2009年1月20日火曜日

1月20日(火)その2:東京都君が代問題

・ 「君が代不起立の元教諭、都の再雇用拒否 違法」との東京地裁判決が出た。20日の朝刊各紙の扱いは小さいながらも以上のような記事にしている。驚いたのは「実名入り報道」だ。新聞各紙もこの人と同じく覚悟した行為なのだろう。
・ 「卒業式の君が代斉唱時の不起立」を理由に「再雇用を拒否」されたのは「違憲違法」だとして元東京都立高教諭の申谷雄二さん(62)が都に賠償などを求めた訴訟で東京地裁は19日約210万円の支払いを命じたとある。渡辺弘裁判長は「不起立をあまりに強調する一方、他の事情を一切顧みず著しく合理性を欠く」と判断したのである。
・ しかしおかしな判決だ。とにかくこの季節になると「卒業式の国歌斉唱国旗掲揚問題が日本の学校にうごめきだす」。こんな国はあるまい。同種の訴訟騒動では都側の勝訴が07年6月に、敗訴が08年2月に出されているがいずれも「控訴審審理中」である。お互いが一歩も譲らない確信犯的行動なのである。都教委も簡単には引き下がれないのだろう。
・ 判決によると申谷さんは都立南葛飾高校に勤務していた04年3月の卒業式で君が代斉唱時に「起立せず」戒告処分を受けた。公立の教員は定年になっても再雇用制度があり、希望者の殆どが「非常勤で再雇用」されていたが、この人は07年3月の退職時に「不合格」となったのである。
・ 判決は「都教委の判断は制度の趣旨や従来の採用判断のあり方からも大きく逸脱している」と指摘している。要は「再雇用の拒否は裁量権の乱用で違法」としたのである。従って再雇用したものとして報酬1年分の210万円の支払を命じたのだ。
・ しかし同時に君が代斉唱時の起立を命じた「校長の職務命令自体は合憲」として再雇用を求める「訴えは却下」というから分かり憎い判決だ。言ってみれば「校長職務命令は正しいが、事を荒立てず、まあ1年分の給与くらいは払って手仕舞いにしたら。」と言ったところか。

・ しかしおかしな話だ。「私が裁判長」なら以下のように判決する。

 「主文:原告の訴えを全面的に棄却する
判決理由:公立学校の教職員はまず公務員として採用された時点で提出した日本国憲法を守ると言う責務がある。これは法治国家として法令を遵守するということである。法令である学習指導要領や教育委員会から通達された法的根拠として明確に規定された卒業式の国旗掲揚国歌斉唱に成長発達過程にある生徒の見ている眼前で起立しないとう行為は公立教員に禁止されている政治イデオロギーの学校現場への持ち込みと見られても仕方がない。
  原告の要求する憲法に規定された思想信条の自由とは当然保護されるものであるが公教育に携わる立場の教員にあっては時に「内心の自由」にとどめるべき場合もあってしかるべきである。原告は自分の給与の原資たる税金の納税者たる保護者の前でかかる行動をかたくなに取るが、保護者の中には原告と同じ考えを有しない人が居るだろうし同じような考えを有する人もいるかもしれない。しかし参列した保護者は原告のような行動を取っていない。即ち「内心の自由」にとどめているのである。
  原告はどうしても自分は起立ができないと言うことであれば式場内に入室しないと言う手もあったし、国歌斉唱が終わってから入室する考えもあった筈である。そういう行動を取らず万座の前で不起立を通すと言うことは明らかに成長段階にある生徒に対する政治的示威行動であると見做されても仕方がない。
  原告はかかる騒動を起こしているにも関わらず、定年退職後に引き続いて「再雇用」を望んだと言うことであるがこれは社会的常識を大いに逸脱していると一般的には解される。そのような教育現場で混乱や問題を与えようとする教員を「継続して雇用」する組織など一般的に世の中にはないと考えるのが普通であり、かかる騒動を起こした上にその職に留まりたいと言うのは非常識であって、原告は少なくとも原告の取った行動の結果責任として自ら再雇用を望むのが不自然と感じるべきと考える。
学校社会と言えども一つの組織であり不起立によって被告は満足したであろうが厳粛であるべき卒業式を混乱に落としいれ、多くの参列者に不愉快な思いをさせたと言うことにも考えを及ばせて欲しいと思う。時に大勢に順じ個人の感情は抑えると言う態度こそ組織の秩序維持には必要である。原告の定年によって原告の当該職場での政治行動は終焉したと考えることが重要で雇用をする側からすれば又卒業式で不起立に動くであろう原告の再雇用を拒絶することは東京都民のマジョリティの思想に合致すると考えるのが相当である。国民の80%以上が日の丸を国旗を認め、君が代を国家として受け入れているのである。したがって再雇用の拒否は違法とは言えず裁量権の範囲内である。以上が判決主文である。」

・ ここで裁判長は静かに原告に問いかけるのだ。「先生、そんなに自分が住んでいる国の国旗や国歌がお嫌いですか。先生の教え子の晴れの卒業式にそのような行動を取って先生の生徒さんはどのように感じるでしょうか。生徒や保護者が先生の取った行動でどれくらい複雑で悲しい思いをしたのかお考えになったことはありますか。会場に入らねば良かったではありませんか。そういう凝り固まった思想信条を有する限り再雇用を望むのは無理があると思いませんか。退職金を沢山貰われたはずです。もう学校で働くことは諦めて、何処か遠くの山の中で山紫水明を友とし、日の丸や君が代のない世界で余生を送られたら如何ですか?