2009年11月20日金曜日

11月20日(金)財務諸表の完全公開




・ 一体あの学校は「生徒数が少なくなって危ない」と噂されているが「本当に大丈夫だろうか」。そういうところに「子どもを行かせて大丈夫なのか」などの不安は当然保護者にあって当然である。
・ あの学校の「教職員の人件費比率は一体帰属収入に対してどうなっているのか」、「教育環境整備」に金を使わず「教員の給料に消えている」のではないかなどの声が聞こえてくるとややこしい。特に橋下改革の影響で公立教員が10%給与削減され私学も助成金が大きくカットされてきている現在、「学校財務情報」はますます学校経営の状態把握にとって重要である。
・ 「あの学校の財政状態」はどうなんだろうと言う疑問に答えるのは助成金と言う公金が入っている私立学校としては当然な責務だとも考えることが出来る。又教育活動以外に学校法人が「収益事業」として例えばリゾートホテルを経営したりするために銀行借り入れをしているとか放漫経営を理事長がしているとか監視機能が求められるのも世の流れだと思う。
・ 学校法人の経営にはその本分である「教育研究活動」を世に問うことが第一でその具現化のためには学校法人の財務基盤の維持が課されており、特に「学校法人会計基準」に従って適切に「会計処理」をしなければなりません。
・ このような流れを受けて平成16年「私立学校法の大改正」が行われ平成17年4月1日から施行された。時期を合わせて学校法人会計基準も比較的大きな改正が行われたのです。
・ 特に大きな部分は「財務諸表の供覧義務」であり、この意味は「在学する者その他の利害関係人」の請求があった場合の「情報公開義務」です。しかしながら実態としてはまだまだ積極的に開示している状況ではないことも事実で、例えば大阪府の私学で言えば開示しているところはない。
・ かろうじて学校法人四条畷学園がホームページ上に以下のように書いている。「本学園では私学法第47条の規定に基づき、本学園に在学する20才以上の学生の方、及び本学園全在学生の保護者の方に財務諸表の公開」を行っています。公開している具体的なデータ、その他お手続き等につきましてのご照会は四条畷学園法人事務局までお電話を下さいというものだ。誠意を感じる。
・ しかしなんと言っても優等生は東京の「品川女子学院」である。ここは文科省からも高く評価されている女子の中高一貫校であるがとにかく「凄い」の一語だ。お時間のある方はこの学校のホームページを参照されると良い。ここまでやるとは感動に近いものを私は感じる。
・ ということで品川女子学院とまでは行かないが本法人もホームページ上に財務情報を開示することにした。本日からアップしている。開示している内容は「資金収支計算書」「消費収支計算書」「貸借対照表」である。更に私立学校法の規定から「財産目録」を作成して事務所に備えなければならないとされている。
・ 資金収支計算の目的は当該年度の全ての収入及び支出の内容と「支払い資金の収入支出の顛末」を明らかにするものである。消費収支は「均衡の状態」を明らかにするものである。
・ 貸借対照表は法人の「資産、負債、基本金、消費収支差額を明示している表」で言ってみればまとめの表と言える。ポイントは消費収支の差額が赤か黒かであり赤であれば「赤字決算」でそれが続くと「累損」となります。
・ 平成19年度の本校の財務諸表を御覧いただければ平成19年度の本校の学校改革の足跡が実に明瞭に把握できます。これが素晴らしい。数値で裏づけされています。18年度まで続いていた遂に支出超過が解消されて単年度収入超過となり繰越消費支出超過(累損)が現象に転じました。時間がかかるかも知れませんがそのうちに「累損を一掃」します。
・ 収入の増は学生生徒等納付金の影響で平成18年度が1250名から平成19年度は1497名に増え、1億2434万円の増加で如何に「私学にとって生徒数の増が経営に影響するか」が分かってきます。
・ また19年度の収入のうち、資産売却収入は和泉市上代の学校用地を売却したものでこれも19年度の大きな特徴であった。肝心の人件費は本校教職員、常勤、非常勤、役員の総額で9億4640万円となり帰属収入に占める人件費割合は64.9%と完全な「健康体」を取り戻しています。
・ 18年度のそれが83.5%でしたから如何に「学校が変わったか」を証明するもので今このエネルギーが「新校舎建設」へと向かっているのです。この数値がここまで好転というか常識的なレベルになったおかげで保護者に対して「授業料の値上げ」をお願いできることになったと思っています。
・ 私立学校を巡る環境は毎日動いています。海の向こうのアメリカでは46歳と言う若きリーダーが誕生しました。「Yes, We Can」を合言葉にキーワードは「変革」です。「Change We need 」とオバマは叫んで大統領になりました。
・ 今回の「財務諸表の開示は大阪府下の私学では先鞭」であり画期的なことと信じて踏み切りましたが「ええカッコ」ではなくて、「改革を後戻りさせない」為の枕木、ストッパーの役目とも考えています。
・ 今本校の教職員にとって大切なことは21世紀に生き延びるための施策としてハード的には「新校舎」、ソフト的には「関西大学との特別連携」です。もう一つ「秘密のXプロジェクト」がありますがこれはまだ明らかに出来ません。(これは多聞尚学館のこと)
・ 教職員に伝えたい。目の前にとらわれることなく先を見よ。そして「自己の職場を守れ」とと私は言いたいのである。雇用不安に陥るような学校にしてはならない。頑張ってくれている若い世代の教職員が安心して働ける職場にしていかねばならない。それが私の仕事だ。「給料が下がった、下がった」と歎きだけの人は本校には不要である。
・ 以上は「2008年11月6日の校長日記」です。ちょうど1年前ですよ。「丁度1年前に私は財務諸表をネット上に公開」しました。ささやかな「誇り」と思っていましたが、このたびようやく外力が働き大阪府の私学課から「行政指導」が全私立学校にありました。 ようやく私学課も動いたかという思いです。
・ 公立高校の授業料の実質無償化に伴って私立高校にも助成金が拡大されることに伴い「経営のガバナンスを問う」という一環として「財務指標の完全公開」が求められたのです。本校で先行したものから更に公開の幅を広くしています。加えて「学校評価の公表」も求められていますがこれも本校では既に実施済みで全く問題ありません。
・ 今政府は来年度予算に向かって概算要求を公開の場で「事業仕切り」として議論していますが「斬新なスタイル」だと思います。公金の入っている会計はすべてこのように「透明性を高める」と言う時代になったということでしょう。
・ 本校は「本日、ホームページに完全財務諸表を載せ」、私たちは「事業内容」についても記載することとしました。これは府からは求められていませんが自主的に行うものです。私は「先見の明」を誇りたいのです。このような私立高校はまだないでしょう。私たちは先頭を切って頑張ります。