2008年2月21日木曜日

2月21日(木)学校ネット社会の到来

ある新聞記事
・ 最近一つの記事に触れ、しばらく考えていたのであるが、まだ考えが整理できていない。記事の内容は次のようなものである。“同級生の少女(16)の裸の画像をインターネットの掲示板に張り付けたとして横浜の県立高校の1年の男子生徒(16)が「児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で逮捕」されたという。男子生徒は容疑を認めているという。”
・ 関わったのは同級生の男子生徒3人で交友関係にあった同級生の少女を呼び出し、3人が撮影した裸の画像の1枚がネットに掲載されたもので、3人は逮捕後、同法違反の「非行事実」で「家裁送致」されたとある。
・ この記事にはポイントが二つある。同級生の男女4人の事件(?)であるということ、逮捕された容疑が児童買春・ポルノ禁止法に違反したとしている点である。記事に詳しいことが書いていないのでよく分からないのであるが、関心は「事件の背景」である。
・ 同じ高校の同級生の友達4人がふざけて、女友達の裸の写真を撮り、ネットに出したものか、男3人が嫌がる少女を抑えつけ写真を撮ったものを流したものなのか。これら4人の学校生活はどのようなものであったのか?ネットの写真を神奈川県警少年捜査課はどうして知ることになったのか。誰かからのチクリがあったのか。忙しい警察がネット上に流れている何万枚もの女性の裸写真のうちからどうしてこの写真を知ることが出来たのか等々分からないことばかりだ。
・ 最初この記事を見たときには「これは女生徒へのいじめ事件」ではないのかと思った。仲良しグループが崩壊し、愛憎やるかたなし、突如としていじめに発展するケースは多い。しかしポルノ禁止法違反容疑の非行事実と書いてあるから、想定すると4人が共同謀議で裏ビデオまがいの裸写真を、それもかなり、かなりきわどい写真をネットに流して「愉快犯的」に楽しんだものか、色々と考えるのだが・・・?
多様化する高校生の非行
・ 上記新聞記事のような学校内外を舞台にしておきる高校生のあるまじき行為、分かり易く言えば「非行」はどんどんエスカレートしていく。「質的に変わったものがどんどん生まれている」と言った方が良いかも知れない。
・ はっきり言って「非行」と「犯罪」の境界がもう分からなくなってきている。援助交際、出会い系サイト、薬物使用等々事態は危険域を超えている。では昔の非行というより「良くない行為」は減少しているかと言えばそうでもない。まず「喫煙」「喧嘩殴り合い」「カンニング」「万引き」これらは今でも「良くない行為」のトップ4の地位を保っている。我々の時代からこれらは変わっていない。更に最近は通学途上の電車内マナーや路上でのごみのポイ捨てなども加わってきた。
・ ここ10年上記に加えて「いじめ」が大きく登場し、最近は「ネットを使ったいじめ行為」が幅を利かせている。いじめについては「言ってみれば昔からあった話」で教師の対応マニュアルは出来ているのだが、問題はネットを使ったいじめなどについては、ノウハウも出来ておらず、右往左往することになる。
・ 前述した神奈川県の県立高校の校長先生や生指部長、担任などはこの事件を初めて知った時にはさぞ驚いたことであろう。どのように受け止めたのか、詳しく知りたいくらいだ。
・ この学校の校長先生はせいぜい「全く信じられない事件で、本校の3人の男子生徒が逮捕されて大変ショックを受けています。インターネットのことは我々も良く分からず、今後調査をして対応していきます。他の生徒への動揺を抑えることと、早速保護者集会を開いて説明して参ります」くらいのコメントを出したのではないか。
3.携帯ネット社会の到来
 ・いまやほとんどの高校生が携帯電話を保持する。行き渡った速度は我々の想像をはるかに超えた。小学生も今や安全のためと言って携帯を持たされている時代だ。当然広い意味でのネット社会に生徒の携帯電話を介して学校現場も取り込まれてきたと認識する必要がある。
・ この「学校ネット社会」にはますます「この私、この僕の自我」がすべてに優先されていく。虫が好かない者とは付き合わなくて良いし、親しい友人とも「今日は会いたくない気分」とか言って、「メール会話」で済むからだ。様々なサイトで彼らは友達を作り、情報を得ることが出来る
・ 顔を見ながら唾を飛ばしてする口論や時によっては掴み掛かったりする喧嘩などアナログの時代は過ぎ去り、冷たい、顔の見えないデジタルの社会が子ども社会にも出現した。成りすましたり、嘘を書き込んだり、チェーンメールでまわしたり、言葉だけではなくて写真をつけたり、その写真も簡単に加工や合成が可能で、陰湿極まりない顔の見えない攻撃が可能な時代になった。「いじめの質的変化である。
・ こういった別世界の出来事を教師は把握しようがない。正直言って昨年本校でもあったネットいじめ事件は本校の教員を驚愕せしめたが、これを発見したのは実は他の事件から細い糸を手繰って行って発見したものである。ネットに流れた現物画像写真を見つけ出したのは「パソコンの達人教師」の一人であった。普通の教員は発見しようにもどうしようもない。パソコンなど触ったことのない教師にはどだい無理な話なのである。
・ 従って「生徒の保有する携帯ホームページの開設は禁止する」としたのだが、果たしてそれが今後とも有効な手になるのか。いずれにしても学校は生徒の質的変化で必然的に変化していくだろう。当然、教師に求められる特技や手腕も変わってくる可能性がある。
・ 「さあ、今日も頑張っていこう」と両手をたたきながら、明るく、「生徒性善説」に立って、かけ声だけの教師では今後の学校社会での出来事に敏感につぶさに対応できなくなるのではないだろうか。悲しい話である。
・ 「従来からの良い先生」が「自信を無くさないようにするため」我々は何を準備し、やるべきか考えなければならない。ネットデジタル社会は教師と生徒の関係を対等の立場(間違っているが)から、「平行の立場」にしつつある。それはもはや昔の教える側と学ぶ側の関係、いつくしむ側と慕う側の関係を完全に打ち壊す。「教師と生徒の関係の変化がデジタル社会の宿命」となるのか。