2009年11月4日水曜日

11月4日(水)少人数展開







・ 過日「多聞尚学館での学習合宿」の様子を見に行った時に感じたのであるが「少人数講習」という良さの場面を初めてみたような気がする。全国どこでも学校の教室は40人クラスとしており、本校でも実際にもその通りである。
・ ところが多聞ではその日高校1年生の「週末英語セミナー・不定詞対策」の特訓だったのだが2クラスで60人、すなわち30人規模の講習だったのだが雰囲気がとても良かったのである。最も学習意欲の高い生徒と技量の高い英語教師2名だったからかも知れないが、「教室に緊張感」が漂っていて「ウーン、これは素晴らしい」と私は感じたのである。
・ 多聞の教室は若干「縦に長い」教室で一クラス40名以上の講習となると縦長で後ろの方では「白板の字」も見えにくいとなったりするが30名以下だと全員が前に集中して一団になって「教師と生徒が一塊」に見えたのである。
・ 私はこの経験を「校務運営委員会」において話題として出した。先生方も「少なければ少ないほどやり易い」と言われる。「当たり前の話」だが私は体感として初めて知ったのである。
・ 講習を効果あらしめるために今後は時と場合によるが「少人数展開」も考えていくことを内心で考え始めたのである。「やるからには効果あらしめる」ことは当然である。指導教員増というコスト負担にはなるが「コストがかかっても効果が高いほうが良い」と保護者の賛同を得られるのではないか。
・ 来年度以降は「教育活動特別充実基金」を創設することは理事会での決定を受けてPTA役人や1年生と2年生の保護者には先の学年集会でもご説明している。全てはクラブ活動と学習強化のために「生徒へ還元」するものだ。1円残らず生徒へバックする。
・ とにかく学校と言うものの最も重要な単位は「学級」であり、「学級編成」は教育効果や教員数に影響を与える最重要な数値である。国庫負担額にも影響してくる数値である。義務教育と高校教育では少し異なるがすべて厳しく「法令」で規定されている。
・ この法令の規定は戦後からの長い歴史が刻まれており数次の段階を経て今日に至っているのである。今は「標準が40人学級」であるが私の高校時代など50人を超えていた。団塊の世代ではそうでもしなければ教室が足らなかったのである。
・ 「高等学校の編成基準」は幾多の変遷を経て昭和36年11月「公立高等学校の設置、適性配置、教職員定数の標準等に関する法律(高校標準法)」が公布施行され、これがベースとなり今日まで5次に渉る改正となっている。
・ 当然私立高校もこの法律の影響下にあるが私立がゆえに「高校標準法の下、自主的な経営と運営の趣旨から「標準の運用」弾力的」であると私は解釈しているが、基本的には公立と同じ40人学級が標準である。
・ しかし私立の場合その入試システムから公立高校と同じように定員ぴったしの合格入学許可とはならないので実態は40人前後と言う形であろう。今年某私立高校では入学者が予想を超えて多かったために「教室整備」が間に合わず50人学級と言う嘘みたいな話を聞いたことがある。
・ 本法人には浪速中学校を有しているので当然「義務教育」としての教育展開であるが義務教育は高校と違って3年早く法体系が整備されている。昭和33年に略名「義務標準法」が制定されたがここでも標準は40人学級である。
・ ただ義務教育における地方自治体の裁量のために都道府県教育委員会が標準法を受けて「地方教育行政法」の縛りに「基準設定」というのがあるが実際は「標準即基準」で40人より低く設定するところは殆ど無いのではないか。大阪市は小人数に踏み出している。
・ 前述したように少人数学級は教室を増やし、先生の数を増やし電気代などのインフラにも影響を与え、「国の負担金が増える」から言ってみれば「大変なこと」なのである。従って日教組などの職員団体が「35人学級」「30人学級」と叫んでも「ハイ分かりました」と簡単にはいかないのである。
・ しかし世界に目を向けてみるとOECD23カ国の中で小学校では28.2人(平均21.4人)、中学校は33.2人(平均23.9人)とブービー韓国の31人に継ぐブービーメーカーなのである。日本は「一クラスの生徒数の多さが際立っている」のである。
・ 世界のトップはルクセンブルグ15.8人、主だった国で言えばドイツ22.1人、フランス22.6人、アメリカ23.1人、イギリス24.6人だから良く分かるのだがこれは前述の「学級編成基準」の違いによるものである。
・ 日本でも徐々に少子化の流れの中で「教室数が余って」きており「余裕教室」が「後押し」している面もあるのだろうが「少人数展開」が増えてきているが、まだまだである。
・ 仮に学級編成基準を40人から30人に下げたとすれば「教員増」となり、「教員の給与総額」だけで年間8000億円程度が必要となってくるから簡単な話しではないというが私はボツボツ本格的に「30人学級」を考える時期に来ていると今回の多聞訪問で感じたのである。
・ 学力向上だけではなくていじめ、不登校、障害のある児童との混成学級など「教師の負担」は看過できない段階に進んでいると思う事象は枚挙に暇が無い。「少人数にして一人ひとりの生徒に目が行き届く」ようにするべきという意見は徐々に勢いを増している。
・ しかし私は自分自身を苦笑いしている。今までは「少人数など関係ない。それは教員が楽をしようとしているからだ」などと言いかねなかったが、実践を踏むにつれ現実を見るにつれて、「学校の先生に近づいた」のかも知れない。
・ 本校でも学校教育では一挙には行かないが、せめて多聞教育では可能な話であり、出来るところは「20人展開」などあっても良いかなと思い始めたのである。そういうわけで先週は高校3年の理科講習で少人数展開を行ったのである。
・ しかし全ては「お金」がかかる話である。お金さえあれば何でも出来るというのではなくて「手当てをシェア」して呉れれば可能という発想も重要である。先生一人当たりの面倒を見る生徒の数は少ないのだから負担は幾分小さいだろうという知恵は出てくる。多聞手当てに「少人数展開の場合の比例配分方式」の導入は教科によっては必然的となってきた。