし、素晴らしい感動をしたところだから、その後でも私は「何も言わなかった」のである。今日は優しいのである。
・ 斎行した神道科の主任教諭は上手くやってくれた。「当たり前だ」元来神道科の重要な学校行事にと私が格上げしたものだ。今後永久に新春拝賀式は神道科で斎行だ。「春と秋の例祭」は学校法人の行事だから、今年度からは理事を務める神社から御奉仕して貰うつもりだ。理事長職務代理に調整をお願いしている。
・ 「正装した女生徒4名による神楽舞と雅楽部の演奏」は凛としてそして華麗な良い雰囲気を中庭に醸し出したのである。特に3年生の女生徒の2枚の扇を使った舞は素晴らしいものであった。神社のお嬢さんであり、京都の先生について習っているというからうなづけるのである。
・ そして始業式になって私は今日もワンコーラスだけ「青葉茂れる桜井の」を1700人の生徒の前で「熱唱」したのである。2学期の終業式よりは「生徒からの拍手」が数倍大きかった。そして今朝ほどのお手紙のことを生徒に披露し、「皆が良い生徒だからこのようなプレゼントがくる」と共に喜んだのである。生徒は365枚の1000円札という事に気が惹かれているのが壇上で良く分かった。
・ 生徒代表に「お菓子のお年玉」を渡し、始業式は終了。急いでカフェテラスに移動して「臨時PTA拡大役員会」に出席する。そこで「直会」でぜんざいを食べているPTA役員に「多聞購入の経緯と有志による些かのご寄付のお願い」をしたのである。
・ これは施設購入費に回すのではなくて「多聞ファンド」に組み入れて「頑張る教員への支援ファンド」とすると申し上げたのである。PTA会長以下「異存などありようもなく」大賛成で保護者も今回の多聞については「PTAも嬉しい」との声ばかりであった。勿論「多聞ファンドの第一号入金はこの1000円札で365枚」であることは当然である。