2009年4月20日月曜日

4月20日(月)明日は全国学力調査

・ 府教委の新たな教育長に就任した中西さんのコメント記事が出ていた。明日21日に実施される「小6中3の全国学力調査」について「今年は自信がある」と言い切っていた。橋下改革の大きな柱には「教育改革」があるのだが、確かにこの1年大阪府は相当な勢力を注いできたのは事実である。今日の夕刊読売などは「学力テスト挽回躍起」と若干揶揄気味だ。
・ 私は前に「眠れる獅子が起き上がると強敵」だとブログに書いたが正直起き上がってきつつあると認識している。2年連続全国比較で下位に低迷した大阪府は「橋下知事の誕生」で従来の教育委員会では出来ないような施策を矢継ぎ早に打ち出してきた。
・ 「放課後講習」や「塾の講師」を教室に入れ、百マス計算で有名な陰山先生の力を借りたり、夜スペの藤原先生を呼び、予算も注ぎ込み、「やれるモノはなんでもやる」と言った姿勢である。知事も自信があるのか「若し今年も悪かったら僕の責任」と言っていたから、このことは逆の意味で「自信を示している」と私は見ている。
・ 公立の教員は「厳しい選抜試験」を潜り抜けてきた先生ばかりだから「学歴」はキラ星の如くである。このような基礎的力のある先生が「起き上がったら」それは大きな力となることは間違いない。それを私は「眠れる獅子」と言った。ずっと寝てくれていたら良かったのに「橋下と言う鞭を持った調教師」が動くものだから変わってきたのだ。
・ 公立の「ぬるま湯」に浸かっていると折角の力の発揮も出来ないような内的、外的要因があり徐々に「どうしようもない教員」の出現に繋がる傾向はあるが、元々は基礎力はあるのであって、知事はそこを突いて来たのだ。背景には「私学の教員はよく頑張っている!」という思い込みがある。
・ そのため、橋下と言う男は「クソ教育委員会」「駄目教師」「このざまは何だ」とか厳しい言葉を投げつけ意識改革を求めてきた。2年連続最下位ではさすがに教職員組合も何も反論は出来ず今年の3回目の全国調査となる。この結果が判明する秋口に結果次第で「大騒ぎ」になるのではないか。しかし私は大阪府は大いに成績が向上すると思う。
・ ところで過日の「多聞尚学館の開館式」で来賓の南河内郡選出の府会議員の鈴木先生が冒頭挨拶の中で「今日のために少し調べて参りましたが実は、今進めている大阪府の教育改革は木村理事長が民間人校長として公立高校でやられたことと同じ」というような趣旨のお話があった。
・ まさしくその通りで、今大阪府がやっていることは私が府立高校でやったことと基本的に同じであり、授業時間数の拡大と成績の統計的分析、外部教育機関との連携などである。それと同じことをこの2年間浪速で進めてきたのである。特に「浪速では授業時数の拡大」に勢力を注いだ。
・ 言いたいことは「誰が考えても基本的にはやるべきことは同じ」で教員がしっかりと生徒に向き合い、授業時間を確保し、「しっかりと教える」と言うことだけである。別に難しいことではなくて、言い換えれば「新たな学習風土の確立」と言うことかもしれない。
・ 「教育意識環境の整備」と言っても良い。これは設備を新たに作ると言うことではなくて「意識の環境整備」であり、外部模試への参加や放課後講習、外部講師の招聘等々で生徒も教員も「自分の置かれているポジション」が分かる。
・ 自分の「立ち位置」を知ると人間は動くものだ。それを「競争状態に置く」と非難したければするが良い。「切磋琢磨」というのは「人間の尊厳ある行動様式」だと私は思っている。
・ 「今年の私立高校入試の様相」は従来見られなかったものがあったことは何回も触れた。明らかに「公立回帰」現象が確認され定時制などは生徒で溢れかえった。私立もいわゆる課題を抱える学校と言うのは「併願戻り」で生徒が溢れかえり、中には理事長以下、嬉しくて嬉しくて「祝勝会」をした私立高校もあったと言う。
・ ブログにも書いたが「なすびの形」「ビニールに水を入れて吊るした状態」の構図で中位クラスの学校は「その煽り」を受けている。有名な進学シフトをしている高校でも「併願戻りゼロ」であったというからすさまじい話である。結局この学校は1.5次で充足したと言う。
・ 今私は来年度のことを考えているのだが、実質的に「公私比率7:3の時代は終焉」したと思っている。「終わりの始まり」が既に今年の入試から始っていると考えるべきだと思う。
・ 先週市内の有力な私立高校の理事長を訪問したがこの先生も「同じ意見」で橋下知事のいう「公私カルテルは崩壊の道」に入り、「人気と力のない私学は完全に淘汰されていく厳しい冬の時代に間違いなく入った」と嘆息されていた。
・ 同時にこの理事長先生は今は公立回帰の現象であるが多くの課題を抱えている生徒群が公立に戻っても、それは「空き教室一杯まで」であり、財政難の大阪府が「教員数は増やせるのか」等々クリアすべき課題は多くてそう簡単に行く話ではないということも私との議論となった。
・ しかしいずれにしても公私比率がなくなったら大きな「公私間の堰」がなくなるわけである。この意味は100%税金で運営する公立学校に比べて「私立の財政基盤」は保護者からの納付金が大きな割合を占めているだけに「その価値を認められた私立学校のみが生き残っていける」という単純な構図になる。
・ 私学助成の替わりに「バウチャー」と言っても財源が確保できるのかと言う疑問もあろう。私学の厳しい状態はまだまだ続くと考えねばならない。「生徒を如何に集めることが出来るか」全てはここにかかっているのである。
・ 私はこういう時に「2年前に本校に来て良かった」「間に合った」とつくずく思うのである。改革を先行したお陰でいささか余裕を持って「考察できる分」心が楽である。「先手必勝」「備えあれば憂いなし」である。改革の手を緩めるわけには行かない。