映画「北辰斜めにさすところ」生徒からの感想文
1.感想文
・ 朝一番に野球部とコーチの二人が部屋に入る。昨日のお礼と「感想文」を持参してだ。感想文の提出は私からは何も言わなかったが、ちゃんと考えていてくれたのだと思うと嬉しい、「立派だ。」
・ 部員は1,2年生で66名、付き添い教員が2名で「総勢68名」、小さい映画館だから立ち見もあったという。生徒からの感想文をまず読む。読み始めたらとまらないのだ。一挙に66人分読んだ。恥ずかしながら涙がにじむ。年をとると涙もろくなる。
・ 全ての生徒が、本当に全ての生徒がこの映画から「何かを掴んでくれた」ことがはっきり分かる感想文だ。そこが「感激」。誤字はあり上手くはかけていないものはあるけれども間違いなく個々の生徒は、野球部員は自分なりに何かを掴んでくれた。
・ 野球部の指導者に私は言った。「一編の映画は時にどのような指導者をも超える」と。「大切な生徒を預かっている責任感を忘れず、今後とも事に当たれ」と。まだ見ていない先生は早くしないと終わってしまうよと。
・ 1限終了後主将以下部員の代表が校長室に礼に来る。皆「良い顔」をしている。「感動する経験を持つと人間の顔は良くなる典型的な例」だ。つくづくと「観させて良かった」と思った。
・ 生徒からの感想文を載せよう。全て載せるわけにはいかないので代表的なもの。一切手を加えず、そのままの文章である。「本校生徒のレベルの高さ」を見ることができたことも校長としては嬉しい。
2.生徒からの感想文① 2年生内野手
・ 今回見た「北辰斜めにさすところ」という映画には現在の自分たちに欠けている“真っすぐな心”が描かれていたと感じました。「時代が変わった」といえばそれまでですが、僕は人として彼らの行き方を学ばなければならないと思いました。彼らは何事にも真っすぐでした。上下関係に対しても学問に対してもスポーツに対しても時には恋に対しても彼らは全てにおいて自分の気持ちを真っすぐにぶつけていました。僕が印象に残っているのは両校創設100周年目の対抗戦を知らせる手紙を受け取った時の彼らの顔です。数十年も前に起こった出来事をあたかも昨日のことのように思い出し、喜ぶ姿を見て、自分の立場に置き換えてみると、どうだろうと思いました。劇中では「北辰斜めにさすところ」という歌がたびたび登場しました。彼らには年老いた後でも自然に口から歌詞がこぼれ落ちるよう程、彼らの心の深い所に歌が刻み込まれているのです。それはなぜか、理由は一つだと思います。それはそれこそが、人生を真っすぐに生きた証だからです。真っすぐに全身全霊をかけて生きてきたからこそ成し得た賜物だと思います。映画の中で上田さんが自分の孫に昔のことを語る場面があります。あれはまさに映画自身が自分に語りかけてくるように思える程、今の僕には考えさせられる内容でした。もし自分が年老いた時に彼らのように自分自身を語ることが出来るかと言われたら、少し戸惑います。それは今すべきことに僕自身が真っすぐに生きていないからです。この間から野球部で不祥事が続いているのも、このことを裏付ける理由だと思います。僕は今回、この映画を通じて、たくさんのことを感じ取ることが出来ました。これで得た知識を勉強や部活動といった学校生活も含め、これからの人生に役立てて生きたいと思います。僕たちのためにこのような場を作っていただき、本当にありがとうございました。
3.生徒からの感想文② 2年生内野手
・この映画を見て、何ごとにも真っすぐ生きる人の姿を見た。僕達は毎日あたり前にやっている野球がやりたくても出来なかったり、戦争で死んでしまったりする人もいる。草野さんは酔って郵便ポストを壊した時も仲間を思い自分一人で責任を負って留年したり,戦争に行ったときも自分はいいから行けと言ったり、もし僕がああいう立場に立った時に同じような行動をとれるだろうか。本当に仲間を信じて毎日を送っていたんだろうなと思った。僕たちも互いに信頼しあえる仲になっていきたい。おじいさんになっても集まって語り合えるああいう仲をきづいていきたい。昔の人は本当に何ごとに関しても真っすぐそれることなく生きていたんだなと思う。妻とまだ生まれてもいない子どもを置いて戦争に行くのはどんな気持ちなのであろうか。もし自分に置き変えれば考えただけで背筋がゾッとする。それに比べて僕達はどうだろうか。ゲームや携帯などの無い時代。ある方が便利だけれど本当に良いことなのだろうかと考えさせられた。新しい物だけを求めている今のこの時代、古きよきものを残しつつ新しいものを求めていくことが大切だと思った。僕達は本当に前だけを見て生きているのであろうか。毎日あたり前のように学校へ行き、おなかいっぱい飯を食べ、好きなスポーツをしている。好きな野球も毎日することができる。昔はやりたくとも出来なかった人もいた。僕達は何事に関しても精一杯やりとげられているだろうか。まだ外国にはやりたくてもできない人が数多くいると思う。この北辰斜めにさすところを見てもう一度自分を見つめなおして、勉強やスポーツ、何をするにしても精一杯自分の出来る事は何なのかということを考えながら日日日常をおくってきたいと思った。年をとっても子ども、孫から尊敬されるような人間になりたいと強く思った。友達を信頼し支え合ってこれから生活をおくりたい。最後にこの映画は本当に真っすぐ生きることの大切さを教えてくれた。内容が少し難しかったので又機会があればもう一度見たいと思った。今できることは何なのか。この言葉を頭のすみに置いてこれからの人生につなげていきたい。
4.生徒の感想文③ 1年生捕手
・この映画を見て自分が率直に思ったことは野球は世代を越えて愛されてるという事と青春時代の仲間は一生の友になるんだなーと思いました。しかし戦争などのせいで早くに死んだ人もたくさん居てその中には何人も野球人が犠牲になったというのも知りました。国のために自分のやりたい事を精一杯できなかった事を思うと今自分が好きなことをやっているのだからもっと一生懸命やらなダメやなと感じました。それからOBの一人一人の熱意を見た時に、とてもカッコよくも思えました。何歳になってもそれだけ熱くなる物があるのは,若い時に好きな事に必死になれるからかなーと思いました。その中で「バカの天才になれ」という言葉が、この映画を見て心に残った言葉でした。この作品を見て自分がしたい事ができてる事自体に感謝し、仲間と力を合わせて全力前進する大切さや素晴らしさを学びました。
5.生徒の感想文④ 1年生内野手
・僕はこの映画を見て思ったことは野球がこんなにもすばらしいスポーツで、野球を通じて学ぶものの大きさ。そして仲間との間に生まれる深い深い絆があるということです。仲間と共にすごした日々が年をとるにつれて良い思い出になるということを教えてくれた映画でした。そしてそれと同時に戦争の恐しさ、大変さ、そして戦争中の仲間の死の辛さなどたくさんのことを学べた映画でした。でも僕にはまだまだ難しい映画だなーとも思いました。だから何年後か先にもう一度みなおして、またその時はもっとたくさんのことを学べるようにしたいと思います。またこんなにもすばらしい映画に連れて行ってくださった先生方と校長先生にはとても感謝しています。そして最後にこの映画でもあったと思う、自分の学校への誇を僕自身も持ちつつ、もっともっと野球を通じて大人の階段を1歩ずつ昇って行きたいと思っています。またこんなにめぐまれた環境の中、野球をできることに心からありがとうという気持ちを持って日々練習しようと改めて思いました。今日は本当にありがとうございました。