2010年1月9日土曜日

1月9日(土)N先生のこと







・ 今年頂いた「年賀状」で大変面白かったというか印象に残ったものがある。これを頂いたお方は元府教委の指導系最高幹部をご経験された元教師である。まさに「教師と言う言葉が相応しい先生」である。
・ 数学の教諭から出発し、公立トップ校の校長、そして「府教委指導系最高幹部」まで勤められたお方である。仮にN先生としておこう。恐らくある程度の年齢に達している府立高校の管理職ならこのN先生をご存じない方はいないだろうと思う。
・ 私はこのN先生には大変な「恩義」があり、私の恩人の一人である。今から「8年前に大阪府初の民間人校長に就任」する話が決まりオープンになった時にはすでに大阪府を退職されて某大学の教授になっておられたが、先生からお声をかけて頂いてお話を伺う機会があった。
・ 今でも覚えているが梅田のヒルトンホテルで食事をしながら「大阪府の高校教育界」の話を色々と聞かせて頂いた。N先生は大学の後輩になる私のことが気になって「色々とアドバイスしてやろう」と思ってくれたのである。
・ その後も折り目や節目に、「お引き立て」を頂いた。研究会への参加や教育関係者などの間に立ってご紹介を頂いたものだった。又プライベートでも年に一度は一泊旅行にもお誘いを受けて本当に私の公立高校の校長時代を支えて頂いた先生であったのである。
・ 大学の先輩後輩の関係ではあったが年も離れており、もともと「親分肌の面倒見の良い先生」であり、「豪腕に進める学校改革」を心配してくれていたのだろうと思う。私が公立高校の校長を辞職した時も最初に電話をしてくれた先生であった。
・ 私の声を聞くなり、「おお、大丈夫や、その声だったら」と言われたのが今でも懐かしい。私の次の勤務先についても随分と心配して下さり、私も進路に迷った時には良く相談申し上げた。そのたびに天王寺辺りに出かけては酒を飲みながらN先生とお話をするとどういう訳か気が落ち着いたのである。
・ 先生は私の浪速行きを最初は賛成してくれなかった。実はもう一人私にはお世話になった先生がいて、その先生も数学の先生から府立トップ校の校長を経験し「校長協会の会長」まで勤められて先生であるが、この先生はN先生とは肝胆相照らすお仲間で、この先生の後を引き継いでその私立校へ行け、来ないかと言われていたのである。
・ 紆余曲折があって結局私はそのお話をお断りし、現在の浪速に来たのである。全てが落ち着いて1年後くらいであったろうか、このN先生に「先生、浪速で良かったですよ、どうしてあの時反対されたのですか」とお聞きしたことがある。
・ 開口一番「あの時は専務理事兼務の校長案だったではないか、理事長・校長ではなかったからだ。」と言われた。N先生は人生と言うものと私のことを見抜いておられたのである。「専務理事などでは又君は梯子を外される可能性がある。トップの理事長ならそうはいかないからだ」と単純明快に断言されたのである。

・ 話を元に戻そう。このN先生の年賀状には以下のような文章があったのである。少し長いが「前略・・昨年は自民党より少しはましかなと高い支持率をもって民主党政権が誕生しました。しかし私には不安が一杯です。それは鳩山首相の言動にあります。外交、防衛のなんたるかを理解していないにとどまらず、優柔不断で小心、誠実に振る舞っている中に嘘がある。日本のリーダーとしての資質を欠く人物であることにようやく国民が気がつき始めました。母親からの巨額の贈与をめぐる弁明を聞いていて日本人のもっている勤勉、実直さを大切にする価値観を否定するような人物を認めるわけにはいきません。最近は年齢のせいか感動や怒りのエネルギーが低下していますがこのたびは憤っております。後略。
・ N先生、全然エネルギーなど落ちていませんよ。私などよりすごいです。尊敬しています。

・ 実は今日のブログで書きたかったことはこれだけではなくて次のような「ちょっと良い話」なのです。本校には人間的にも素晴らしい卓越した数学の教師がいる。この先生に現在の常勤講師数学の先生の授業を観察してレポートにして報告して貰ったことがある。
・ その中の常勤講師の授業の講評部分に「驚いたのは生徒のノート。この縦割り2段の使い方は私が高校時代に数学を教えて頂いたN先生の指導と同じである。数学の授業は1行がノート半分であるから合理的な使い方である。」という一文があったのである。
・ 私は本校の教諭の中に高校時代にN先生の指導を受けた先生がいたことを大変に嬉しく思ったのである。これもまたN先生との「ご縁の深さ」であると感じたのである。35年も前に府立高校で数学を教えて貰ったN先生のことを懐かしそうに話されていた。
・ 又早速私はこの常勤講師の先生からもお話を伺ったのである。この先生はまだお若いから直接はN先生の指導は受けていなかったがやはり高校時代のT先生からN先生と同じようなことを言われたので自分も教師となった今、その方法をしていると私に述べたのである。
・ 私はこの先生にN先生のことは知っているかと聞くもそれは知らなかったみたいでるがその「T先生にあこがれて高校数学の教師になった」。今でも「自分の人生の目標」であると断言していたのである。余程尊敬している様子であった。このT先生は今府教委におられるとか。
・ しかし皆さん、「良い話」ではありませんか。ひょっとしたらN先生とT先生もなんらかのつながりがあるのかもしれない。本校の二人の数学の先生は高校時代に教えて貰った数学の先生の影響で高校の数学の教師になったのである。
・ 「高校時代の恩師とは本当に影響がある」ものである。素晴らしい関係で企業人にはないものである。高校時代に良い教師にめぐり合うと言うことは「人生の宝くじ」みたいなものである。「教師と言う職業の素晴らしさ」である。