2010年1月21日木曜日

1月21日(木)転科・転コースと特待生制度
















・ 年始最初の職員会議で一つの出張報告があった。近隣の「中高一貫先進校の訪問報告」であった。昨年末に予定していたのだが、色々と予定があって遅れていたのである。私はこのように出張して貰ったら必ず「全員の前で出張報告をして情報を共有」するようにしている。
・ 国語と数学の2名の教員がまとめてくれたものであったが、なかなか「示唆」に富む内容豊富なものであった。こういう中から「一つでも二つでも実行」していかねば折角出張した情報が生かされない。
・ 「行きっ放し、報告しっぱなし」というのは教員社会には多い。そして出来ない理由を他に求めるのである。私は最後に「一つでも何か実現せよ」と厳命した。この教員には色々と言いたいことはあるが、良い点は「自分の考えというか、改革のマインド」を有しているからである。
・ この点は副校長とも共通した長所と捉えているし評価しているのだがどうも「細かい部分」に行き過ぎて「コチョコチョ」している感じがしてならない。この先生の課題は自分のことよりも「他の先生をまとめていけるかどうか」である。「私を捨てる」ことが出来るかどうかだろう。
・ 「後輩の面倒見が良い」「資料の作り方が上手い」など一杯良いところがあるのだから、齢50、もうボツボツ「熟成」には入るお年であろう。期待しているからあえて「辛口の批評」だ。「朝読書事件」で相当反省した筈である。
・ 組合的発想に引きずられて大きな失敗をした。まず「成果を出してから要求せよ」。やってやるから「金を出せ(時間減)」という時代ではない。「持ち時間が経営に直結」していることなど全く頭にないのである。まずやって、成果を見せて胸を張れ。最後の「チャンスを生かせ」と言いたい。

・ 出張報告の中に私が注目した部分があった。それはその学校の方針として「最終進路先は理系文系への別れも含めて3年生で十分」と言うのである。「1年生の成績で判断し2年生になる時点で分けるのは酷」だというのである。
・ 私は思っていたことと波長があって膝を叩いたのである。本校の転科転コースは1年生終了時点で行われる。11月に全1年生の「転科・転コース判定試験」というのを受けさせるのである。
・ 一回のみの厳しい試験で特に「理数科とⅠ類の生徒は厳しい結果」が待っているのである。英国数理社の5科目で1.2学期の中間試験、期末試験合計4回の試験の素点を参考にすることが決められている。同様に少し違う部分はあるがⅡ類の文系コースも理系コースにも「内規」が決められているのである。
・ しかしこれは「果たして生徒の為かどうか」というのが私の素朴な疑問であった。高校1年が終わった段階で「ハイ、貴方は理数科は無理です、理数科から普通科へ行きなさい」「ハイ、貴方は理系は無理です。文系しかありません」というのは本当に「私立高校教育」として正しい指導なのかということである。
・ 実は毎年この時期になると生徒は「緊張し、何とか今のコースに残りたい」と思うのであるが、学校は別に生徒をいじめているのではなくて「その方が生徒の為」と思っての指導なのであるが当事者の生徒から見れば転科・転コースを余儀なくされたら「人生最初の挫折」になるのである。学校で「自己責任」ばかり言うわけにはいかないのではないか。
・ 結構この種の話は耳にするし、中に人目をはばからず泣く女生徒もいるやに聞くのである。中には「おじいちゃんもお父さんも理系で父の経営する工務店で後を将来告がねばならないから、どうしても理系に残りたい」とか、「家が薬局で家の仕事を手伝うから理系に行きたい」とかあるのである。
・ 私学は「個の生徒の為にあるのではないか」と考えれば何とか本人の進路実現に手を貸すのが学校の役目で「人切り以蔵」みたいに生徒の物言わぬ心をバッサバッさと切って「君は楽しいのか」とまで私は進路指導部長や理数科長に攻め寄っているのである。
・ 「転科転コースは生徒の進路実現のためにある」と言う原点に立ち返り再度検討を加える時期に来ていると私は感じている。同じようなことは「特待生制度」にも当て嵌まる。私は着任以来この制度の問題に取り組んで来た。
・ 最初驚いたのは入学試験の成績から授業料免除、入学金免除などの特待生が決められているが成績のトレースを明確にしていないから途中で大幅に学力が低下しても認定をしていることであった。私は大いに「憤慨」したのである。
・ 思い切って制度の見直しを行うべく、保護者へご理解いただきながら実施し、1年単位で逆に成績優秀者は「入学成績特待生」として授業料の減免措置制度を導入したのである。すなわち「入学成績特待生」と「校内成績特待生」の二本立てにしたのである。これは大ヒットであると考えており来年度から中学校にも適用することとした。
・ 特待生制度は本当に悩ましいがこの厳しい経済情勢であり、「あらゆる形で生徒保護者を支援」していかねばならないと思っている。しかし辛いことがあるのも事実である。昨年は浪速中学校でトップの生徒が3年間1号特待で過ごし他の高校に進学していった。
・ その担任は「卒業式で涙」を流していた。3年間無料で本校で学び高校は他校だから切ないことこれ以上のものはない。その保護者は結局学校にご挨拶もなかった。一言お礼の言葉はあって良いだろう。そうかと思えば苦しい経済情勢の中を決して滞納などなく中学を卒業し、浪速高校に進学してくれている家庭もある。
・ このような原資を使うのだから特待生への適用は一般の保護者が納得されるものでなければなるまい。日常生活が乱れたまたま入学試験の成績が良かったからと言って何年間も無料と言うのはどうのように考えても「おかしい話」である。「教員に経営感覚のない証拠」である。
・ とにかく「転科・転コースと特待生制度は根本的に見直す考え」である。公立高校の授業料が無償化される。私立高校も傾向としては負担軽減に繋がる施策と「しっかりとした特待生制度」を検討すべき時期に来ていると私は考えている。
・ なお「スポーツ特待生制度」についてはすでに見直しを進め本年度から適用しようとしている。本校は今までスポーツ特待については実施して来なかったが「能天気なことばかり」言っているわけにはいかなくなった。
・ 本校のチャンピオンクラブ「空手道クラブは昨年日本チャンピオン」になったがその後の大きな試合で2試合ともライバルのK高校に敗退したという。私は頭にきているのである。聞けば全国から選りすぐりの中学生を集めて「打倒浪速」を旗印に「全寮制」で鍛えているという。「ウーン、全寮制か?!」と私は「嘆息」している。次なる作戦を考えねばなるまい。
・ 他の私立高校は着々と「生き残りをかけて手を打っている。本校もこの戦争に勝たねばならない。「進学実績も部活動実績も両方」に頑張らねばならない。履正社高校、大阪桐蔭高校、清風高校、常翔学園、関大北陽、関大一高など、すべて「文武両道を誇って生徒を集めている」のである。本校のみが手をこまねいている訳にはいかないのだ。