2009年11月19日木曜日

11月19日(木)音楽教育







・ 「中学校の学習指導要領」には各教科の授業時数が細かく規定されておりこれは絶対的に守らねば成らないものである。学習指導要領は「法律」であるから。中学校では1年生で年間45時間、2年と3年では35時間が義務つけられている。
・ 指導要領の指し示す教育目標としては「表現および鑑賞の幅広い活動を通して音楽を愛好する心情を育てると共に音楽に対する感性を豊かにし音楽活動の基礎的な能力を伸ばし音楽分野についての理解を深め豊かな情操を養う」とある。全くその通りである。
・ 細かいところでは課題もあるが一応「浪速中学校」では大阪音楽大学大学院修了の素晴らしい非常勤講師の先生に来て貰っての授業があるから、それはそれで問題はない。ただ「中身」については今後充実させ、更に高めていかねばならないものがある。
・ 私は今「尋常小学校唱歌」を一人で深く静かに研究している。これが「実に素晴らしい」のである。元々「歌が大好き」で唱歌から演歌まで「何でも来い」であるが、最近の生徒たちが好む「ポップス系」と言うらしいのだが、あれは「苦手」である。何を言っているのかさっぱり分からないし、「メロディー」も肌に合わない。
・ 入手した尋常小学校唱歌は布化粧入りで第一学年用から第六学年まで6個のカセットテープと歌詞が入っている「完全版」である。勿論「復刻版」だが苦労して骨董市で安く入手したものである。
・ 例えば第5學年用の21番に「冬景色」というのがある。この歌をご存知であったら相当お年を召されているか、この方面に関心がお有りの方である。今の生徒に唄って見せて「これ知ってる?」と聞けば100%「知らない」と答えるだろう。本校でも38歳の中学の社会の先生は全く知らなかった。
・ 高校国語科のS教諭にこの教本を見せて「どう思う?」と聞くと即座に「難しい漢字ですが振りかなを振っているのが大変良い。今はすべて平かな書きです昔の教育は良いですね」との答えが返ってきた。だから昔の人は漢字を良く知っている。
・ そうなのである。昔の尋常小学校の生徒はこのような「難しい漢字と表現方法」を「音楽を通じて身につけていた」のである。冬景色にある「さ霧」とは?、「湊江」とは?深くは分からないまでもこのような音楽教育を受けて「情操を肥やして」行ったに違いない。
・ 「我は海の子」という歌を殆どの年配の方は知っているが昭和61年にこの歌は遂に小学校音楽教科書から姿を消した。私が今回入手したのは明治44年から昭和7年まで使われた教科書であり何か「日本人の精神性」がこの唱歌に宿っているような気がしてならないのである。
・ もっともっと子供たちに「音楽を聞かせ、唄わせ」、私に言わせれば「ゆとりの一時」「故郷を思う一時」「家族を思う一時「友を思う一時」「日本語の素晴らしさ」「生きている幸せ」などを伝え、感じさせて行きたいのである。絶対に「生徒生活指導」にも効果が出てくる筈である。
・ このことは「ズーッ」と前から考えており、昨日今日思いついたものではない。「学校の形」が決まった今、ようやく「温めていたもののリリース」が出来ているのである。「教育の中身の充実」である。私は文部省唱歌全てを聞き、確信したのである。子ども達への「音楽教育を充実」させねばならないと。

・ 高等学校に目をやると、情けないことに本校は「音楽教育を実施していない」のである。芸術では「美術」のみで「音楽」も「書道」もやっていないのである。その理由については定かではない。今となってはもうどうでも良いことである。
・ ただ聞いたところでは昔「」みたいな美術の先生が居て誰も言い出せなかったというのは聞いたことがある。「とんでもない話」である。全て自分たちの都合の良いように教育の中身まで決め、やるべきことをやっていないのである。まして「時間割が組み易い」などの理由はあってはならないことである。
・ 今時「音楽教育の無い学校があるか」。私は恥ずかしいのである。公立高校時代に私は良い思い出がある。高校生の美しいハーモニーの歌が校舎に伝わって流れてきたとき「ああ、自分は今学校にいるのだ」と感慨深いものがあった。
・ その歌は美空ひばりの「川の流れのように」であった。「エエー、演歌?」と思ったが学習指導要領に規定されている曲だという。文科省も「味なことをする」と思ったものだった。
・ かすかに音楽教室のほうから「歌声やピアノ」の音が正門まで聞こえるような場所が学校ではないのか。「平成21年告示の高等学校新学習指導要領」においても「音楽の幅広い活動を通して生涯にわたり芸術を愛好する心情を育てると共に感性を高め、芸術の諸能力を伸ばし、芸術文化についての理解を深め、豊かな情操を養う」とある。
・ 「芸術分野で2単位が必修」となっているが本校では「美術単独で2単位の学校」となっている。それでは上記の学習指導要領は満たされないのではないか。私は強くそのように思うのである。加えて共学5年目を迎えた。女生徒が増えてきているのである。
・ 音楽は「音楽理論」「音楽史」「演奏研究」「ソルフェージュ」「声楽」「器楽」「作曲」「鑑賞研究」が規定されているが、これはそれなりに意味あることで「メニュー」を揃えてあげることが「生徒の為」であると私は考えたのである。
・ 本当は「美術」「音楽」「書道」の芸術3教科としたいが一挙には行かないので芸術2科目とし入学時に「芸術選択」として生徒の意向を聞きながら調整したいと考えている。恐らく割合としては「音楽2対美術1」くらいの生徒割合となるのではないか。早速副校長と教務部長を呼んで検討に入るよう指示したのである。美術の先生にも通告した。
・ 先週には中学校の副校長と音楽講師を部屋に呼んで初めてこの話をしたのであるが、この音楽講師の先生は、毎日欠かさず私のブログを読んでいただいているとかで「お会いできて大変嬉しい」と言われるのである。非常勤講師なので校長室に来るのを遠慮していたと言われた。
・ この先生は現在本校と同じような市内中央部の私立中学に12時間、本校で8時間の授業をしている非常勤講師の先生であるが大阪音大のピアノ科を卒業し大学院を修了された専門家でお話が的を射抜いている。
・ 私は一目で気に入ったのである。本校の音楽教育についてどう思うと聞くも「そんな、音楽教育なんて・・・!?」というお顔をされた。そんなものが何処にあるって感じである。私は少し恥ずかしかったの、ある。
・ 私は早速「浪速中学校、高等学校の音楽教育についてあるべき姿の答申」をして欲しいとお願いしたのである。「喜んでします」と言って頂いた。楽しみである。出来れば常勤講師として「音楽教育の構築」に力を注いで欲しいと私は思っているのだが・・・。
・ 校務運営委員会と職員会議で周知徹底致したい。まず「教員の手配とカリキュラムの作成」、そして「12月理事会の決定事項」であるからその手続きを踏んで「学則」の変更が必要である。「教科書や副教材」の準備もある。来年からは校内で「高校生の歌声」が聞こえることになろう。楽しみである。